1996年型のシボレータホともなれば、多少のガタを感じながら、延命させる的な乗り方を想像してしまうのは年式ゆえのイメージか。ガタガタミシミシ異音を鳴らしボーっとうるさいマフラーからの排気音を聞きながらのドライブ。しかもローダウンしていれば、そんな印象に輪をかけてのドタバタ感…。
すでに17年前のクルマともなれば、そういった負のイメージをもったとしても仕方あるまいが、今回取材したタホは、そんなイメージとはほど遠いほどシャキッとしたバリものだった。
1996年型の2ドアタホ。いわゆるメキタホと言われた時代のメキシコ経由のタホである。
当時定番のフロント4、リア6インチダウンされた足回りには、ステアリングダンパーが装備され、強化スタビライザーとLSDによって引き締まった軽快な足さばきを実現している。
同時に装備されたタイヤはフロント245/60-15、リア275/60-15という今となっては肉厚のタイヤであるから、強化しつつも路面からの当たりは柔らかく、SSBCの2ポッドブレーキキャリパーを伴ってまるでスポーティカーのようなハンドリングとブレーキングが体感できる。
「これ17年前のクルマですか?」正直、そんな印象を抱かせるほどシッカリした走りにはただただ驚くばかりだったが、このクルマの秘密はそれだけじゃない。
ガワに似合わないほど手が加えられたエンジンである。
フロント4、リア6インチローダウンした2ドアタホである。10年前くらいまではよく見たカタチであるが、ここ最近では見かけること自体が珍しい状況になっている。それにしてもたまに見る2ドアタホはカッコイイ。
SSBCの2ポッドブレーキキャリパーを装備して制動力を高めている。今回エンジンパワーを上げるチューニングを行ったが、まったく不安なく余裕あるブレーキングが可能である。
昔よく見たリアスタイルだが、あまり見かけなくなった今だと逆に新鮮に見える。アメ車の場合、こうしたSUVをパフォーマンスアップさせるチューニングに事欠かないし、またよく似合うから不思議である。
今回、チューニングの仕上げにGMパフォーマンスのクロームヘッドカバーを装着。パフォーマンスエンジンには、やっぱり光り物が似合う。
現オーナーさんが入手してすでに10年以上が経つが、まず最初に手を入れたのがマフラーだった。その後足回り等に手を加え、徐々に徐々に進化してへダースを入れるところまでやってきた。
「まずはクルマ自体のメンテナンスありきですよね。いくら改造が楽しいって言っても、その前にクルマ自体が壊れてしまったら何の意味もありませんし、そもそもオーナーさんが改造自体に興味すらもちませんよ」
適度なメンテナンスを施しつつ(といってもホント頑丈なんで、消耗品交換以&車検がほとんど)、毎年着々と進化させてきた各部のチューニングは、それぞれの効果をきっちりと体感するとともに、いよいよ大詰めにさしかかった(笑)。
「5年以上の歳月をかけてエンジン以外の外堀を埋めてきたって感じでしょうか」
GMのV8 350エンジンは、非常に耐久性があり、しかもチューニングに対する柔軟性も高く、そもそも本国にてアフターパーツがごまんとあるから、手を加えようと思えばいくらだって可能である(現代のコンピューター制御された緻密なエンジンより断然触りやすい)。
これまで吸排気系やって、点火系(MSD等)やって、へダースときての今回(エンジン)ということで、カムの交換とタイミングチェーンとプッシュロッド(クロモリ使用)を交換して、ステップワンのメニューとすることにした(先の話だが、スーパーチャージャーだって装着できるよう強化の意味も込めているという)。
このタホに装着されているTBIの350エンジンは、超低速からのトルク感が特徴のメジャーエンジンであるが、タコメーターのレッドゾーンである4500rpmまで回すと高回転がかなりキツい印象である。実際には回るが、ただ回っているだけで、パワー感は正直3000rpm頭打ちがいいところ。
オーナーさんは今回「高速等での合流時とかに必要な高回転時の伸びが欲しい」という希望をお持ちということで、これまで手を加えてきた低速トルク感アップの方向性を殺さずに、上まで回り切るエンジンにするためのカムやその他のパーツを発注することにしたのである。
