更新日:2019.11.19
文/椙内洋輔 写真/フォードモーター
フォードマスタングは、歴代マッスルカーの中で最も成功した車両の一つである。が、そんなマスタングでさえ、近い将来を危惧している一台であると言われている。今回発表されたマスタングマッハEは、そうした未来に対するフォードの答えの一つなのだろう。
11月18日にワールドプレミアされたマスタングマッハEは、電気自動車となるクロスオーバーSUV。航続最大距離は300マイルということで、450キロ以上の走行を可能にしている。
たとえば、起亜のNiro EVは239マイル、ジャガーI-PACEは234マイル、アウディE-Tronは204マイルということであり、今後発売が予定されているテスラモデルYが300マイルと言われているから、現状ではトップクラスの航続距離と言えるのである。
販売グレードは、「SELECT」、「CALIFORNIA ROUTE1」、「PREMIUM」、「FIRST EDITION」、「GT PERFORMANCE」の5種類となり、搭載バッテリーや駆動方式の違いで9種類のバリエーションが存在する。なお、駆動方式は、FRの後輪駆動とAWDの四輪駆動となる。
搭載バッテリーのパワーは、上記5つのグレードと駆動方式により異なる。
・SELECT 後輪駆動 255hp/ 306 lb-ft
・SELECT 四輪駆動 255hp/ 417 lb-ft
・PREMIUM 後輪駆動 255hp/ 306 lb-ft
・PREMIUM 四輪駆動 255hp/ 417 lb-ft
・PREMIUM 後輪駆動 282hp/ 306 lb-ft
・PREMIUM 四輪駆動 332hp/ 417 lb-ft
・FIRST EDITION 四輪駆動 332hp/ 417 lb-ft
・CALIFORNIA ROUTE1 後輪駆動 282hp/ 306 lb-ft
・GT PERFORMANCE 四輪駆動 459hp/ 612 lb-ft
さて、デザインであるが、マスタング一族ということで、フロントリアともに現行マスタングのデザインを踏襲している。
グリルレスのフロントマスクにはマスタングのヘッドライトが組み合わされるが、ボディ全体は抑揚のみで熱処理を思わせるエアダクト系は皆無。そうしたプレーンなボディが若干違和感を感じさせるが、リアテールを見れば一目瞭然で納得する。
マスタングを想起させる3灯式を採用し、マスタングベースのクロスオーバーSUVを十分にアピールしている。
一方インテリアであるが、これまた一目瞭然の巨大なタッチスクリーンが特徴である。15.5インチのスクリーン内には10.2インチのスクリーンと操作ダイヤルがあり、当然フォード最新のインフォメントシステムと同期する。
室内スペースや荷室スペースも他のSUVよろしく広大であり、当然フロントにエンジンがない分、トランクスペースが余分にあるというわけである。
つい先日、新シェルビーGT500の発売が開始されたばかりであり、さらなるマスタング一族のデビューに心躍らせた方も多かったはずである。
が、その実、完全電気自動車ということで、日本のファンにはあまり馴染みがない車種だった、というオチだったわけだが、この先、ブロンコの登場が待っているわけで。だからまだまだフォードには期待したい。
なお、このマッハEだが、日本への直輸入はほとんどないと思われるが、これまでにタホのハイブリッド、エスカレードのハイブリッドにシボレーVOLTが日本に入ってきていたし、最近ではテスラの並行輸入車を何台か見ているだけに、「まったくない」とは言い切れないとは思うが、果たしてどうか。
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