更新日:2020.08.19
文/石山英次 写真/FCA
2016年にデビューしたコンセプトカー、ラムレベルTRXコンセプトは打倒ラプターを掲げたラムのスペシャルモデルだった。当時から6.2リッターV8スーパーチャージャーエンジン、いわゆるヘルキャットエンジンを搭載しており、公表馬力は575hp。
当時のラプターベースで行けば、その程度の馬力でも十分に太刀打ちできるとの判断なのか、ヘルキャットエンジンをディチューンしていたのである。
それから4年、ついに市販モデルがデビューした。ラム1500TRX。コンセプトカー時と異なり、エンジンパワーは702hp、最大トルク650lb-ftのハイパワーピックアップの登場である(なぜ707ではなく702hpなのかは不明(笑))。
恐く、コンセプトカー当時はヘルキャットエンジンをモロに使い切るだけの車体やサスペンションの強度や剛性がなかったのだろう。しかも本気でラプターに勝つにはボディ強度のほか、サスペンション、エンジン、ハンドリング、ブレーキ、その他もろもろ、全域での改良が必要だったはずである。
で、今回発表されたTRXは、それらすべてに手を付け、完全なる状態で市販モデルにこぎつけた。
まずエンジン。言わずもがなの名機、通称ヘルキャットエンジンは6.2リッタースーパーチャージャーで702hp、最大トルク650lb-ftを発生させ、トルクフライト8HP95 8速ATと組み合わされる。
それによる公式発表の速さ:0~60マイルを4.5秒で走り、0~100マイルを10.5秒でこなす。
このエンジンには、革新的なデュアルパスのエア導入システムが採用されおり、内部にはデュアルエアフィルターを組み合わせ、エンジン内部により冷たくクリーンな空気を取り込み、それがエンジン機能を高める一因となっているという。
さて、こうした700hp以上ものパワーを備えたTRXは、ピックアップトラック界における最もパワフルなピックアップになったわけであり、それを支えるフレームには高張力鋼を広範囲に使用し、ねじり剛性と車体の耐久性を上げている。
くわえてフロントサスペンションには、高強度のアルミニムを使用し、軽量化を施しながらも強度と耐久性を高め、ボディ&サスペンション全体の剛性を上げている。
さらに米国国内での過酷な環境内でテストを繰り返し、上記エンジンのハイパワーを使い切る信頼性と耐久性を得たのである。
TRXは、打倒ラプターということであり、いわゆるオフの走行性能が求められる。ということで、TRXはノーマルのラムと比較して2インチ車高が高い。さらに11.8インチの地上高と最大32インチのウオーターフォールディングが可能である。
それらを可能にするサスペンションは、アクティブダンピングを備えたTRX専用ビルシュタイン製ショックを備え、過酷な地形を走破するダンピング性能と放熱性に優れた性能がウリである。
フロントサスには、キャスターとキャンバー角に注意を払った鍛造アルミ製のアッパーアームとロアアームが組み込まれ、すべてがオフの性能向上を目指した作りになっている。
それ以外にも、フルタイムのアクティブトランスファーケースが強化され、3.55比率のDana 60ソリッドリアアクスルを使用。フルフローティングハブとアクスルホップダンパーを備え、粗い路面でのトラクションとアクスルコントロールを改善し、電子ロック式リアデファレンシャルを標準装備することで、702hpをフルに活用するオフの性能を得たのである。
3.5リッターV6ツインターボエンジンを搭載し450hpを発生させる現行フォードF150ラプターは、いわばこの手のピックアップの独壇場だったわけだが、果たしてラム1500TRXがそんなラプターに一撃を加えることができるのか。非常に楽しみである。
コチラは簡易的な動画になっています。上記はフルでTRXの走行シーンやエンジンサウンドが聞けます。
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