TEST RIDE

[試乗記]

他のキャデラックとは異なる進化に注目!

キャデラック DTS

CADILLAC DTS

ドゥビルの後継モデルとして登場したDTSは、これまでの新キャデラックとは異なる方向性でまとめられている。

更新日:2010.04.17

文/ 写真/

取材協力/GMアジアパシフィックジャパン  TEL 0120-711-276  [ホームページ]

キャデラック・ドゥビルの後継モデルとして登場

 長年、ラグジュアリーセダンの象徴としての役割を担ってきたキャデラック・ドゥビルが、2006年、キャデラックDTSとして新たに登場した。最新のキャデラックの他モデル同様、モデル名もアルファベットによるネーミングを採用し、生まれ変わったのだ。キャデラックらしさが最大限に表現されたエクステリア・デザインと高級感あふれるインテリアから、パワフルなエンジン、洗練されたサスペンション特性、そして安全・快適装備まで、DTSはキャデラック・ラグジュアリーの粋を集めた最新モデルであり、キャデラック復興の一翼を担っているモデルである。
 このフルサイズ・ラグジュアリ ー・セダンは、他のキャデラックと異なり従来どおりのFFレイアウトを採用する(他はすべてFRレイアウト)。エクステリアは「アート&サイエンス」デザインでまとめられる。だが、インテリアのデザインや質感が最近のキャデラックとは一線を画す往年のイメージでまとめられる。果たしてその意味とは? 新型DTSは単一グレードで展開。進化した4.6リッター・ノーススターV8(295ps)と4速オートマチック・トランスミッション、ハイドラマチック4T80‐Eが組み合わされ、格段に進化したドライブフィールを提供してくれるという。早速試乗してみよう。

先代ドゥビルの面影を残していながらも、質感を上げ、さらにはフロアシフトを採用したインテリア。これも往年のイメージ復活に一役! 他のキャデラックでは、スターターボタンを採用したりと、近代装備で新キャデラックを演出していたが、往年のらしさを垣間見てしまうと、やはりアメ車好きにはこちらの方が良く見えてしまう。

エンジンは4.6リッターV8ノーススターDOHCエンジン。横置き+FFレイアウトは先代を踏襲する。フィーリングも確実に良くなっているし、静粛性などの進化も十分感じられる。

最新のアメ車に求められる理想の「味」を持つ

 最初にこのDTSのドアを開けて乗り込んだ時、かなりビックリした。というのもこのDTSは、これまでのキャデラックの進化の流れをまったくといっていいほど無視しているから(別にいまのキャデラック・シリーズが悪いということを言っているのではないが)。今度のDTSは、セビルがSTSへと進化した過程とは随分異なる。簡単にいってしまえば、外観は今風のキャデラックだが、中身は先代ドゥビルの進化版である。まずエンジンスタートからして異なる。STSは、キーレスアクセスでキーを持ってさえいれば、エンジンスタートできるが、DTSはシリンダーにキーを入れる必要がある。先代のコラムとは異なり、フロアシフトになったが、そのシフト操作系や感触が先代セビルそっくりである。インテリアの質感は、格段(×10くらい)に良くなり、最近流行のブラックを基調としたモノトーンな雰囲気から一変したタンカラーの明るいインテリアが俄然似合っている。シートアレンジもことのほかやりやすく、シート位置がドンピシャで決まり、その際のボディの見切りが、横幅1900ミリを超えるにもかかわらず、最近のアメ車の中ではかなりいい。
 走り出してもその印象はまったく変わらない。限られたスペースでの試乗だったので、時速100キロものスピードを出すなんてことはできなかったが、でもそこに達するまでにほのかに漂う「アメ車臭さ」は十分感じることができた。乗り味は、このクルマが試作車ということを差し置いても上級。ソフトでありながら、コシがある。「スゲェ、いい」。上手く言えないが、これこそが現代の最新のアメ車に求められる理想の「味」ではないか? 90年代中盤から後半になるにつれ、なくなってしまったあの味。大きなボディと若干ダルなフィールが織りなすハーモニー。キャデラック=応接間+現代テクノロジーによる制御…。
 近頃 「アメ車らしいアメ車がない」とお嘆きのあなたに捧げる一服の清涼剤として、是非ともオススメしたい。

真横から見ると、旧セビルSTSに似ているように思えて仕方なかった。もしくは意図的にこのスタイリングを作り、旧キャデラック復活を狙っているのだろうか?

キャデラックのセダンラインナップ。左からSTS、DTS、CTS。それぞれにエクステリアの共通点は見いだすことができるが、DTSSに限っては、その進化が一人異なる方向に進んでいるような気がする。だが、それこそが本来アメ車の進むべき道に見えて仕方ないのだが…。

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