2011年モデルとして新型が発表されたというのに、あえて旧型ダッジデュランゴ。「いまさら」的な感じがあるのは承知しつつも試乗してみた。
このデュランゴは撮影後、不等長のロングチューブヘダースや足回りなどにカスタムを受ける予定であり、今が最期の貴重なノーマル中古車ということもあって、記録と記憶に残しておくためにも、あえて取材した次第。だが乗ってみると、いまさら的なオールドテイストを感じるよりは、非常に新鮮で貴重な体験が得られた気がしてならない。
試乗車は99年型ダッジデュランゴ、5.2リッターV8エンジンを搭載したモデルである。
このモデルが登場した時代はSUV活況の時代であり、トレイルブレイザーやエクスプローラーなどのライバルが多数いたおかげで、デュランゴは俄然注目を浴びた。特徴はミディアムクラスのSUVでありながらもV8エンジンを搭載していることとサードシートをも持つことだった。
にもかかわらず、フルサイズSUVと比較すると圧倒的に小さく、使い勝手が非常に良い。そして何よりダッジブランドとしての硬派な雰囲気やスタイルが凝縮されており、見事アメ車ファンとそれ以外のSUVファンの心を捕らえたのだった。
ちなみに、当時の搭載エンジンは5.2リッター(00年から4.7リッターに変更された)と5.9リッターV8の2機種。5.2リッターV8は230馬力、5.9リッターV8は245馬力を発生し、ミドルクラスSUVの中では、パワフルな1台としてファンも多い。
本革シートに腰を下ろしスターターを回す。5.2リッターV8OHVエンジンは、不快な振動や怪しい息継ぎなどは一切伴わずにしなやかに目を覚ました。少々の暖気を経てATをDレンジへ。重みのあるアクセルペダルを踏み、撮影地へ向けてスタートする。極低速域でもこのクルマのやたらめったら高いボディ剛性は健在だった。以前にも数度運転したことがあるのだが、その当時の記憶と照らし合わせてもそれほど劣化した感じはなく、今なお中古車としての「程度」を確保している印象を受ける。
空いた国道でアクセルを踏んでみた。現代の感覚でいえばそれほど速い部類では正直ない。だが見切りの良いボディと機敏なステアリングの反応、そして不快なロールをほとんど伴わない足回りとの一体感が、ドライバーにかなり機敏なSUVに乗っている感じをもたらしてくれる(ステアリングの剛性感はかなり凄い)。
この後登場する次世代デュランゴは、この軽快さをなくしてしまい、フルサイズへ移行することを前提に開発された。だがフルサイズにはバリバリの競合がたくさん存在し、その中で勝ち抜く魅力がなかったためか、生産中止という憂き目に。
もちろんデザイン的な問題もあっただろうが、デュランゴはミドルクラスだから光った部分もあったのだ。
今の時代、意外と機敏に反応するクルマは多い。だがそれは人工的な意図的な味付けのもと行われたある種のドーピングによるものだ。
しかしこの時代の旧デュランゴは、ボディ全体がもたらす車重の軽さなども効き、トータルバランスの良さが光り、今なお魅力的なSUVであることがわかったのである。
「最新のアメ車が最高のアメ車」などという言葉があれば、ほとんどのアメ車が当てはまるものの、一方で例外も確実に存在し、そういうアメ車こそ後に「名車」と言われるような存在になるのではないだろうかと思う。
ちなみにデュランゴ以外にもC5コルベット、キャデラックセビル、フォードエクスプローラーなどは、新型が登場してもなお一つの個性を確立している光り輝く中古車である。
この時代のデュランゴは、すでに旧モデルの中古車としてタマ数も限られているだろう。もちろん程度もピンキリなはず。
しかし過去にブレイクした事実があるだけに、ショップもデュランゴのメカニカルなトラブル&メンテナンスポイントを確実に抑えている。
だからこそ、多少の出費を覚悟してもあえてこの旧型にトライし、車両コンディションを整えた後にカスタムで個性を出すというのも悪くないと思ったのだった。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES