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[試乗記]

ヘタなチューニングカー以上のパワーの持ち主

ダッジチャレンジャー SRT ヘルキャット (DODGE CHALLENGER SRT HELLCAT)

にもかかわらず、コンビニから街中走行までを軽くこなす

日本でも滅多にお目にかかれないヘルキャット。しかもMTモデル。ゼロヨン加速11秒、最高速300キロ超を実現するスーパーマシンの片鱗を体感してきた。

更新日:2017.04.21

文/吉田昌宏 写真/古閑章郎

取材協力/BUBU MITSUOKA つくばショールーム TEL 029-846-6600 [ホームページ] [詳細情報]
     BUBU MITSUOKA TEL 0120-17-2290  [ホームページ] [詳細情報]

今や現実的価格帯に落ち着いた

 今年のニューヨークオートショーにて華々しいデビューを飾ったダッジチャレンジャーSRTデーモン。840hpを発生させるスーパーモンスターマシンが遂に登場、というニュースは一夜にして世界中を駆け巡ったが、ちょうどその日に、筆者はつくば市の一般道にてダッジチャレンジャーヘルキャットを取材したのだった。

 その日の早朝にデーモンのニュースを見て具体的な仕様を頭に入れつついざつくば市へ。それにしてももの凄いパワー数値である。パワーがありすぎて前輪がウイリーするというのだから驚きである。「ほんとにそんなに必要か?」という思いはあるにせよ、「こういうちょっとおバカな市販車が販売できるのもアメ車らしいなあ」との思いも頭をよぎる。

 とはいえ「ヘルキャットでも十分だろ? いやいや、正確に言うなら、実際はR/Tでも十分だ」とも。

 そんな感じで運転していたらあっという間につくば店に着いた。向島インターから常磐道に向かって50分程度の距離感である。

 そこで対面したヘルキャットは2015年型。走行700km弱のワンオーナーカー。

 「実走1000キロにも満たないワンオーナーカーって、馴らしも終えていない状況か?」。まさに投機対象の1台だったかもしれない。

 それでも価格は898万円という非常に現実味のある価格だから、デビュー当時のあの本国プレミア付き価格がかなりの異常だったと言えるだろう。

筆者の知る限り、日本に数台いるヘルキャットは、みな黒か赤。だが、マッスルカーには、サブライムグリーンのボディカラーがよく似合う。

リアテールは71年型チャレンジャーの雰囲気を忠実に再現したデザイン。

ヘルキャットにはグリル内の装飾が一切ない。

日本でも珍しいMTのヘルキャット

 過去これまで数回にわたるヘルキャットの取材を行っているが、今回の最大の違いがマニュアル車ということ。

 AT仕様と同様に、赤と黒との2色のキーが用意され、赤だとフルパワーが味わえて、黒だと最初からパワーが500hpに制限されるというギミック的要素が味わえるが、マニュアル仕様はパワーのダイレクト感が半端なく、707hpが直接手中に収められている感が非常に強い。

 仮に黒キーでも十分に速く、同じ速度域でも操っている感触も強いから非常に不思議である。

 ドライバーズシートに座りペダル位置とシートを合わせるとペダル類の配置が適切な位置であることが即座にわかり、しかもクラッチペダルが意外に軽いことに驚く。といっても日本の軽自動車的なペナペナ感では当然なくて、ハイパフォーマンスマシンという立ち位置の中では非常に扱いやすいそれである。

 しかも、低速トルクの巨大さにともなってか、クラッチペダルの上下動だけで細かい移動はまかなえる。だから慣れてしまえばマニュアル車に感じる面倒くささをまったく感じることなく、楽しめるはずである。

 ということで、エンジンスタート。2015年のデビュー時に日本にて登録する際の日本仕様への改善(加速騒音等)は、「ATとMTではまったく違う」という話を聞いたことがあるが、その話も「まんざら大げさではないな」と思わせる爆音が奏でられる。AT以上のもの凄い迫力である。

 ゲートが明確でストロークの適切なシフトを1速に入れ街中に出る。それにしても平日のつくば市周辺の道路は走りやすい。信号から信号への距離が長く、交通量がそれほどでもないこともあって、ついつい速度が上がる。

