まず前提として、買えるなら絶対にV8を手に入れるべきである。もはやこれは絶対的な真理であると言ってもいい。だが、事情あってどうしてもV8が買えないというのなら、V6も当然視野に入れるべきである。
というのも、現代のV6モデルは、それがカマロであれチャレンジャーであれマスタングであれ、昔のような廉価版、下位グレードモデルというような安っぽさを全面に押し出したモデルでは一切なく、あらゆる装備が充実した立派なバリエーションとして君臨しているからである。
数日前のエントリーで、本誌石山が現行初期型のV6マスタングの試乗記を書いていたが、たしかに初期のV6モデルはファンである。
それはマスタングとしてではなく、1台のFRスポーツカーとして見てもかなりいい。ハンドリングやブレーキングなどのバランスが絶妙で、コーナーでテールを流しても非常に素直。FR初心者でも意外なほど扱い安いだろう。
もちろん、あのパワーだからそのままドリフト状態を維持してコーナーを脱するなんてことはできないが、あのボディ、あの大きさの割には非常に楽しいコーナリングマシンである。
こういった評価を個人的にも持っている初期型マスタングなのだが、今回2013年型のV6モデルに乗ってみると、クルマ自体の良さに驚き、今の時代の進化の速さを改めて感じさせられたのであった。
正直、別物である。少なくとも、クルマから直接感じられるあらゆる性能部分において同じV6モデルとは思えないほど進化している。ざっと見積もって初期型比で145%は向上しているのだ! つまり、約1.5倍良くなっているということは、クルマの半分が変わってしまっているということか。
たとえば、加速。初期型の4リッターV6は210hpというパワー数値だったが、2013年型では3.7リッターV6と排気量を下げているにもかかわらず(2011年から搭載)305hpを発生させる。この数値、なんと初期型V8モデルと同じ馬力である。つまり、それほどの進化をがもたらされているということだ。
しかもこのV6、初期型と同様に音質チューニングがなされているのか、結構ワイルドに吼える。だからこそ積極的にアクセル踏んで走らせたくなるし、そうやって走るとかなり速い。
エンジンだけじゃなく、基本骨格も含めあらゆる部分がそのパワー増大分、良くなっている。ボディの剛性も高く、ハンドリングが鋭くなり、ブレーキング性能も向上。たった2時間程度の取材撮影だったが、その間に不満を抱く箇所はひとつもなかった。
このマスタングを販売しているASDNは、V6に関してもパッケージモデルやオプション装備を含め、ほぼフルラインナップを敷いているために、「シンプルなV6」といった昔の認識に捕われることなく、理想のV6マシンを手に入れることが可能である。
たとえばAT、MT問わず購入可能だし(MTだと一層楽しい気がする)、センターストライプを入れたり、ホイールをセレクトしたり、もしくはジャパンオリジナルのパッケージモデルとして発売されている「SS コブラパッケージ」なる特別仕様を手に入れたりすることもできるのである。
ちなみに、現行マスタングのリアテールは、シーケンシャルリアテールと言われており、US仕様のままでは日本の車検を通すことができないのであるが、ASDNのマスタングは独自にリアテールに改良を施し、US仕様のままの状態で車検を通すことが可能となっている。いわゆる「こだわり」というやつである。
余談だが、日本フォードの正規モデルは、日本の法規に合わせたやつに改善されている。
300hpオーバーといえども、闇雲にパワーアップされただけでなく、車輌全体がその馬力向上と共に進化していることが確実にうかがえる2013年モデル。もはやV6とV8を同時に乗り比べてみなければ、その差を書き記すことは不可能なほど、V6の出来はイイ。
これなら、「絶対にV8じゃなきゃ嫌」、という方以外は積極的にV6を選んでも良いのではないだろうか。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES