重厚なドアを開け、ドライバーズシートに収まってドアを閉じたときに感じる一種の閉所感。ボディのガラスエリアが極端に少なく、横を向くと首のあたりまでどっぷりクルマの中に埋もれている。巨大なダッシュボードが前方の視界の大半を占める。メーター周りはシンプルながらもH2のような、わざとらしさは微塵もない。使い勝手よく、手触りの感触も悪くない。後方視界は、多少制限されているが、大型サイドミラーがあるからほとんど気にならない。
ドライビングポジションは、簡単に決まった。操作系の剛性感は非常に高く、ペダルもステアリングもシフトレバーもがっしりしっかりしている。走り出しても印象は変わらない。H3のボディは、一塊の金属のように強固で猛烈に硬い。だから路面からの突き上げでもボディは動じずフロアもびびらない。内装も見た目だけでなく、作りと建て付けがしっかりしておりビビり音も皆無だ。さらに足回りが秀逸だ。動き自体はかなりキビキビしており、だからといってガチガチに固めてあるわけでもない。
だが、3.5リッター直5エンジンは少しばかりプアである。このボディにこの足回りなら、たとえV8エンジンが搭載されていようともこなしてしまうと思えるくらいしっかりしているから余計に目立つ。実際には吹け上がりはなめらかで、トルクバンドも広いから実用的には文句なく、また乗りやすいのだが、空いた高速道路をドカーンと行きたいという気持ちも分からないでもない。ブレーキは速度を問わず素晴らしかった。ペダルストロークが短く踏力でコントロールでき、ペダル自体の剛性感は高い。少なくともアメ車でここまでブレーキフィーリングのいいクルマに出会ったのは初めてである。
H3を称して「ミニハマー」と言うかもしれないが、実際にはエンジンパワーとボディの大きさ以外、H2のすべてを凌駕しているといっても過言ではない。
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