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夏のバッテリーチェックが欠かせない理由とは

バッテリー交換の注意点

DIY作業での交換は勧められない

バッテリー交換における注意点を取材した。

更新日:2025.08.20

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ABE CARS Tama Garage TEL 042-311-0041 [ホームページ] [詳細情報]

DIY交換は車両にダメージを与える可能性あり

 アメ車を含むクルマ全般にとって過酷な時期がやってきている。特に気になるのがバッテリーである。

 一般的にバッテリーにとってベストな気温は20~25℃程度と言われている。すなわち、暑すぎても寒すぎてもバッテリーには良くないということ。

 で、直近のお盆休みを含めたロードサービス出動原因の第一位がバッテリー上がり。

 すなわち、夏の暑さにバッテリーが耐えられず尽きた=暑くなればエアコン使用が増え、それにより電力負担が増える。バッテリーも走れば若干の充電はされるが、それよりも供給量が増え次第に息絶える・・・、といった感じだろうか。

 こうしたバッテリー上がり(突然起こるから困る)を防ぐためには、言わずもがな、定期点検が必要になる。そして弱ったバッテリーはためらわず交換が必要になる。

▲バッテリーが一番苦手な季節が夏である。適切なチェックを行い不安のない夏を過ごして欲しい。

 で、ひと昔前なら、こうしたバッテリー交換についてDIY情報を取材したりしていたが、昨今の車両ではNG。特にコンピューター制御された現代のアメ車においてはバッテリー交換をDIY作業することは勧められない。

 それは、ひと言で言えば車載コンピューターによってあらゆる部分が監視されているから=クルマを走らせていない時にも内部で動いている=だから電気を全オフしてバッテリー交換することは避けたい。

 もちろん、登録していたパワーシートやオーディオ、ラジオ等のメモリーが消えてしまうということもあるが、それらは大きな理由のうちの一部に過ぎない。

 ということを踏まえ、アベカーズ多摩ガレージにてマスタングのバッテリー交換における注意点を取材した。

▲フォード認定サービスセンターのアベカーズ多摩ガレージにてマスタングのバッテリーについて話を聞いた。

 マスタングのバッテリーは向かって左上位置にある。余談だが、ダッジチャレンジャーの場合はリアトランクに、シボレーカマロの場合はリアトランクサイドにバッテリーが搭載されている。

 カバーを外し、バッテリーを確認する。まず分かるのが、バッテリーマイナスターミナルに繋がる配線上に位置するセンサーの存在。これ、電流値をモニターしているセンサーであり、このセンサーが車載コンピューターにバッテリーの状況等の情報を伝えている。

 今の時代のアメ車には、こうしたセンサーが様々な場所にあり、車両全域をモニターしている=電子制御化が進んだ現代のアメ車ならでは=車両の診断に専用の電子デバイスが必要になる理由がこれである。

▲▲2015年以降のマスタングのバッテリーサイズは高さが若干低いタイプの規格。交換時にはサイズの要確認を。

▲▲バッテリーマイナスターミナルに繋がる配線上に位置する電流値等をモニターしているセンサーの存在。赤い矢印がそれ。

▲センサーのアップ写真。

 まずはバッテリーを診断してみる。診断機を繋ぎバッテリーのヘルスチェックを行う。ようはバッテリーの状態確認である。この車両のバッテリーに問題はなかった。この段階で問題があればバッテリーを交換することになる。

 なお、バッテリーを交換する場合の手順は割愛する。

 だが、プロショップで行う場合の利点は、交換時にバックアップ電源を取り、車両に予備電源を流したまま交換作業が可能になること。

 すなわち、電気を全オフすることなく交換することが可能になるから、車載コンピューター等を止めることなく交換が可能になる。

 そして交換後のもう一つの大切な作業を行ってもらうことも可能になる。それが交換後のセッティング作業。

 バッテリーを新品に交換したら、発電量等の状況が変わっている(良くなっている)はずである。それを車両側に伝える必要がある(バッテリーが弱ってきたという認識はするが、新しく交換されたことを自動で認識するレベルではまだない)。

 それをしないと古いバッテリー使用時の設定のまま走ることになるから設定をリセットする必要がある!

▲電圧計でバッテリーの状態チェック。バッテリー情報を入力して測定。

▲CCAが570ENのバッテリーで実測469ENを記録。バッテリー状態は良好という結果。

▲こちらが搭載バッテリー。CCAは570ENと明記されている。

▲バックアップ電源を取る場合はOBD2を利用し、そこに微弱電源を流しバッテリー交換を行う。そうすれば全オフすることなく交換可能になる。

 そのセッティングには専用の電子デバイスが必要になる(フォード専用VCM3)

 フォード車の場合、バッテリーが弱った状態でエンジンをかけずACC状態で電気を使用していると、センターモニターにモニターバーが現れ、一定時間を過ぎると電源が自動的にオフになる。

 それは、車両側が「バッテリーが弱っているからこれ以上電気を使用していると危ない」という判断を各種センサーで行っているからであり、仮にバッテリー状態が悪くなければ、上記のようなモニターバーが出てくることはない。

 古い設定のまま使用していると、バッテリー状況が良くないという認識のまま電気を使用することになるから、上記のような弊害が出てくる可能性がある。

 よってそうした車両側の認識を、バッテリー交換後に改めてやる必要があるということである=ガソリンスタンド等でも交換は可能だろうが、上記のような設定変更を含めればプロショップにて作業を依頼した方がいいに決まっている=アベカーズ多摩ガレージはフォード認定サービスセンターでもある。

▲バッテリー交換を行った後にバッテリーを交換したことを車両側に認識させる作業が必要になる。

▲バッテリーモニタリングセンサーを示す項目等の情報を改める。

 仮にDIYでバックアップ電源を取ってバッテリーを交換することが可能であったとしても、こうした交換後の設定はDIY作業では絶対に無理である。

 アベカーズ多摩ガレージメカニックによれば「単純なバッテリー交換作業に見えるかもしれませんが、一歩間違えれば車両にダメージを与える可能性があります。そのリスクを考えるとユーザー交換はお勧めしません」

 たかがバッテリー交換という思いがあるかもしれないが、車両の進化とともに作業における手間や手順が変わっていることをまず認識すべきである。同時に真夏のバッテリー状態を一度確認すべきである。

 ちなみに、今回の題材はマスタングであったが、それがカマロでもチャレンジャーでも、電子制御化された現代車という意味では大差はないと言えるのである。

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