このヘネシーチューンのC7コルベットHPE500は、今年の東京オートサロンに出展されていたから、ご記憶の方も多いと思う。本来ならもう少し前に試乗することも可能だったが、ノーマルのC7に乗ってもいないのに迂闊な発言はできないと思い、あえてここまで引っ張った経緯があった。
だが現在、すでに4度ほど最新のC7に乗ったおかげで、少なくともその違いは語ることが可能だろう。ということで、早速ヘネシーチューンのHPE500に乗ってみた。
C7は、これまでのコルベットでは感じられないほど、ステアリングが軽く、だがそこから得られるインフォメーションは明確かつガッチリしたものであり、いわゆるハンドリングマシンと言えるほどスポーツ度の高いマシンである。少なくとも、これまでのコルベットでは感じられないほどキビキビ走り、走りの質感で言えば3倍くらい良くなっていると言えるだろう。
さらにコーナリング性能も高く、車重が軽く、だからこそたとえば走り慣れた道を同じように走ってみると、まったく別の感覚に襲われることになる。コーナーからコーナーへの距離感が別物のように短く感じられ、しかも格段に速い。それは瞬発力が高まり、コーナリング速度が一段と速くなっていることによるものだが、とにかく「踏める」のである。
印象的な一例をあげれば、旧C6ではコーナリング中に道路の継ぎ目とかにおける遺物を越えるたびに、リアのグリップが抜けそうな感覚になり、一瞬ドキッとすることが多々あったが、C7にはまったく起きない。シャシーが完璧に機能し余裕を持っていなしているのと同時に、タイヤのグリップを最大限使いこなせるように足がシッカリ動いているからこそ、べらぼうな旋回スピードを実現するのである。まるでミッドシップとは言わないが、FRにして「よくぞここまで」と思えるほどのリアの踏ん張りである。
そうしたコルベットC7をベースにチューンされたHPE500。このベースとなるのはC7 Z51である。Z51は、ノーマルモデルから一段と大径化されたタイヤ&ホイール、そしてブレーキシステムとマグネティックライド・サスペンション、そしてエンジンは吸排気系による若干のパワーアップとドライサンプ化による低重心化、ミッションクーラーの増設や電子制御LSDの追加など、そのままでもサーキット走行が可能なほどの対策が組み込まれているモデル。ギア比も7段MTではロー&クロス側に、6段ATでもファイナルがロー側に変更されるなど、Z51はノーマルでもかなりの状態だ。
メーカー側もC7の試乗会において、「C7 Z51のパフォーマンスは、ノーマルで旧Z06を超えている」ということをしきりにアピールしていたほどだ。たしかに「それだけのパフォーマンスを示していた」と感じる一方で、エンジンのみのパフォーマンス比較では「どうだろう???」という部分は正直あった。あの旧Z06の7リッターエンジンの鼓動やフィールに勝っているのか?
だが、このHPE500に乗ってみて、「これは明らかに旧Z06を超えている」と感じることができる。パワー数値507hp、最大トルク518lb-ftという数字だけではなく、フィーリングが明らかに別物である。プラス47hpのパワーもありがたいが、個人的にはこの軽やかなフィーリングこそ、HPE500の真骨頂であろうと思う。
このHPE500には、主に吸排気系のチューニングが行われており、具体的にはロングチューブステンレススチールヘダースやステンレススチールミッドチューブを組み込み、それにヘネシーお得意のコンピューターセッティングを行い、ノーマルから一段と軽やかになった、しかも中低速で厚みの増したトルク感を実感させるエンジンフィーリングに生まれ変わったのである。
C7コルベットは、ベースが格段に良くなっていることもあり、ノーマルモデルでも手の付けようがないほどの速さである。HPE500では、それにプラスして、あの7リッターV8を搭載した旧Z06を凌駕するV8フィーリングが手に入る。C7の持つマージン部分をうまく引き出したHPE500は、C7のライトチューンとして最適な1台だろう。
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