同じくBCDのチャレンジャーである。なんとヘルキャット。こちらは2015年のほぼ新車。900キロ走行車である。デビュー当時の本国プレミア価格は記憶に新しいが、投資目的で購入された方々が手放す「ほぼ新車」の個体もちらほら出てきたという。
というのも、2016年にも新車の販売が行われており、しかも若干生産台数が増えているということもあり、生涯所有するつもりの愛好家以外が売りに出ているのだろうと推測される。
まあそれでも、ヘルキャット自体の価値が下がっているわけではないし、世界的に見ても、この707hpはスーパーカーレベルそのものだし、レア度も含め、性能重視で見てもチャレンジャーの中で「ベストバイ」な存在なのは間違いない。
なんてったってアメリカ史上最強パフォーマンスを持つ量産エンジンの搭載である。この6.2リッターV8エンジンは、あえて新設計され707hpのための強化と熱対策が行われている。そこは、たとえば某チューナーが6.4リッターV8にスーパーチャージャーを後付けするのとは別格の作業である。だからこそ、本国での5年、10万マイルのメーカー保証となるのだろう。
ちなみにBCDでは、すでに4台以上のヘルキャットを収めているが、トラブル等の実体験は皆無だそうで、さすがは量産エンジン。さらにに余談だが、「本来なら707hp以上出せる」というのがクライスラーの弁である。だが、搭載ミッションの限界もありあえて707hpに抑えているという。
まさにメーカーチューンのモンスターマシンだが、ヘルキャットには赤と黒の二本のキーが用意されている。赤だとフルパワーが味わえ、黒だと最初からパワーが500hpに制限されるという。なお二つのキーを持って乗り込むと自動的に黒キーが優先されて500hp仕様となる。だが、車内で707hpにセッティング変更することは可能というが、借り物の撮影車では赤キーは試せない(笑)。
またSRT392に対して車高が5ミリ下がり、スタビライザーの径が変更され前後トレッドも若干変更されているから、ハンドリングを含めた安定感やキビキビ感は十分に味わえるし、低速でもヘルキャットに乗っている感は確実に伝わってくる。
と同時に、ヘルキャットのみいまだ油圧パワステを採用していることもあって(その他のモデルはみな電動パワステ)、操舵のダイレクト感が圧倒的であり感触もよく、低速域での街中試乗でさえも非常に気持ち良かったわけである。
しかもベースとなるチャレンジャーは2008年デビューのすでに7年選手となるにもかかわらず、ボディ剛性等のひ弱さをまったく感じさせないのも素晴らしく、ボディの根本から手を入れている感じが伝わって来るのも嬉しい。
最後に、軽くアクセルを踏み込んでみたが、その際の加速感とSCのキーンという毒々しいいサウンドはまるでチューニングカーのようなメリハリの効いたサウンドであり、ヘルキャットならではのワープ感は恐ろしいのひとことだった。
2013年~2014年にかけてのマッスルカーナンバーワンは、フォードシェルビーGT500だった。その当時の662hpでも狂気の沙汰と思わせたものだが、2015年に満を持して登場したヘルキャットは、662hpを軽々越える707hp。
だがそれでいて普通にコンビニにも行けるし、新東名の200キロ巡航だって可能だし、それでも持てる力の半分も使っていないような余裕のそぶりが素敵だった。
まるでチューニングカーのようなパワーなのに、荒々しさや使い難さがないのがホントにいい。ヘルキャットは歴代マッスルカー史上最大のパワーの持ち主だが、やはりマッスルカーの絶対的正義は「パワー」なのだろう(笑)。それは1971年も2016年も変わらない。
なお、ヘルキャットの1000万円~1100万円という価格帯は、1300万を越えるポルシェ等の価格を見て、さらに最強のアメリカンマッスルカーということ加味すれば、逆に「安い」と思ってしまうのは筆者だけだろうか。
2018年~2019年にかけチャレンジャー自体のフルモデルチェンジが予定されているというが、次期ヘルキャットが存在するか否かはまったくの不明と言われている。ただ、かりに存在してもイタリア製アルファロメオジュリアのベースを使うことになっているというから、現行モデルの価値はさらに高まるだろうと予測されるのである。
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