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チャレンジャーに長く乗るために <油脂類変>

ダッジチャレンジャー How to メンテ

本国純正オーナズマニュアルを確認してわかった真実

すでに生産終了したチャレンジャーだから今後は本国メーカーから情報が出ない。だからデキる工場と付き合うことが必要になる。

更新日:2024.04.08

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ABE CARS Tama Garage TEL 042-311-0041 [ホームページ] [詳細情報]

知識や経験値の豊富な工場と付き合うススメ

 まず前提として、ダッジチャレンジャーは正規輸入車ではなく並行輸入車であるから、日本国内で「これっ」といった整備の決まり事があるわけではない。

 あったとすれば、それはショップごとの見解による<独自裁量>になっているはずだ。

 だからちゃんとしたショップで整備する方がいい。「ちゃんとした」とは知識や経験値の豊富な工場という意味である。

 というのも、チャレンジャーの本国オーナーズマニュアルを見せていただいて驚いたから。

▲ダッジチャレンジャーの本国オーナーズマニュアルをチェック。

▲油脂類に関する明確な交換期間は明記されていない。

 例えば国産車であれば、「エンジンオイルは5000キロ&半年での交換が望ましい」とか「ギアオイルは8万キロごとに交換が望ましい」とか、もちろん各メーカーによって異なる部分は多分にあるが、はっきりとした「数字」が明記されている。

 だが、チャレンジャーのオーナーズマニュアルには、例えばオイル系であれば使用すべきオイルのグレードや粘度指数は明記されているが、はっきりとした交換サイクルは全く明記されていない(だからショップごとで発言内容が異なる場合が多分にある)。

 「それは今やあらゆる部分が車載コンピューターで管理されていて、チャレンジャーの場合エンジンオイルに関しては『オイルライフ』をメーター内で確認することができるので、それが交換サイクルのベースになっているからです」とアベカーズ多摩ガレージメカニックの法霊崎氏が教えてくれた。

 すなわち、メーター内で確認できる「オイルライフ」のメーターが「ゼロ」に近くなればオイル交換の目安ということになっているから、あえてオーナーズマニュアルに交換サイクルが明記されていないという。

 ただし、法霊崎氏によれば、「これはあくまで参考にすべき程度の目安であって、やはりエンジンオイルは5000キロ&半年での交換(二回に一回のフィルター交換)が望ましい」という。

▲エンジンオイルの交換期間は明記されていなくともゲージがあるからそれにて状態の確認をすることは可能である。

▲メーター内で確認できる「オイルライフ」。メーカー的にはこのメーターが一つの交換基準になっている。

▲アベカーズ多摩ガレージのメカニック・法霊崎氏。物腰柔らかい非常に丁寧な語り口が特徴である。

 というのも、この「オイルライフ」のメーターはエンジンオイルの性能の劣化を直接感じているわけではないから。単純に走行距離をベースに「オイルライフ」を算出しているに過ぎず、純粋なオイルの性能劣化を把握しているわけではないからである。

 しかもこの距離は、基本的に「アメリカの道」を走ることを前提にしている。だから、それらを加味して日本の道路事情や気候、そして日本的なチョイ乗り使用を加味すれば、「オイルライフ」をベースにするよりも、日本的な整備意識による点検&交換が望ましいという。

 もちろん、これらはアベカーズ多摩ガレージによる独自裁量であるが、当然、適当な独自裁量ではない。しっかりとした見識に基づく、そしてチャレンジャー以外のフォード車やGM車を扱うことによって得られた経験値によるものであるから、そこに他店との差が生まれている。

▲エンジンルーム内にはエンジンオイルに関するゲージはあるが、ミッションオイルのゲージはない。別の方法での確認が求められている。

▲2015年以降のチャレンジャーには8速ATが使用されているが、それらは精密機器として厳格なオイル管理が求められている。

 続いてミッションオイルである。ATに使用されるオイルをATFといい、MT車に使用されるオイルをギアオイルという(以下、ミッションオイルに統一)。チャレンジャーに関しては、この部分に、ショップごとの多くの見解の違いが見られるから注意すべきである。

 まず、一昔前のアメ車ではエンジンルームを見れば、エンジンオイルやミッションオイルのゲージが確認でき、そのゲージによって劣化や量の確認が可能であった。

 だが、今現在のアメ車のエンジンルームに、ミッションオイルのゲージは100%の確率でない。

 「それは現代のミッションが非常にセンシティブな機械であるから、基本的に『誰もが簡単に触れられない箇所』にしているからです」

 昔のミッションとは段違いに精密機器となっている現代のミッションを、昔のような、ある意味気軽な感じで触れられては困るというメーカーからの意思表示であるという。

 だが、それに乗じて「ミッションオイルは交換しなくていい」というのはちょっと早計である。

▲車両をリフトに載せ下回りを確認。法霊崎氏が触れている部分がミッションのオイルパン。

▲このオイルパンの内部にはフィルターが装着されており、ミッションオイルを交換する場合は、このオイルパンごと新品に交換する。

▲ちなみにこちらがオイルドレン。オイル交換時に最初にオイルを抜く箇所である。

 ミッション自体が非常に精密な機械になっている。当然、そこで使用されるオイルも厳密な管理のもと管理されなくてはならず、素人がむやみやたらにオイルを継ぎ足しすることはできないようになっている。

