その名もSports Utility Muscle car

ダッジ デュランゴ

DODGE DURANGO

2010年に製作したデュランゴであるが、いま再びこのクルマに魂を込めている最中である。その変貌をお届けする関係上、もう一度復習しておこう。ということで。Sports Utility Muscle car = SUMとは、利便性の高いSUVをベースにしたマッスルカーのこと。ダッジ デュランゴをベースに製作したSUMを紹介しよう。

デュランゴにマッスルカーチューニングを施す

　今年流行のマッスルカー。カマロにチャレンジャーにチャージャーに…。だが、こういった2ドアクーペ／4ドアセダンのマッスルカーをファーストカーとして購入できる世帯というのは、非常に限られている。というか、実際には買いたくても買えないのが現実だ。
　
やはり家族構成を考えたクルマ選びとなると、どうしてもバンやSUVを選ぶことが優先されるから。

　けど、そういったバンやSUVオーナーでもマッスルカーの雰囲気を味わって欲しい、そんな思いが込められた1台がこのダッジデュランゴ。乗ると分かるが、コイツはホンモノのマッスルだ！　

　ノーマルのチャレンジャーやチャージャーが相手なら、その本質においてこのデュランゴの方が明らかに上回っている。実際の速さでは叶わないかもしれないが（競争してないからなんとも言えないが）、エンジンの鼓動、振動、高回転への伸びにリアル・アメリカンV8サウンドにおいては、まったく相手にならない。そのくらい、マッスル度が増しているのだ。

　その名もSUM＝Sports Utility Muscle car。たくさんの人と荷物を載せ、四駆としての安定性が高く、さらに走らせればマッスルカーのように熱い走りをもたらす新ジャンルのアメ車である。
　
　このデュランゴはまさしくSUMに相応しい風貌と性能を誇っている。01年式の5.9リッターV8エンジンを搭載したコイツは、下記に記したようなチューニングをエンジンから吸排気系さらには足回りに至るほぼ全身にわたって受けている。

　過去に何度も言っているが、こういったチューニングができるのも、ベースとなっているデュランゴの出来が素晴らしいからに他ならない。

メカニカルなサウンドを奏でる、五感に訴える感動マシンに進化しているV8エンジン。このエンジンに触れてしまうと、ノーマルのV8エンジンにはもはや何も感じなくなってしまうほど、刺激的だ。

フロントバンパー下部に見えるミッションオイルクーラーは、あえて赤くペイントされ、凄みを主張している。

エンジンチューンによるパワーアップやフィーリング向上に伴って、ミッションのオイルクーラーを追加装備。室内からはメーターにてオイル管理を行っている。チューニングにて得た楽しさと引き換えに、オイル管理だけはシビアに行いたい。

難易度の高いNAエンジンチューニング

　デュランゴの頑強なベースのもと、NAエンジン・チューンのスペシャリスト、高橋氏が自らの経験と技術をもとに手組でエンジンを仕上げ、さらに吸排気にワンオフのロングチューブのヘダースを組み合わせることで、最強のV8エンジンが誕生したのである。

　NAエンジン・チューニングというのは、たとえばスーパーチャージャーを取り付けてパワーを稼ぐのとは訳が違うほど難易度が高い。簡単にいえば、解説書や説明書が一切ないからである。

　さらにたとえて言うなら、前例のない創作料理に挑戦している料理人のごとき行為だからである（ベースとなるもの味や風味を 100％理解していないと旨い料理はできない）。だからこそ、生かすも殺すもチューナー次第であると言われるのである。

　詳しく説明すると、踏めば即座に反応し、その際の鼓動が非常にメカニカルな5.9リッターV8エンジン、いわゆる五感に訴える感動マシンに変貌を遂げている。難易度は高いが、チューナーの腕前によっていかようにもなりうるNAエンジンチューニングの醍醐味ともいえるだろう。

　牽引などは行わないというオーナーさんの意向により、余ある低速トルクを多少犠牲にしてでもロングチューブへダースを採用することで、エンジンの立ち上がりの反応を向上させた結果、その他エンジンチューンと相まって、アメリカンV8エンジンにとっては高回転域と言われる6000回転前後まで一気に軽々吹け上がるスーパーV8エンジンに生まれ変わり、もはやマッスルカーをも相手ではないと思わせる存在にまで高まったのである。

このクルマの厳つさを高めるアイテムとして選ばれた丸目4灯のヘッドライト。ヘッドライト上部にはオリジナルのアイラインを装着することで、彫りの深いマスクが完成したのである。SP360フルエアロやガンメタリックのレーシングストライプとのコンビネーションも良く、SUMという新しいジャンルのアメ車として、マッスルSUVとして多くの人々を惹き付けるだろう。

ボディカラーにあわせてレースラインの20インチホイールをチョイス。これに合わせ4輪ディスク化し、APレーシングの6ポッドブレーキと大径ディスクを装着。止まることにも抜かりなし。

ホンモノのマッスルSUVに!

　改めて試乗したが、その咆哮はあのテレビや映画で見る、かなり脚色された派手派手なアメ車の効果音そのものであり、低速から高速に至るまで気持ち良く、そしてパワフルに、さらに軽々と吹け上がる。ここまでリアルでメカニカルなV8サウンドは、ノーマルでは決して味わえないだろう。さらに四駆でここまでの加速感をNAエンジンで体感できたのも初めてである。

「このデュランゴに搭載されているV8エンジンだって、元を辿ればマッスルカーに搭載されているV8の血筋に通じるものがあるんですよ。だからそれを蘇らせてやって、あとはオーナーの好みに応じて味付けを変えて雰囲気作りをしてやればいいんじゃないでしょうか」と高橋氏は語る。

　このデュランゴには、最強のV8エンジンを生かすためのチューニングが、ボディや足回りにも施されている。パワーを使い切るための足回りに、それを受け止める強大なブレーキシステム等。ボディには、まるでチャージャーのごとき丸目4灯のヘッドライトが組み込まれ、マッスルカーとしての厳つさも身につけた…。

　ちなみに、遊び心に溢れた演出として、NOSをドライショットで噴射する方式をも搭載しており、映画ワイルドスピード×2でGT-Rが行っていたようなパージバルブにて派手な噴射時の様子も実演できる。

　もちろん、この一瞬においては動力性能も上がるために、ここぞという時のとっておきの楽しさも備えた1台となっている。

ナイトラス・オキサイド・システム（NOS）とは、亜酸化窒素（笑気ガス/N20））と呼ばれるガスをエンジン内部に噴射するシステムのこと。今回はドライショット方式を採用し、パージバルブにて派手な噴射時の様子も実演できる。もちろん、この一瞬においては動力性能も上がるために、ここぞという時の楽しさも備えている。タンクは後席中央に設置している。

内装のカスタムはすべてオーナーさんの意向によるもの。モニターやイルミなどのカスタムもSUVならではと言えるだろう。

デュランゴの走りをどうぞ！　V8サウンドが聞こえるでしょうか？



注目のマフラーサウンド！　ちょっと雑音入りですが…



強面のフロントマスクを見てください！



再度、走りです。後半が結構いい音させています！



NOSの雰囲気をどうぞ！



パージバルブにて派手な噴射時の様子を撮りました



NOSは実際の効果もそうですが、こういった特殊っぽさがいいですね！