レーストラックの高橋氏いわく「お客さんに、『いまでも90年代のアメ車に乗れますか?』ってよく聞かれて、『乗れますよ』って答えるんですが、それを自ら実践しようとこのタホに手を加えました。
みなさんが気にするパーツの面でも十分に整備可能でしたし、逆に慣れてしまえば消耗関係のパーツもわかりやすい年代です。今回はファントムグリルを装着して、当時流行ったタホのカタチを見てもらいと思っています」
それにしても、オールブラックのタホ2ドアは、硬派な雰囲気と低めの車高とがもたらす絶妙なバランスが見事であり、2ドアならではのレア感が一層価値を高めている。
90年代後半から2000年初頭には、こうしたタホが日本全国にいたわけであり、「当時のアメ車はカッコよかったな」と、これを見て思う方がたくさんいるのではないだろうか。
筆者もそのくちである。当時はフルサイズといわれたボディも、今見るとそれほど大きくはなく、逆に小ささを感じさせる大きさ的な魅力もある。
くわえて搭載される5.7リッターV8エンジンは、255hp、最大トルク330lb-ftを発生させるが、この風情には十分なパワーであり、SUVではあるが、クーペのようにも使えるデザインが素晴らしい。
この先、しばらく走らせて調整し、コンディションの粗を出し尽くすそうなので、それが終わればかなり状態のいいタホへと仕上がるだろう。
こうした90年代のアメ車に今乗ることは、ある意味異文化体験が可能なだけに非常に楽しい一面を持っている。
だが、これまでずっと90年代のアメ車に乗ってきた方の中には、頭痛の種という方もいるはず。
購入当時はいろいろやってきたが、そこから10年も経てば、徐々に整備やトラブル費用がかさみ次第に重荷になっていく…。
それでも最初は耐えていくが、やはり追いつかずトラブルが重なり、そして次第に乗らなくなり、そのうち車検も切れ、だんだんとガレージのお荷物となっていくとか。
本来なら、そうなる前に手を打つべきなのだろうが、すべてのオーナーさんが思うようにはいかないのは致し方なし。
で、今回はそんな風にしばらく放置されていた98年型のタホ。そいつをレーストラックが引き取り、ある種のレストア的作業を行った。というか、まだまだフルレストアというほどではなく、リフレッシュ作業というのが正しい。
当初は、解体屋直行か部品取り車に成り下がるはずであろう状態だったというが、そこはプロの修理屋、捨てずにちょっとずつ手を加えていった。まずは燃料周り系のパーツをリフレッシュ。さらに点火系等のエンジン周りを整備して安定したエンジンのかかりと燃料系の動きを調整した。
そしてエンジンとミッションの動力性能を探り、ひと通りのチェックを行った末に走行可能という判断のもと、さらなるリフレッシュを行っていったのである。
外装ではまずランプ類を総交換して、ボディペイントのヤレを修復。さらにはグリルやバンパーを交換。足回りはいわゆる定番の4.6ダウンにして、当時の雰囲気を残した2ドアタホへと様変わりさせたのである。
一方でインテリアでは、シートを交換しフロアの絨毯を貼り直し、さらにはもともと装着されていたレカラのステアリングのレザー部分をあえて交換せずに巻き直している。
もちろん、全部が全部新品ではなく、中古パーツを使用したりもしたものだが、一瞥するに数年放置されていたヤレ感は、いわれなければ気づかないレベルになっている。
「90年代のアメ車は面白いですよ、というだけでは伝わらないこともあるかと思い、今回はあえて自社でリフレッシュをしてみました。パーツはまだまだ十分にありますし、整備性も悪くない。それでいて旧車と言われる60年代&70年代ものよりは断然安楽に維持できる。それでも現代のアメ車よりも濃厚なフィールが味わえますから、興味があれば一度味わってみると良いと思います」
筆者的にはまず、数の少ない2ドアモデルであるということ。そして修理屋ならではのリフレッシュ作業の確実性と現役当時のカスタマイズの懐かしさにヤラレ、乗ってみると感じる旧世代の懐かしい350エンジンのフィーリングが最高の心地良かった。
この先EV時代が必ずやってくるが、そうした時代がやってきても、この90年代のアメ車はきっと残っていくに違いないし、60年代&70年代旧車とはまた違う魅力にハマるファンが絶対にいると確信したのである。
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