 仮にオイル交換する場合は、当然ながら適切な手順のもと、厳密な量と温度の確認が必要になる=作業難度が非常に高い。

 だから、それをもって「ミッションオイルは交換する必要がない」というショップが多くある。作業難度の高さを知っていれば、「やりたくない」というのが本音ではないかと勘ぐりたくもなるが、実際にそういうショップが多数あるので注意が必要である。

 だが法霊崎氏は言う。「やはり距離を走ればオイルは確実に劣化しますし、ミッション内部を浮遊する鉄粉量も多くなり、オイルパン内部にあるフィルターさえも越えてしまう極細かな鉄粉もありますから、交換はマストですね。フィルターが付いているということが、それなりの理由があるという意味だと思います」

 チャレンジャーをリフトに載せ下回りを見ると、ミッションのオイルパンが見える。このオイルパンの中にはフィルターが装着されていて、ミッションオイルを交換する場合は、このフィルターが装着されているオイルパンごとの交換となるという。

▲ミッションケースにあるフィラープラグ。ここからミッションオイルの確認をすることが可能である。

▲ミッションオイルは「5年 or 5万キロ」での交換が望ましいとアベカーズ多摩ガレージのメカニック・法霊崎氏は語る。

▲ミッションオイルの交換は、オイルの量と温度を厳密に管理しながら交換しなくてはならない非常に難易度の高い作業。量が足りない&多いということがあれば、ミッション自体を壊してしまう可能性があるから、誰もが安易に確認できないような仕組みになっている。

 さらにフィラープラグの存在を教えてくれた。この下回りのミッションの片隅にある小さな確認口である。

 実は本国オーナーズマニュアルには、このフィラープラグからミッションオイルの確認が記されている=素人が安易に確認することが可能ではない場所=整備のプロによる確認が求められている証左なのだろう。

 「ミッションのオイルもエンジンオイル同様にオイルの交換時期が明記されてはいません。ですが、年式&走行距離に応じてフィラープラグにてオイルの劣化を確認することが可能です」

 では一体、どのくらいでの交換が望ましいのだろうか?

 「いろいろな見解があるとは思いますが、個人的には『5年 or 5万キロ』での交換が望ましいとは思っています」

 5年といえば、新車で購入して二回目の車検時、そして新車から5万キロの距離を走れば(日本の道路を)、アメリカの道以上にオイルにストレスがかかっている可能性が考えられる、と推察すれば、かなり適切な期間&距離とも言えるだろうか。

 「もちろんいろいろな見解があると思いますし、もう少し長いスパンと距離で交換する場合があっても良いと思います。ですが、オイルは確実に劣化しますから、フィラープラグからの確認を含め適切な処置が施されれば良いと思います」

▲ダッジの専用電子デバイス・ワイテック2.0を繋いで温度管理を確認することも必須。

▲ご覧のようにミッションオイルの温度を確認することができる。

 ちなみに、ミッションオイルに関してこうした説明が可能である理由は、法霊崎氏を含めたアベカーズ多摩ガレージのメカニックが多くのミッショントラブルを含めたミッションオイルの交換を行っているからである。

 「ダッジチャレンジャーに限らずフォードマスタングやエクスプローラーといった日本でメジャーなアメ車たちのATトラブルを多く体験しています。また、ミッションオーバーホールや他店からのミッション交換作業といった整備依頼を受けることも多く、それに伴うミッション関連の整備(オイル交換を含む)を数多く行っているという現実があるんです」

 それすなわち、そうした知識があり、技術があり、それらを行う機器があるからこそ可能になっているということであるが、そうしたミッショントラブルを回避するためにも、オイル交換は必須である!

 トラブルや違和感が起こったのちに交換を考えるか、例えば5年5万キロ程度を目安に自ら交換するか、をユーザーそれぞれが今一度考えてみるべきではないだろうか。

 そして作業を施工する場合は、適切な作業が求められるだけに知識や経験値の豊富な工場にて行うことが必須である。

▲チャレンジャーに長く乗るなら、知識や経験値の豊富な工場との付き合いが欠かせない。

▲アベカーズメカニックによって厳密なチェックを受けた個体が販売されている。2020年型R/Tスキャットパック。2万キロ弱走行車。

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