2004年に北米専用モデルとして登場した初代QX56は、キャデラックエスカレードやリンカーンナビゲーターに対抗するインフィニティのフルサイズSUV。
そして2010年にフルモデルチェンジし登場した2代目QX56は、直線基調だった初代モデルから生まれ変わったアメリカンなデザインとサイズ感で人気を博した。そんなQX56は2014年にもマイナーチェンジが行われ、車名をQX80へと変更している。
そして2018年、再びマイナーチェンジが行われ、新デザインのもとデビューを果たしている(タンドラやセコイアもそうだが、こうした北米系モデルのモデルサイクルの長さは、日本車ではまったく考えられないことだ)。
2017年にこのマイナーチェンジモデルが発表されたのがドバイモーターショーだった。そういう意味からも、全世界的なアピールがなされているのである。
今回のマイナーチェンジは、主にデザイン面での変化であり、かつて発表されていたコンセプトデザインを引き継ぐもの。
新しいヘッドライトにテールライト、フロントフェイシアにリアバンパーの変化は、フルサイズSUVとしての迫力をより引き出すものだ。
くわえてインテリアには若干の手が入り、シートのキルティング加工等によってより洗練された雰囲気を醸し出す。なお、デザイン&製作は日本の九州工場にて行われているという。
これらに組み合わされるエンジンは、既存の5.6リッターV8。400hp、最大トルク413lb-ftを発生させ、7速ATと組み合わされる。
これまでの経験からも知っているが、このエンジンならパワー的な不足をほとんど感じることなく、トルクに任せた悠然とした走りが堪能できるが、まったく変化がないというのは少々寂しい気もする。
ちなみに、この世代のQX80は2010年に登場しているから、その8年後にマイナーチェンジを受けたわけだが、その新型にもパワートレインの変化がないということだから、このエンジンに相当の自信を持っているということなのだろう。
だが逆にいえば、中古車購入に関しては「デザイン面での違いのみ」、ということであれば積極的に中古車購入へと向かう方々が増えるかもしれない。
この2018年の新型QX80を速攻で逆輸入したベルエアーによれば、「白黒2台を入れて、白は早速売れてしまいました」ということだから、このデザインの迫力の効果、ということが言えるのではないか。
実際、筆者も実物を目の前にして、「顔がカッケー」と本気で思ったし、最近見るどのフルサイズSUVよりも迫力を感じた次第である。
くわえて、垂れ下がったような独特のリアバンパーデザインが素敵であり、「こりゃ、実物見たら売れるわな」と思わざるを得なかったのである。
くわえて室内も、ウッドの使い方にプラスしてメーター周りやシフトノブあたりの質感が非常に高く、きめ細やかさと質感とが両立されており、アメリカ的な大雑把な感じがないのが最大の特徴といえるだろう。
同時に、ここがトヨタセコイアとの最大の違いでもあり、インフィニティと北米トヨタとの違いでもあるのだろう。
そもそもインフィニティとは、1989年に日産がアメリカで販売を展開した高級車ブランドであるが、現在では、北米、ヨーロッパ、ロシア、アジア各圏でも販売がなされている。
そういう意味では、スタイリングも含め、トヨタタンドラのような明確なアメリカンというよりは、あくまで「高級ブランド」としての質感や走りが優先され、そういったブランド意識に賛同した人々が好んで買われていくような存在となっているのかもしれない。
実際、初期のQXはアメリカ本国で製造されていたが、2代目からは九州工場に変わっている。そういう意味からも「対欧州」的な味付けが色濃くなっており、洗練度が格段に高まっているのかもしれないと想像させるのである。
ベルエアーには、旧QX56の中古車やタンドラ、セコイア、タコマ、ハイランダーのほかに、USニッサンアルマダやUSホンダオデッセイの実車も展示されているから、逆輸入車に興味があるならば、まず最初に向かうべきショップであり、新型QX80も、ぜひ見て欲しいと思うのである。
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