「この作業をするとともに当然ながらオーバーホール的なメンテもしました」
カムを交換するために、エンジンを降ろし分解するわけだから、どうせなら内部の消耗をも確認する(一石二鳥だろう)。今回は各種消耗パーツのチェックとホーニングを施した。
エンジンを降ろしてオーバーホール。ピストン等を洗浄し、シリンダー内のホーニング作業も行っている。で、その後カムやタイミングチェーンやプッシュロッドを交換。最後にブラックにペイントして仕上げた。
点火系のチューンも行っており、プラグ、プラグコード、MSD等。ヘダースも見える。ちなみに「エンジンいじると乗りにくくなる」と思いのお方もいるとは思いますが、それは競技用として組んだ場合であって、ストリートにはストリート用の組み方があって、レーストラックではあえてそうしたセッティングのチューニングを施しているから心配ご無用である。
ノーマルでは、もともと6000rpm以上回るエンジンを、あえて4500rpm以下で使用し、2000rpm弱でマックストルクを発するようにセッティングされているわけだから、当然余力はあるわけで。今回、その余力を少し解き放つことでレッドゾーンの始まる4500rpmまで一気に、しかもパワフルに回るエンジンに変化させている。
この年代のタホは、着座位置が意外に高く、それはそれでスポーティではないのだが、逆に見晴らしがよく視認性がいいので運転がしやすく、さらに年代的にもボディの大きさが小さく感じることもあり、街中を楽しく走るにはもってこいの1台である。
だからか街中走行でさえキビキビ走り、エンジンの違いは歴然である。まるでホンダのVテックエンジンのように軽々とレッドゾーンまで吹け上がるエンジンを体感することが可能であり、一段とアップしたパワーはそれこそ4500rpmのレッドゾーンを超えてなおまだまだ湧き出てきそうな印象を与えてくれる。
さらにエンジンサウンドも激変しており、まるで生き物のような艶かしい重低音のV8サウンドが堪能できる。
「コラムなんでね。これがフロアATだともうちょい楽しめるかな」
個人的にはMTでも良いのでは? そんな印象を抱かせるほど気持ち良く、そしてパワフルに吹け上がるエンジンだなとの印象を受け、カムが切り替わるような変化をもたらす2500rpmからの吹け上がりには、鳥肌もんの感動である。
これまでにもへダースやカム交換の車輌を何台も取材してきたが、それらは基本低速を一段と太くし、中速の伸びを良くするものが多かった。だが今回のように明らかに高回転型としたエンジンは初めてであり、その軽やかな伸びと吹け上がりの良さは筆舌に尽くし難い。
これまで5年以上かけてステップバイステップで手を加えてきたことにより、また、毎回新たな「変化」がキッチリと体感できたことにより、オーナーさんは常に新鮮な気持ちでタホに乗れ、したがってこの10年乗り換える必要性を感じたことがなかったという。
今回のチューニングにより、この先10年乗るための新鮮さが加わったようである。こんな面白いクルマだからこそ、またいつか次なる野望が目覚めるかもしれないし…。このエンジンの行き着く先に期待したい。
着座位置が高いので運転しやすく、それでいて引き締まっているからスポーティな走りも可能。SUVの見本のようなクルマである。
センターコンソールには3連メーターを装備。右からミッション温度計、排気温度センサー、エアバキュームの濃度センサーとなる。またピラーにはブースト計も装備して、後のパフォーマンスアップに対応するためのメーターも装着している。
まるで黒い弾丸のようなフォルムに今回、エンジンチューンを施して本物の速さを手に入れた。気を抜いていると、マジでカモられる。
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19,404円
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GDファクトリー千葉店
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