トヨタエスティマの北米専用モデル「プレビア」の後継車として2011年にデビューしたトヨタシエナ。登場から4年目となる2015年モデルにおいて自身初のマイナーチェンジが実施された。今回取材するモデルはその2016年の最新モデルとなる。
2015年のマイナーチェンジにおける変更点は、エクステリアにおいてはヘッドライトやテールライトのデザインにとどまっているが、インテリアは大幅に一新されており、これまで以上に高級感のある室内空間へと生まれ変わっている。
取材したのは2016年の「XLE」。シエナといえば「SE」グレードが有名であり、専用のエアロパーツや19インチのアルミホイールを装備し、低められた車高等によって走りの質感が高められたモデルである。ちなみにこの「SE」こそ、日本におけるシエナ人気を支えた立役車ともいえるのである。
で、「XLE」であるが、2016年モデルの本国ラインナップに大きな変更はなく、従来どおりの「L」/「LE」/「SE」/「XLE」/「LIMITED」の5グレード展開であり、同じく全車パワートレインも3.5リッターV6エンジンと6速ATの組み合わせとなる。また、駆動方式は全車FFが標準となっており、「LE」/「XLE」/「Limited」の3グレードのみオプションでAWDのチョイスが可能となる。
今回取材した「XLE」はFF駆動であり、セカンドシートに福祉車両用の電動シートが装着されている。この福祉車両化は、シエナにおいては「LE」と「XLE」のみに装着可能であり、今回人気の「SE」を外し、「XLE」の福祉車両の新車をあえて導入したというのである。
2015年モデルのシエナから、インテリアは一新され質感が大幅にアップしている。まさにトヨタ次世代のデザインに生まれ変わったといっていい。ステアリングデザインが変更され、メーター類のデザインも刷新、さらに使用されているトリム全体の質感も大幅に高まっている。「XLE」はシート表皮がレザーとなり、これまでのイメージであった「若々しさ」からどちらかというと「高級」へと格を上げた感じである。
シエナはミニバンとしてよりも、乗用車としてのベースがありそれを背高のミニバン風に仕上げたモデル。
リア姿だけを見れば、日本のエスティマにもみえなくはないが、実際には一回り大きいし、何よりフロントマスクを見ればまったく違うことがわかる。
搭載されるエンジンは、3.5リッターV6DOHCエンジン。266hp、最大トルク245lb-ftを発生させる。このエンジン、グレードによって違いはないのが嬉しい。なお、2012年までは直4エンジンが存在したが、2013年モデルから消滅している。
今回、新車だが試乗させてくれるということで、遠慮なく走らせてもらったが、日本製トヨタミニバンに乗っているお父さんには是非にとオススメしたい! そのくらい質感良く、走りの満足感も高い。
スポーティな「SE」の人気は当然わかるし、エアロ等の有無がもたらす印象の違いも明確である。だが、この素のシエナの乗り味も十分に良く、40代も半ばを過ぎると意外に硬いのを嫌う傾向があるということで、そういう方々にはうってつけ。
路面の凹凸をバタバタせず、軽くいなす感じが非常になめらかで感触の良さがハッキリと伝わって来る。ミニバン使いの「人とは違う新たなる選択肢」として本気でオススメした1台であった。
それにシエナの魅力は、そのサイズ感ゆえにもたらされる広大なスペース。今回あらためて確認したが、サードシートを畳んでセカンドシートを前寄りに移動させれば、車中泊スペースが十分にあるし、当然多くの荷物や人を快適に移動させるし、グレードによっては4WDもあるわけだし。普段使いにもキャンプ等の遊びにも使える相棒として十分に活躍するはずである。
機能的な部分において国産に劣っている部分はまったくない。メーター周りの構造もシンプルだが実用的であり、全体的に満足感は高いインテリア。
シフト位置は独特だが、操作性は逆に高く、積極的に6速ATを駆使した走りが可能である。またエアコン等の操作パネルの使い勝手がわかりやすく使いやすい。
日本で言うところのウエルキャブ仕様。セカンドシートが自動リフトアップ&ダウンになる。手持ちのリモコンキーを押し続けることで操作する。
実際に運転してみるとやっぱり大きい(笑)。でもミニバンでありながらも、背の高いミニバンとは異なる安定感の高い走りと広いスペースは魅力である。
くわえて、シエナは日本製のミニバンたちとは異なる全高の低さからくる高速安定性の能力が高く、横風等による不安定な状況が少ないのが、遠出をする上でもありがたい。
ちなみに、この車両には福祉車両としての電動セカンドシートが装備されているが、もしそれが必要なければ、他の「XLE」の在庫もあり、もちろん「SE」の在庫もあったから、他から選ぶことも可能である。
なお、気になるメンテナンスに関してだが、日本製トヨタとほとんど変わらないレベルといえば一瞬にして理解してもらえるだろうか。
ベルエアーにはここ最近で数台の車検を迎えたシエナがあったというが、基本的な車検整備のみでそのまま乗り続けているユーザーがほぼ100%に近いというし、下手にいじらず普通に乗っている限りは、国産トヨタと基本的に大差ないと断言できるということである(さすがトヨタ!)。
ただし、カスタムするためのパーツはほとんどなく、あってもアメリカオーダーとなることから、時間がかかるということも覚えておくといいかもしれない。
シエナといえば、スポーティな「SE」が販売の中心となるのは致し方ないのだろうが、この「XLE」や「LIMITED」等のシンプルかつ豪華なグレードの販売数が増えたときこそ、シエナが日本に根付いた本当の証となるのであろう。
逆車の雄、タンドラも人気だが、タンドラよりもシエナの方が乗り越える障害というか敷居は高くはないので、その可能性は俄然高いと言えるのではないだろうか。
荷室側からサードシートを倒すのは手動。だがその際の動きはさすがトヨタ。アメ車よりも簡単に操作可能でスムーズ。女性でも楽にこなせる。
サードシートを折りたたみ、セカンドシートを前に移動すれば広大な荷室が。車中泊のスペースとしても使えるほどだ。
サードシートが生きた状態でも荷室スペースに深さがあり、断然使える。
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES
35,530円
EXTERIOR
6DEGREES
8,151円
MAINTENANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES