TEST RIDE

[試乗記]

あえて今乗る90年代の名車

シボレー アストロ (CHEVROLET ASTRO)

ノーマルで乗って実用性を再確認

過去、一世風靡したアメ車は数多くあれど、正直今現在中古車を探すとなると少々やれた個体がほとんどではないか。だが、アストロに限っては高年式のディーラー車だと、意外にも程度良好車がかなりの数出回っているという。

更新日:2014.06.25

文/石山英次 写真/古賀章郎

いい意味で驚きの連続

 取材車は、03年のフルノーマル車。走行は7万キロ弱だがフルノーマルであることと単なる実用ワゴンという感じで使われていたということであり、個体の程度はかなりいい。またアストロのならではの信頼性もあるから、安心できる。

 これまで取材したほとんどが、車高を下げていたモノが多かったためか、視線の高さが結構気になるが…。だが、純正のステアリングの操作性は非常に良い。径の大きさも握りの太さも個人的な好みに近い。久しぶりのアストロだが、いい意味で驚きの連続である。

 エンジンをスタートし、いざ出発。しばらく街中を走る。これまで幾度となくアストロを取材してきたが、これほどまでに気持ちよく走るアストロも珍しい。すべてにおいて心地良いのだ。恐らくフルノーマルであることがそうさせている気がする。

 ブレーキも、最初は覚悟していたが、普通に止まる。ステアリングの感覚もダルさは微塵も感じない。けれど、だからといって、国産車なみの剛性感があるか、と問われればさにあらずだが、これまで体験したアストロの中では間違いなくナンバーワンである。

 聞けば、この03モデルから全車16インチタイヤとなり、ブレーキがハイドロブースター付きに強化されるとともに、ブレーキ自体も4輪ディスクとなっているから、雨の日でも非常に安心感が高い。

 搭載されるエンジンは4.3リッターV6OHV。193ps、トルク34.6kg-mを発生させる。レスポンスがいいとか、静粛性が高いとかいう評価はできないが、それでも2トンを越える車体を軽々走らせ、他のミニバンを圧倒するパワーを見せつけるトルクフルなエンジンにはハッキリ言って感動させられる。

 一方足回りは、かなりソフトな部類に属するが、商用ベースと考えるとそれほど悪いとは言えない。逆にノーマルでも十分に走れることを知り、改めてアストロというアメ車に可能性を感じた次第である。

エンジンは4.3リッターV6OHVを搭載する。193ps、トルク34.6kg-mを発生させる。2トンを越える車体を軽々走らせ、他のミニバンを圧倒するパワーを見せつけるトルクフルなエンジンだ。ただし、エンジンの振動や騒音はご愛嬌!? 今となってはメンテナンスポイントが明確になっており、維持に苦労することは少ない。

アストロだけを見ればこれでも十分納得できるインパネ。ドライバーを包み込むようなラウンドした形状が特徴。プラスチッキーなチープな感じが唯一の欠点だが、豪華絢爛になってきた現行モデルたちを見ていると、こういった質素なインテリアに懐かしさを感じるのは筆者だけだろうか。

アストロはいじって遊ぶもの

 もう時効だと思うから掲載してしまうが、その昔、横のようなつや消しブラックのカスタムカーに乗り日本全国を回っていたのである。雑誌とショップのコラボでカスタムカーを作る企画だったのだが、筆者はその担当者となり丸一年間自分の車庫にコイツを停めて日常的に使用していたのである(もう15年近く前の話である)。春日通りを走っていたら信号待ちで見知らぬオーナーさんに何度か声をかけられました。なぜか春日通りだけ…(笑)

 そんな経緯もあって、じつはアストロには少々うるさいのだが、そういう筆者をして、このノーマル車は「今でも十分に乗れる」と思う。聞けば、ボディカラー等が選べるほどのタマはないのだが、D車ベースだとたまにこういった出物が現れるらしい。

 筆者自身、「アストロはカスタムして遊ぶもの」との認識もあるから、中古車選びが難しい一台との認識もあったが、絶版になりすでに10年以上経つというのに、いまだこういった上玉に出くわすのは嬉しいことである。

 アストロはこれまでのメディアへの露出の高さもあってか、整備ポイント等も出尽くしているから、中古車でも恐れる存在ではない。100万円前後を出してそこそこの個体を手に入れるのもいいし、グダグダの状態を安価で手に入れ再生する乗り方も、またアメ車の楽しさの一つである。

 そういうわけで、取材車は乗って面白い存在ではあるが、もし手に入れたならちょっとずつでも手を入れてカスタムするともっと面白いアストロになること請け合いである。

ベースとなるアストロは95年型の新車並行車だった。そして、デモカー制作においてこだわったのが、パーツをすべて国産品でまとめること。すなわち純国産パーツを使ったアストロカスタムで、当時のオンリーワンを作り出し、抜群の耐久性をももたらそうとしたのである。

煮詰めた車高&サスペンションとタイヤ&ブレーキパッドによって、箱根の山道をミニバンとは思えないスピードで駆け抜けたのである。

センターコンソールにある6連メーターは、当時、各方面にて絶賛されたパーツだった。

ボディペイント、エアロ各種、車高、サスペンション、ブレーキ、ホイール、マフラー、各種メーター類、レカロシート…etc。


先日行われたアストロ全国大会である。いまだに熱烈オーナーが存在しているのもアストロなら
では。今後本格的にアストロ・リボーンを検討すべきかもしれない。

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>> シボレーアストロ を見る

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