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試乗記 TEST RIDE ダッジバイパーSRT10 ACR (DODGE VIPER SRT10 ACR)アメリカンスーパーカーの最終モデル

ダッジバイパーSRT10 ACR (DODGE VIPER SRT10 ACR)

最新こそ、最高のバイパーか?

2008年から2010年まで生産されていたバイパーのレーシングモデル・バイパーACRの最終モデルに試乗した。年々良くなるバイパーの最終モデルとはいかに?

更新日:2012.12.18文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力

ジャパンレーストラックトレンズ
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ACR最終モデルは33台中の1台

 ここ数ヶ月の間に触れたバイパーの量に関しては、おそらく日本一じゃないかと自負している今日この頃である。SRT10に始まり、09年型のACR、そして初期のRT/10に今回の最終型ACR。

 ただ情けないことに、これだけのバイパーに乗ったとしても、あくまで触れただけに等しく、そのパフォーマンスの限りを体感したわけではないことが実に悲しいのだが、それでも各モデルとの違いは明白であり、それを文章(稚拙な…)に落とし込むことは可能である。

 前回試乗したACRは、09年型であり、ボディのカラーリングが違うことからもわかるように、今回とは別物である。

 基本性能自体はほとんど変わらないのだが、各部に若干のモディファイが加えられており、特に大きな違いがミッションの変更だろう。2010年モデルにおいてはショートストローク化されたシフトが採用され、リアウイングの設計見直しがなされたことで、最終モデルとして完成度を高めているのである。

 また車体にナンバーリングが施されており、合計33台のACRが出荷された証として「1:33」のステッカーが貼られている。ちなみにこの車輌は33台中の17号車。
ブラックとレッドで統一されているボディ。全体のコーディネートを引き締めるホイールはSRT純正の軽量ホイール。レッドにペイントされていることが、より一層バイパーの性能を物語る。
ホイール内部に装着されている大径ブレーキはストップテック製。ローターにスリットが入り、止まることへの意識もかなり高い。このままニュルを走っても持つほどの容量もたのもしい。
純正でミシュランのSタイヤが装着されている。グリップはかなり高いので結構ラフにアクセルを踏めるが、雨天時には気をつけたい。
ACRラストモデルということで、ステッカーが貼られている。最終出荷33台を示す1:33ステッカー。ちなみにこの車輌は17台目となる。
バイパーを高速域で走らせるために絶対的に必要となる大型のリアウイング。09年型と10年型とでは若干形状が異なる。
リアウイング左右のウイングに切れ込みが入っている。高速域になるとこれだけでも相当な違いが生まれるということなのだろう。これも前年と異なる部分のひとつ。

ミッション改良とリアウイングの空力対応

 前回のACRとはボディカラーが異なり、この最終モデルはブラックベース。そしてセンターに赤いストライプが描かれ、それに伴いリアウイングやホイールが赤くペイントされるなど、抜群のセンスでコーディネートされている(購入時にある程度のコーディネートがセレクト可能であり、これらの配色はすべて純正)。

 ストック同様の8.4リッターV10 OHVエンジンを搭載するACR。スペックもストックモデルと同じく600hp、最大トルク560lb-ftを発生させる。

 すなわちACRとは、エンジンポテンシャル的なアップデートがほとんどない変わりに、エクステリアでのカーボン製フロントデュフューザー、カナード、GTウイング等でACRと分かるルックスを形成しており、さらに抜群のセンスのボディカラー(ツートンカラー)を採用することでノーマルモデルとの差別化を図っているのである。

 2010年モデルにおいては、前述した通りミッションがショートストローク化されており、リアウイングが一部、空力対応による変更がもたらされているが、それ以外のベースは09年型までと同じである。

 一方で、インテリアにもボディ同様にナンバーリングプレートが配置され、またメーター周りがホワイト&レッドで、さらに各パーツのステッチにも赤が配色されるなど、意外にもファッショナブルなコーディネートが加えられているのである(最終モデルだからこそ、だろうか)。

乗りやすさとパフォーマンスの両立

 相変わらずだが、乗る前にはある種の覚悟が必要である。決して飛ばすつもりはないので自ら事故を起こすなんてことはほぼないつもりだが、バイパーに乗る時だけは、なぜだから分からないが覚悟する。そのくらいの迫力が常に備わっている。

 今回のブラックACRのオーラも凄く、前回の赤いACRよりも毒気が強い気がするし、全体の雰囲気も突出している。さらにACRに装備されているミシュランのSタイヤにKWのサスペンションの組み合わせが一段と緊張感を高めてくれるし。

 ただ、そのオーラとエンジン始動時の爆音の割には、ACRはかなり乗りやすいマシンである。ミッションは格段に操作しやすくなり、初期のバイパーにあったクセみたいなものがなく、クラッチやブレーキなどのペダル操作もいたって普通だし。そういう意味では、旧型にあったバイパーを乗りこなすための慣れ、を必要とせずに、普通免許を所有している者なら、誰でも即座に運転可能である(はず)。

 とはいえ、ACRはニュルブルクリンク市販車最速の称号を取得した市販車であるからノーマルモデルを遥かに凌駕するその実力はいかなるものか? は、多少の知識があればお分かりいただけるだろう。

 だからこそ、ドライバーがACRのパフォーマンス発揮に集中できるためにも、最高に使いやすいコックピットやABCベダルが採用されているのだ。
こういったカラーコーディネートは、アメ車にしか似合わないだろうし、純正メーカーでもアメ車でしかやらないだろう。
バイパーの特徴のひとつであるサイドマフラー。初期型では乗降時に火傷するほどの熱を発するが、最終型ではそういった懸念はない。ドライバーを鼓舞する爆音も健在。
ブラックボディにレッドのストライプを入れたことで、毒気が増したフロントマスク。まさに毒蛇に相応しいオーラを伴う。
リアウイングとともに空力の一部を担うカナード類。フロントとリアでダウンフォースを得ることがバイパーを高速で走らせる手法である。SRT10系をチューニングするときの参考にもなる。
インテリアの造形的には変わる所がないが、各部の意匠は若干変わっている。特にメーター周りはレッドの縁取りで飾られ、ステアリングやシフトノブもレッドのステッチが加えられ、ボディ全体とのコーディネートがなされているのである。
ノーマルでもホールド性がかなり高いシートを備えるために、このままでも十分にサーキット走行が可能である。
エンジンマウントが硬められているらしく、ステアリング等に振動をもろに伝えてくるが、ボディ全体の芯の強さは微塵も揺るがない、もの凄いボディ剛性である。

「最新」こそ、最良のバイパー

 ちなみに10年モデルで採用されているショートストローク化されたシフトの操作感はこれまでの中でも随一であり、ストロークが短いだけでなく、センターへ戻ろうとする反力が適切で、2速から3速へ、3速から4速へのシフトチェンジが最高に気持ちいい。というか、これだけのMTができるなら、なぜもっとMT車を増やさないのだろう? と不思議に思うくらい、スポーティかつ気持ちいいMTである。

 ACRはこの10年型を最後に生産中止となったわけだが、バイパーに関していえば明らかに年々良くなっており、ポルシェじゃないが、最新こそ、最良のバイパーと言っても過言ではないだろうと思う(だからこそ、新型SRTバイパーにも興味がわく)。

 ACRの総論に関しては、正直街中程度の走行では、前回試乗した09年型との違いは明確には分からず、個人的に2回目の試乗ということで意外にも気持ちよく走らせることができたという感想がほとんどを占める。これならコンビニにも普通に行けるし、足でも使えるほど操作性はいい、なんて。そのくらいの気持ちになれるほど、性能の割に乗りやすい!

 こちらの購入者はイタリア製「F」の所有者ということであり、ACRがセカンドカーになるのであろうか?

 個人的な感想としては、十分に足になり得るし、その乗りやすさと相反するパフォーマンスの高さに驚愕するはずである。

 唯一心配なのはV10エンジンが奏でるサウンドが、イタリア製V8高周波サウンドに叶うか否か、だけであり(迫力では圧倒できる!)、それ以外においては、その出で立ちを含め、「F」以上に刺激的なマシンと思ってくれるに違いない。
<関連記事>
>>09年型ダッジバイパーSRT10 ACRの試乗記 を見る

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