TEST RIDE

[試乗記]

一大カテゴリーの終焉が近づいている

シボレーエクスプレス (CHEVROLET EXPRESS)

パッセンジャーバン最後の2014年モデル

われわれアメ車業界での一大カテゴリーとして君臨していたフルサイズバンだったが、そろそろ終焉が近づいている。フレームボディ+V8エンジン搭載のフルサイズバンが次々に生産終了に至っている。唯一生き残ったエクスプレスにも、ついに魔の手が伸びてきた。

更新日:2014.11.17

文/椙内洋輔 写真/古閑章郎

取材協力/ベルエアー TEL 0436401212  [ホームページ] [詳細情報]

中心モデルがカタログから消えた

 フルサイズバンというアメ車の一大カテゴリーを築いた名車たちの終焉が近づいている。ダッジバンはなくなって久しいが(2003年生産終了)、その後2014年にフォードエコノラインが生産終了し、同じくシボレーエクスプレスのパッセンジャーバンの生産がひっそりと終了を迎えようとしている。

 正確にはエクスプレスに関しては、2015年モデルも引き続きGMラインナップに名を連ねてはいるが、われわれが知るエクスプレスの中心モデル・5.3リッターV8モデルが姿を消した。もう少し詳しく説明しよう。

 シボレーエクスプレスには、2014年で4つのエンジンラインナップが存在した。ボディはG1500、G2500、G3500と3つのバリエーション。
・4.8リッターV8 → 4速AT
・5.3リッターV8 → 4速AT
・6.0リッターV8 → 6速AT
・6.6リッターデュラマックスV8ターボディーゼル → 6速AT

 それが2015年では以下のように3つのエンジンラインナップに集約され、ボディはG2500とG3500のみに。
・4.8リッターV8 → 6速AT
・6.0リッターV8 → 6速AT
・6.6リッターデュラマックスV8ターボディーゼル → 6速AT

 エンジンラインナップが集約されたと同時にG1500が外れている。すなわち、5.3リッターV8とともに消えたということである。

 とはいえ、とりあえずカタログ落ちしただけであって、本国ディーラーには在庫車がまだまだ存在しているだろうから、いきなりなくなるということはないだろうが、少なくともカタログ上は5.3リッターV8の2015年モデルは存在しないということになる。ということで、今日本にある新車の2014年型エクスプレスを取材した。

シボレートラックシリーズ共通のツリ目のヘッドライトをはじめ、グリル、バンパー、フードにいたいるまで大幅なリニューアルが施された現行モデル。2003年から2014年までの11年間ラインナップされたが、最終モデルとなった今乗ってもそれほど古さを感じさせないはさすが。

全長×全幅×全高:5696×2012×2126ミリ、ホイールベース:3434ミリがもたらすフルサイズに、フレームボディを組み合わせたバンは、世界的に見てもエクスプレスしかない。その終焉がついにやってきたのである。

このモデルからオプションで両側ドアが選べるようになり、日本での使い勝手も格段に良くなったが、今回取材した個体は本国仕様の右側ドア。しかもスライド。そう言う意味では多少の不便さを感じるかもしれないが、最終モデルの本国仕様というレアモデルを手に入れる機会はそうはないだろう。

ボディとステアリングのシッカリ感が現行モデルの走りの特徴である。

新時代の最新バン事情

 ちなみに、今現在の最新バン事情としては、ダッジにプロマスターというバンが存在し、フォードはエコノラインに変わるフルサイズバンとしてモノコックボディのトランジットがデビューしている。このトランジットには複数のボディラインナップが存在し、フルサイズからミディアムクラスまでを網羅する。

 一方GMはフルサイズに変わる存在らしきものの影は見当たらず、どちらかというとミディアムクラスに集約していこうという動きが感じられる。現在GMには日産車のOEMとしてシティエクスプレスが存在するが、こちらは大活躍の模様だ。

 ということで、フレームボディ+V8エンジンを搭載したフルサイズバンという、ひとつのカテゴリーが消滅の危機に瀕している、というと少々大げさかもしれないが、時代は確実に新たな道に進んでいっているということである。

フォードトランジット。

シボレーシティエクスプレス。

本国仕様に一番近いモデルにこだわった

 2003年にフルモデルチェンジが行われ、その後11年間地道なリファインを行いつつ進化してきたエクスプレスとその兄弟車となるサバナ。現行モデルは、これまでFR一辺倒だったシャシーにAWDが追加されると同時にボディ各部が補強され剛性アップ。さらに径の太いスタビライザーの採用やブレーキ性能の向上で、走行の質感が格段に上がっている。すなわち、相当なリファインが行われたおかげもあって、2014年になってもまだ通用するパフォーマンスを持っているのである。

 一方エクステリアは、2003年当時のシボレートラックシリーズ共通のツリ目のヘッドライトをはじめ、グリル、バンパー、フードにいたいるまで大幅なリニューアルが施されていた。そしてこれまで片側だけだったサイドドアが、このモデルからオプションで両側サイドドアを設定できる等、使い勝手を一段と向上させていた。特に左側から乗降する機会の多い日本では、このドアは重宝するに違いない…、というような常套句を述べようと思っていたら、今回の取材車は実は右側スライドドアのみの仕様だった(笑)。

 聞けば、「本国仕様に一番近いモデルにこだわった」ということであり、右側ドアのみ+スライドドアというレアなパッケージをチョイスしたという(ちなみにこの仕様は本国でも珍しいという)。よく見かける観音開きドアを想定していたが、というか当然だと思っていたからかなりの驚きだった…。

 シルバーのボディカラーもあまり日本では見かけないこともあり、非常に個性的。インパネ等は最新のGM車まではいかずとも、一世代前あたりの質感は有しており、バンらしく質素な空間ではあるが、不満を述べるほどではぜんぜんない。

 実際に走らせてみると、310hp、最大トルク334lb-ftを発生させる5.3リッターV8エンジンは、2トンを越えるボディを軽々と走らせ、低速からぶ厚いトルクで一気に走らせるエンジンであることが分かる。さらに4速ATとのマッチングがこれまた良く、柔軟性に富み、街中から高速までを心地よく走らせる。しかも70偏平タイヤの乗り心地が絶妙であり、意外にも快適だった。

 もちろん重量級のボディだけあって、スポーツカーのような走りはできないが、かなり高いボディ剛性とシャシーの安定感が、背の高いクルマを走らせていることを忘れさせてくれる。ちなみに、個人的に一番感心しているのがステアリングの安定感。適度な重さが保たれ、バンとは思えない身のこなしに驚きを覚える。特にロングホイールベースがもたらす直進安定性の高さは、ちょっとしたSUVを超えるほどである。

搭載されるエンジンは、5.3リッターV8。310hp、最大トルク334lb-ftを発生させ、4速ATと組み合わされる。あまりスピードにこだわるクルマではないが、必要にして十分なパワーであると断言できる。

メーター周りのデザインやステアリング等の意匠は、まさに旧タホのような印象を与えてくれる。昔のような質素極まりないデザインや質感ではないので、新しすぎず古すぎずといった、ちょうど良い塩梅とも言えるだろう。

センターコンソール付近は一世代前のモデルのような雰囲気であり、全体的にシンプルなインテリアである。コンソールに組み込まれたモニターは、バックモニターとして機能している。

圧倒的空間スペースこそフルサイズバンたる所以

 最後に。これまで経験したことのない荷室の積載を確認するために、リアシートを取り外してみた。シート脱着に関しては、最低大人二人が必要だが、さらに取り外したシートの置き場の確保が必要になるが、ご覧のような広大なスペースが。初めて見たが、これこそ「フルサイズ」を名乗るに相応しい所以ということになるのだろう。

 正直、積載量に関してはどんなクルマも適わない、圧倒的空間スペースであり、このサイズを必要としている方々にしてみれば、「これしかない」という唯一無二の存在だろうと再確認できた。

 ちなみに、波乗り等に使われる方の間では「ピックアップvsバン」的な論争があると聞くが、正直筆者も迷うこと必至だ。荷物をそのままの状態で荷台に放り込み、たとえ汚れ物でも、そのままに帰路につけるピックアップ、対して一応洗い流して、最悪拭いて、荷室にしまい込むバンとでは、どちらがスマートか。新車のエクスプレスの広大な荷室を前にして、少々考え込んでしまったが、だがこの荷室の使い方こそ無限大であり、想像力がかきたてたられる。

 もはや絶滅危惧種だが、最後の最後に新車を買い、アメリカ的生活を演出するのも悪くはないだろう。

ファブリックのシートは、ホールド性等の使い勝手が考慮されたものではないが、アメリカ的なクッションの効いたシートになっている。

2、3列目シートは簡単に脱着可能となっているが、取り外しには大人二人が必要となる。

取り外せば、驚くほど広大なスペースが現れる。量だけで言えば、アメ車随一だろう。ただし、何を積むかにもよるのだが。

リアハッチのスイングドアは、ほぼ180度開くので使い勝手十分な利便性を備えている。

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