第3世代・通称サードカマロは11年にわたって製造されたロングセラーモデル。ちょうど自動車にも電子化の波が押し寄せていた時期であり、インジェクションを筆頭に次々と電子パーツが採用されたのもこの第三世代の特徴である。
駆動方式はFRを踏襲し、エンジンには直4(1986年消滅)、V6、V8を用意。組み合わされるトランスミッションは、当初4速MTと3速ATであり、後に5速MTと4速ATへと進化している。
デビュー当時のグレードは、下からスポーツクーペ、ベルリネッタ、Z28の3タイプであり、第二世代からひと回り小さく軽くなったボディを俊敏に走らせた。また同時に70年代中盤から続いたパワー低迷期を徐々に脱していったのもこの時期であり、少しずつではあるが第三世代を通して着実にパワーアップを果たしていったのである。
この第三世代のカマロは、84年から89年までIROC(インターナショナル・レース・オブ・チャンピオンズ)と呼ばれるレースシリーズのオフィシャル車両を務めていたこともあり、パフォーマンスパッケージ名にIROCの名称を使用。
そして88年から90年型ではZ28に置き換わる形でIROC-Zが正式なモデル名になっている。が、91年から再びZ28に戻りその後IROCの名称は一切消えてしまう。
ということで、写真はIROC-Z最終となる90年型。販売元であるエイブルが車両の状態を上げる適切な整備を行い、1インチのローダウンにバセットホイールを履かせたライトチューンによるイマドキ仕様である。
歴代モデル随一のボクシーなスタイルを持つサードカマロは、当時レースカーとしても活躍したが、そうした雰囲気を感じさると共にサードカマロならではのワイルドさ、不良っぽい硬派な部分を引き上げることに成功している。
かつてサードが現役時代には、結構ハードなカスタマイズカーが多かったと聞くから、ひと昔前ならヌルいと言われてしまう仕様かもしれない。
が、走行性能ばかりを重視するのであれば、今の時代にわざわざサードをチョイスする必要性がないし、ストリートで楽しめる安定した性能とサードならではの素のカッコ良さを引き出すことが最重要であり、この程よい塩梅こそが時代にマッチしていると言えるのである。
「すでに30年前の個体です。人間で言えばご老体。車体等の状態を見極めつつ、適切な整備と必要な補強を施していくだけでも十分に楽しめます」と代表の原氏は語る。
最新のアメ車からは得られないサードならではのスタイル、しかも旧車のような刺激的なフィールを併せ持つ最後の世代。にもかかわらず、現代の交通事情でも十分に楽しめてしまう性能こそがサードカマロ人気再沸騰の最大の理由である。
なお、エイブルが手掛けたこの個体の特徴であるが、ひと言でいえば、シッカリ走る。具体的には、適切な車両チェックとノウハウを駆使して独自に仕上げているという。
「ここ最近、一気に問い合わせが増えているサードカマロですが、正直、個体の数が極めて少ないのが現状です。
しかも、仮に個体を見つけたとしてもそのままの状態で販売できる車両はもうほとんどありません。ですから、販売車として扱うにはある程度手を入れることが前提となってしまうのです」
昨年くらいからサードカマロはアメリカでカスタマイズのベースとして注目され始め、いまも人気上昇中だ。それだけに現段階において日本に直輸入しようとするショップはほとんどない。
すなわち現在流通している個体は、過去に日本で販売された、もしくは日本に直輸入されてきた車両が、複数オーナーの元で使用されてきたものと断言してまず間違いない。
だから、オーナーカーとしてそれなりの使用歴を積んできているだけに、消耗&劣化は当然のこととして受け止めなければならない。つまりそれらを販売車両として店頭に並べるためには、ある種の専門的なノウハウを加えた“仕上げ”が必要になるということである。
「仕上げは主に走行に関する部分ですね。弊社ではまずある程度普通に走ることを重視しています。
たとえばシートがほつれていたりダッシュが割れていたとしても、それより『走る・止まる・曲がる』がある一定レベルに達していることの方が重要であり、販売の前提になると考えています」
ということで、見た目以上にシッカリ走るサードカマロは、想像以上に面白い存在なのである。
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