アストロに搭載されるエンジンは基本トラック用である。1995年まではエンジンコードZのTBIで160馬力を発揮する。
93〜95年に同時に存在していたエンジンコードWが200馬力。1996年からエンジンコードがWのみとなり、コンピュータシステム、エンジンマニホールド変更などを経て190馬力と10馬力ダウンしたが、基本トルクがフラットになってスムーズな優等生エンジンとなった。今風に言えば、草食系エンジンになってしまった感じである。だが、個人的には1996年以降のボルテックは、今ひとつ調味料が足らない気がする。
そこで肉食系の当ショップとしてのアドバイスは、カムアプローチの変更である。カムアプローチの変更といえば、バルブの開タイミング、時間、量を変えることであり、内燃機関にとっては4サイクル/2サイクルを含め大きな性格の変更となる。例えるならこれひとつで、重量上げの選手から陸上のスプリンター選手へ、格闘技で言えば、プロレスラーからフライ級ボクシングの選手になってしまうような感じで、エンジンそのものの性格ががらりと変わってしまう。
ちなみに、なぜそこまで変わるのか? 概要を説明すると、エンジンは混合気(ガソリンと空気の混ざった)とシリンダーに取り込む自然吸気において、シリンダーあたり100%の混合気の充填は未だに難しいとされている。そこで、どのような回転数に合わせ、シリンダーに混合気を送り、効率よく燃焼ガスを排出するかでエンジンの性格が変わってくる。大雑把に言えばトルク(力)を出すには 長い時間でしっかりと混合気をシリンダーに充填させ、そして排気を長い時間かけて排出するとトルクが出る。
しかしデメリットは高回転になると短時間に充填となり、充填が間に合わなくなる。
ということで、エンジンとしては低回転型エンジンとなり一般的には商用車用エンジンになる傾向が強い。
一方、高回転型としては 時間が無いため早く開閉をしなくてはならないので、カムリフトは高く鋭利な形で、しかも開くタイミングは、かなりフライング気味(オーバーラップ)でバルブ吸気排気の開閉をしなければならない。
しかし低回転ではフライングでバルブが開いてしまうので、混合気の速度が間に合わず燃焼が上手くできない。というわけで、F1などはアイドリングがかなり高いのだ。
アメ車の場合、その色々なバルブの開閉タイミング、リフト量などは、色々なエンジンの使用用途に合わせアフターメーカーから発売されている。
代表的には、イスキーカム、コンプカム、クレーンカム(最近つぶれた?という噂?)トキシックカム、エーデルブロックカムetc。
で、今回は、このアストロを使用目的、オーナーコンセプトに合わせカムアプローチを選出し、マックストルク2500〜3000rpm、最高回転数を 5500rpm(アストロの場合ATでもあるし、実際には5500rpmもいらないとおもいますが)、低中のトルクレスポンス、リフト高く、開閉長く、オーバーラップ少な目(ノーマルより多い)というコンプカムをチョイスした。
交換後の変化は意外にも大きかった。見た目は、エンジン内部のパーツなので、物理的には判別不能だが、しかし! エンジン始動時の音から激変し、メリハリのある低く乾いた音や右足に直結するアクセルレスポンス、そしてアイドリングから一気に吠えあがるマフラーサウンドやパワーなどが楽しめる。正直、「アストロにはもったない」と思えるほどのエンジンに仕上がっている。
ちなみに、スーパーチャージャーなどの過給気との組み合わせも可能であるというから、本格的にエンジンチューンを考えるなら、こういった組み合わせもいいのではないか。
スーパーチャージャーは若干コストが高いが、カム交換だけならなら、低コストで燃料消費も少なく押さえられるというメリットもある。そして車種を選ばないから、エンジンのフィーリングを変えてみたいと思うなら一考の余地ありだ。
カムの交換とは、ある意味古典的なチューニングだが、今の時代に相応しい新スタイルとして再認識してもいいのではないだろうか。
TEST RIDE
BUBU / ミツオカ
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES