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[試乗記]

レアな2ドアタホにファントムグリルの組み合わせ

1998 シボレータホ

あえて90年代のアメ車をリフレッシュする

レーストラックが手がけるタホ2ドア。動力性能の確保と現役当時のカスタマイズをあえて今施してリフレッシュを試みる。

更新日:2021.07.05

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 0356613836 [ホームページ] [詳細情報]

90年代のアメ車をあえてリフレッシュ

 レーストラックの高橋氏いわく「お客さんに、『いまでも90年代のアメ車に乗れますか?』ってよく聞かれて、『乗れますよ』って答えるんですが、それを自ら実践しようとこのタホに手を加えました。

 みなさんが気にするパーツの面でも十分に整備可能でしたし、逆に慣れてしまえば消耗関係のパーツもわかりやすい年代です。今回はファントムグリルを装着して、当時流行ったタホのカタチを見てもらいと思っています」

 それにしても、オールブラックのタホ2ドアは、硬派な雰囲気と低めの車高とがもたらす絶妙なバランスが見事であり、2ドアならではのレア感が一層価値を高めている。

 90年代後半から2000年初頭には、こうしたタホが日本全国にいたわけであり、「当時のアメ車はカッコよかったな」と、これを見て思う方がたくさんいるのではないだろうか。

 筆者もそのくちである。当時はフルサイズといわれたボディも、今見るとそれほど大きくはなく、逆に小ささを感じさせる大きさ的な魅力もある。

あえて当時の面影をボディに求めたという。ファントムグリル装着はそのため。ブラックのボディカラーもあえてのチョイス。

フロント4、リア6インチダウンの足回りは見事なバランス。意外にも乗り心地は優しい。

90年代のアメ車によって異文化体験が可能

 くわえて搭載される5.7リッターV8エンジンは、255hp、最大トルク330lb-ftを発生させるが、この風情には十分なパワーであり、SUVではあるが、クーペのようにも使えるデザインが素晴らしい。

 この先、しばらく走らせて調整し、コンディションの粗を出し尽くすそうなので、それが終わればかなり状態のいいタホへと仕上がるだろう。

 こうした90年代のアメ車に今乗ることは、ある意味異文化体験が可能なだけに非常に楽しい一面を持っている。

 だが、これまでずっと90年代のアメ車に乗ってきた方の中には、頭痛の種という方もいるはず。

 購入当時はいろいろやってきたが、そこから10年も経てば、徐々に整備やトラブル費用がかさみ次第に重荷になっていく…。

燃料系のパーツを一新し、さらにエンジン周りのパーツをリフレッシュしてひとまず安定した状態を作り上げた。5.7リッターV8エンジンは、現代のV8エンジンを上回る感覚性能を誇る。

あえて20インチホイール装備で現代風の足を表現している。

内装絨毯を張替え、シートを交換して、ステアリングを巻き直したインテリアは、十分なコンディションを体現している。

圧倒的に速いわけではないが、人間の感覚に基づいた素直な速さと重厚なエンジンのフィーリングが最高に楽しい。車体の安定感も上々である。

まずは機関系のリフレッシュ

 それでも最初は耐えていくが、やはり追いつかずトラブルが重なり、そして次第に乗らなくなり、そのうち車検も切れ、だんだんとガレージのお荷物となっていくとか。

 本来なら、そうなる前に手を打つべきなのだろうが、すべてのオーナーさんが思うようにはいかないのは致し方なし。

 で、今回はそんな風にしばらく放置されていた98年型のタホ。そいつをレーストラックが引き取り、ある種のレストア的作業を行った。というか、まだまだフルレストアというほどではなく、リフレッシュ作業というのが正しい。

 当初は、解体屋直行か部品取り車に成り下がるはずであろう状態だったというが、そこはプロの修理屋、捨てずにちょっとずつ手を加えていった。まずは燃料周り系のパーツをリフレッシュ。さらに点火系等のエンジン周りを整備して安定したエンジンのかかりと燃料系の動きを調整した。

タホ2ドアのノーマル状態はこういう感じであった。SUVであるがために、腰高な印象は否めない。だが二駆でローダウンすれば、クロスオーバーSUV、もしくはクーペのような使いこなしも可能になる。

こちらはレーストラックが過去に仕上げた2ドアタホ。オーバーフェンダーにオフロードタイヤでザSUV的に。タホは上げ下げ自在の魔法のSUVだ。

こちらは4ドアタホ。一般的な4ドアスタイルでも戦闘態勢十分なマシンも製作可能である。

写真右上のノーマル状態からローダウンするとこうなる。2ドアタホのこのスタイルは非常に貴重な存在であるし、カッコイイ。

60年代&70年代旧車とはまた違う90年代の魅力

 そしてエンジンとミッションの動力性能を探り、ひと通りのチェックを行った末に走行可能という判断のもと、さらなるリフレッシュを行っていったのである。

 外装ではまずランプ類を総交換して、ボディペイントのヤレを修復。さらにはグリルやバンパーを交換。足回りはいわゆる定番の4.6ダウンにして、当時の雰囲気を残した2ドアタホへと様変わりさせたのである。

 一方でインテリアでは、シートを交換しフロアの絨毯を貼り直し、さらにはもともと装着されていたレカラのステアリングのレザー部分をあえて交換せずに巻き直している。

 もちろん、全部が全部新品ではなく、中古パーツを使用したりもしたものだが、一瞥するに数年放置されていたヤレ感は、いわれなければ気づかないレベルになっている。

「90年代のアメ車は面白いですよ、というだけでは伝わらないこともあるかと思い、今回はあえて自社でリフレッシュをしてみました。パーツはまだまだ十分にありますし、整備性も悪くない。それでいて旧車と言われる60年代&70年代ものよりは断然安楽に維持できる。それでも現代のアメ車よりも濃厚なフィールが味わえますから、興味があれば一度味わってみると良いと思います」

 筆者的にはまず、数の少ない2ドアモデルであるということ。そして修理屋ならではのリフレッシュ作業の確実性と現役当時のカスタマイズの懐かしさにヤラレ、乗ってみると感じる旧世代の懐かしい350エンジンのフィーリングが最高の心地良かった。

 この先EV時代が必ずやってくるが、そうした時代がやってきても、この90年代のアメ車はきっと残っていくに違いないし、60年代&70年代旧車とはまた違う魅力にハマるファンが絶対にいると確信したのである。

数少ない2ドアタホであること。そして修理屋ならではのリフレッシュ作業の確実性と現役当時のカスタマイズの懐かしさにヤラレ、乗ってみると感じる旧世代の懐かしい350エンジンのフィーリングが最高の心地良かった。

90年代のアメ車は面白いですし、作業的にはパーツはまだまだありますし、整備性も悪くない。それでいて旧車と言われる時代のものよりは断然安楽に維持できるのが魅力の一つです。それでも現代のアメ車よりは濃厚なフィールが味わえますから、アメ車好きなら一度味わってみると良いと思います。

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