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[試乗記]

アメリカンV8の咆哮は何にも勝る刺激

2017 フォードF150 ピックアップ

新型ラプターさえV6ターボ、だからこそのV8チョイス

最先端のピックアップ、フォードF150を取材した。エコブーストがもてはやされるなか、V8エンジン搭載車はいかに。

更新日:2018.02.16

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ベルエアー TEL 0436-26-5700 [ホームページ] [詳細情報]

主力ピックアップもダウンサイジング

 アメリカ人が大好きなピックアップトラック。なかでもフォードの主力ピックアップは相変わらずのベストセラーカーである。同時に実質40年近くも全米販売台数ナンバーワンを誇る存在である。

 だが、「革新」のフォードはそんな主力ピックアップであっても容赦なくダウンサイジングを敢行し、そして成功を収めている。

 エクスプローラーにはじまりマスタングへと続いたダウンサイジングの嵐。いわゆるエコブーストエンジンの登場によって、気筒数と排気量を落としつつも、動力性能をカサ増しするという秘策によって(それによる魅力減がないのが素晴らしい)、一気に最先端メーカーへと躍進した記憶は新しい。

 ちなみに、このダウンサイジングは徹底されており、ラグジュアリーSUVたるリンカーンナビゲーターにおいても当然の如く用いられ、あのスーパーカー、フォードGTにも当たり前のように搭載された。

 だが、フルモデルチェンジした2015年型のF150は、われわれの考える一歩も二歩も先を行っていた。エコブーストエンジン搭載のダウンサイジングの他に、とてつもない技をさらに用意していたのである。「軽量化」である。そのための手法としてフォードが用いたのがアルミ素材の使用であった。

 ピックアップトラックとしての強度を確保する点から、フレームに関してはこれまでどおりのスチール製ラダーフレームが用いられたが、それを取り巻くボディとベッドにアルミを使用し、さらにリーフやサスペンション関連のパーツの見直しによって合計約320kgの軽量化を果たしたのである。

 実際には、アルミを用いたボディとベッドによって230kg、旧モデル比で3倍近い強度を持つスチール製フレームで30kg、さらにインテリアやサスペンション関連のパーツ見直しによって320kgという数字を達成している。

これまでのF150の流れを汲んだボディデザインを継承しているが、大型グリルを含めた全体のイメージは、やはりマッチョでストロング。ボディも全長5mオーバー、全幅2mオーバーの大迫力。さすがアメリカンフルサイズピックアップ。

ボディタイプは、レギュラーキャブ、スーパーキャブ、スーパークルーキャブとあり、どちらにも二駆と四駆が用意されている。取材車両は、スーパークルーキャブの4×4となる。

このまま使用しても良いし、ハードトノカバーを後付けしても良いだろう。

エコブーストに軽量化でさらなる躍進

 ちなみに、この数字は旧2014年同モデルと比較して20%以上の軽量化というから凄まじい。軽量化とは、クルマにとってある意味何物にも勝るチューニングであるからである。

 で、そこにダウンサイジング+エコブースト化された珠玉のエンジンを搭載するわけだから、まさに最新スーパーピックアップトラックの完成ということになったわけである。

 だが、ここで紹介するのは2017年型F150XLのスーパークルーキャブ4x4。すなわち5リッターV8エンジンを搭載したモデルである。

 ちなみに、2017年型F150の全体の仕様を簡単にまとめると以下のようになる。

<エンジン&ミッション>
V6 2.7L EcoBoostツインターボ / 325hp / 6AT
V6 3.5L EcoBoostツインターボ / 375hp / 10AT
V6 3.5L Ti-VCT 自然吸気 / 282hp / 6AT
V8 5.0L Ti-VCT 自然吸気 /385hp / 6AT  ←取材車

<ボディタイプ>
レギュラーキャブ
スーパーキャブ
スーパークルーキャブ ←取材車

<駆動方式>
4x2
4x4 ←取材車

 2017年モデルのエコブーストターボ装着車は、エンジンパワーが10hpアップし新たに10速ATが搭載されている。なお、2018年ではモデル全体にマイナーチェンジが施されフロントマスク等のデザインに変更が加えられる。と同時に5リッターV8エンジン搭載モデルにも10速AT搭載されるという流れである。

搭載されるエンジンは、5リッターV8エンジン。385hp、最大トルク387lb-ftを発生させる。パワフルなエンジンだけあって、巨大なピックアップをまるで4ドアセダンのように走らせる。V8フィールも最高!

組み合わされるミッションは、コラムの6速AT。ちょっとしたオールドマシンな雰囲気が味わえる。

プラスチックを多用しながらも質感を高めていることが一瞬にしてわかる質実剛健的なインテリア。最近流行りの高級車然とした室内空間とはいえないが、ドライバーにアメ車に触れている実感を確実に与えれくれる。

あえてピックアップに乗るならV8を

 で、取材車両であるが、V8エンジン搭載のF150の新車である。エコブーストターボがもてはやされる昨今において、あえて旧式V8を搭載したピックアップ。

 フォードのラインナップを見てもわかるが、エコブーストターボのマックスパワーが375hp+10速AT。一方5リッターV8が385hp+6速AT。メーカー自体が、「V8とほとんど変わらないエコブーストターボのがお得ですよ」といったような雰囲気を醸し出すなか、やはり乗ればわかる明確な違い。マスタングもしかり。

 日本においては、燃費や排気量による税制が気になる方が多いのは致し方ないが、それでも乗ると感じる明確なドライブフィールの違い。アメリカンV8の咆哮は何にも勝る刺激であり、あえてピックアップに乗るならV8を超える存在感はやはりない。

8インチモニターによるアラウンドビューカメラにより、後方視認にも支障は少ない。

センターコンソールの質感は上々。使い勝手は非常に良い。

カップホルダーや小物入れが充実している。

もはや孤高の存在感を放つV8モデル

 余談だが、F150をベースに製作されたレーシングピックアップのラプターは、初代はV8エンジン搭載だったが、2017年に登場した2代目ラプターは3.5リッターV6エコブーストターボに様変わりした。

 だからこそ、現行型のF150に乗るならあえてV8に乗るべきだ。もはや孤高の存在感を放つピックアップであり、この先もエコブーストだらけになるであろうフォード車だからこそ、あえてV8をと言いたいのである。

 なお、現代の最新ピックアップトラックは、もはや過去の産物とは程遠いほど洗練され、巨大でマッチョなピックアップであるのは変わりないが、まるで普通のセダンのように走り止まり曲がる(軽量化がものすごく効いている)。だからこそファーストカーとして使用することも可能なほどである。

 日本においてそれ実戦するのも、めちゃめちゃカッコイイ使い方であると思う。

 なお、こちらを販売しているベルエアーでは、他にGMCシエラやトヨタタンドラ、さらにはホンダリッジライン等を在販売しており、コンスタントに販売台数を伸ばしているから、ピックアップ好きにはたまらないショップである。

張りのある硬質なファブリックシート。あえてレザーを望まなければ、このままでも十分に満足できる。

リアシートは驚くほど広い。下手なセダンではまったく太刀打ちできないほどの足元空間である。さすがスーパークルーキャブ仕様。

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