ヘルキャットに搭載される軽量フードは、ブラックにペイントされる。

向かって右内側だけエアインテーク型のライトになっており、エアの導入口が別途設えられている。

搭載されるエンジンは、新たに開発された6.2リッターV8スーパーチャージャー。707hp、最大トルク650lb-ftを発生させる。赤と黒との2色のキーが用意され、赤だとフルパワーが味わえて、黒だと最初からパワーが500hpに制限される。

荒々しさが微塵もない707hp

 めちゃめちゃ気持ちいい。まず、ヘルキャットのみ電動パワステが採用されていないから、ステアリングフィールが非常にいい。

 というか、ひと昔前の油圧のそれだから懐かしいフィールといってもいいかもしれない。現代の電動パワステはかなり洗練されてはいるが、やはり油圧と比較すればまだまだ差があるのは致し方ないのだろう。

 それにエンジンも刺激的だ。街中では2000回転も回せば十分な速度が出るし後続車を圧倒できるから、ほとんど300hpにも満たないパワーで十分(のようだ)。

 だがマックスパワーの発生回転数6000回転まで(レブリミットは6200回転)、あと4000回転も残っている。「この先どんだけ凄いんだ?」と街中を運転しながらイメージしてみたが、ちょっと無理だった。というか、一瞬3000回転を越えたが、それだけでも瞬時のワープ感に圧倒された(笑)。

 実際、街中での一般走行程度からマックスパワーの発揮まで、どのくらいの伸び率があるかは不明だが、この、普段味わえない伸び率への期待感こそがヘルキャットの証であり、R/TやSRT392との違いになるのだろうし、この非現実的な世界観への憧れに、多くの人々が大枚をはたくのだろう。

 それに、まるでチューニングカーのようなパワー数値を発揮しているにもかかわらず、荒々しさや気難しさが微塵もないのがホントに素晴らしい。

 世間的には、5.7リッターV8HEMIをチューンして707hpを発生させることのできるチューナーはたくさんいるのだろうが、ここまで安定して、しかも近所のコンビニから常磐道の250キロまでをも軽くこなすクルマは果てしなく難しいと思う。そういう意味でもかなりのお買い得だろう。

インテリア全体の雰囲気は、他のチャレンジャーの延長線上のもの。質感はある一定以上のレベルを維持している。各部分のタッチやフィーリングも良好である。

シフトは、短いストロークのスポーティなマニュアルミッション。クラッチのストロークとシフトストロークが絶妙で、運転していてかなり面白い。

3ペダルの間隔や感覚にクセがなく、低速トルクが大きいから、慣れればアイドリングスタートが可能。クラッチは、707hpのクルマにしては想像以上に軽いと感じる。

歴史に名を残す現代版名車の1台

 ちなみに、ヘルキャットはちょっとしたレーシングマシンのようなパワーウエイトレシオを実現しているから、迂闊にパワーを与えればクルッとテールが回ってしまうことが簡単に想像できる。それにたとえばスタビリティコントロールのような補助機能がどのレベルで介入してくるのか、それ自体を実際に試すこともはばかられるのは言うまでもない(笑)。

 だから手に入れたオーナーさんは、サーキットのような公道以外の場所に持ち込むか、それとも公道で直線だけ踏んで楽しむか。もしくは普通に走り、持て余すパワーを心の余裕として取っておくか。

 いずれにしても、同じチャレンジャーの姿をしてはいるが、R/TやSRT392とはまったくの別物であり、作り、性能、あらゆる面において、歴史に名を残す現代版名車の1台と宣言していいだろう。

 なお、こちらの個体を扱うつくば店ではBCD車両を扱っており、BCDはヘルキャットだけに限れば、在庫車も含め日本にてすでに10台もの個体(新車、中古車を含め)を扱っており、日本で一番の販売台数を誇っている。

 同時に、つくば店のアフターフォローも他店BCDと同様のレベルを誇っているから、そういう意味での安心感は高く、しかもつくば市周辺の道路事情を加味すれば、それこそ都内でヘルキャットに乗るよりもストレスの少ないチャレンジャーライフが可能だろう。

 美しいサブライムグリーンのボディカラー(かなり目立つ)に、1年半前とは雲泥の差の898万円という現実的価格もあってか、問い合わせがかなり多いというのも頷けるのである。

20インチの軽量鍛造ホイールに275/40R20インチのピレリPゼロタイヤが組み合わされる。ホイール内に装備されるブレーキは6ポッドのブレンボである。

クロス地とレザーを併用したホールド性良好のフルバケットのパワーシート。

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