12月15日現在。某有名中古車検索サイトにて現行型(以下省略)「チャレンジャー」で全国検索をかけると160台の掲載車が現れた。そのうちMT車は18台だったが、70年代のチャレンジャーが1台、V6モデルの掲載ミスが2台ということで、実質本当のMT車は15台。
さらに2014年の旧型が2台いたから2015年アップのMT車は13台。くわえてそのうち2台がR/Tだから、6.4リッターV8エンジンを搭載するMT車は11台。
ということで、ざっと計算して某有名中古車サイトに掲載されるダッジチャレンジャー高年式のMT車はAT車の1/10の数もないということになる。
しかも、その11台の中で、自分なりに納得できる程度&価格のモノとなれば……実質的には「日本全国に数台しか流通してない」というのが、チャレンジャーのMT車なのである。
▲2020年型。1900キロ走行の極上個体のMT車。シンプルなブラックのボディカラーは購入後いかようにもアレンジ可能だろう。
▲MT車となると日本でもかなりレアな個体となるため、探していた方は急いだ方がいいだろう。
もちろん、その流れは正しい。「アメ車はAT」というか、そもそもMT車の比率は世界中で減少の一途をたどっているわけだから、販売店がわざわざその減少末期のMT車を仕入れること自体にリスクがあると考えるのも不思議ではない。
だが、昔から言うが、じっくり長く乗るためにチャレンジャ−を選ぶとするならば、筆者は断然MT車推しである。
というのも、どうせ乗るなら他と差別化を図りたい。そして固有の楽しみを味わいたい、から。
チャレンジャーは、ダッジチャージャーやクライスラー300と基本コンポーネンツを共有する。だから、ガワは違えど同じパーツを使用し同じデザインのものが採用されていたりする。
とはいえ、それもわかっていた上でのチャレンジャーを買うわけだから、そこに文句があるわけでは全くない。が、そうしたもろもろの派生パーツを一つ一つ拾っていくと、絶対的な差別化が図られている部分がある(2ドア4ドア、ホイールベースの違いではない)。
かつて「4WD」はチャージャーV6モデルの専売特許であったが、チャレンジャーにV6GTが誕生してからは同様のものが使用されているから、そこではない。
そう、チャレンジャーとチャージャーにおける唯一にして大きな違いが「MTミッション」である。
▲搭載される6.4リッターV8エンジンは485hp、最大トルク475lb-ftを発生させる。MT車ともなればそのエンジンをダイレクトに味わうことが可能になる。
▲スーパービーのバッジもあと3年で見納めとなってしまう。
▲フロントリアともに245/45ZR20インチタイヤが装備される。
だからチャレンジャーに乗るなら、あえてMT車をチョイスしてチャレンジャーならではの唯一無二の楽しみを味わいたい。もっと言えば、ATで乗るならチャージャーワイドボディが今の気分。
余談だが、今やポルシェやBMW、アルファロメオ等でもMT車が選べる余地がほとんどない。=MTを望む方がほとんどいないということではなく、単なるメーカーのエゴで大して売れないから入れないだけで、本国なら当然チョイス可能である(とはいえ年々MT車自体が減っているのも事実)。
ひょっとしたら、そうしたモデルたちのMT車を直輸入している外車ショップがあるのかもしれない。
だが一転、チャレンジャーの場合はそもそも直輸入であるから、さらに面白いことにアメ車の本国仕様にはMT車がまだまだ存在しているから、仕入れるショップの気持ち一つで輸入可能である。
しかもそれが6.4リッターV8エンジンならなおいい。今やダウンサイジングターボやPHEV等のハイブリッド車で感じられる「小さな排気量エンジンが頑張って回っている感触」とはまるで異なる大排気量V8エンジンの余裕と、自然吸気エンジンならではの本気を出したときの炸裂っぷりが素晴らしく気持ち良いのだ。
くわえて、それがMTなら2500rpmから3500rpmの回転数を3速キープで楽しめるし、4速にシフトし、すぐさまシフトダウン、そして今度は3速レッドゾーンまで引っ張って4速へシフト……と右手と左足の動きをシンクロさせながらのドライビングは快感以外の何物でもない。
もちろん、そういうハードな運転をしなくても、ギアを自分の意思で操る行為は前近代的だが、自動車好きの琴線に触れると未だに思う(チャレンジャーのMT車はクラッチペダルやシフト位置が抜群にいいから運転もしやすいし)。
プラスしてこの6.4リッターV8エンジンは、ハイパフォーマンスにもかかわらずデリケートな部分がほとんどない。すなわち思いのほか維持コストがかからないのも素晴らしい(とはいえ大排気量エンジンだけにエンジンオイルにはこだわりたい)。
▲ドライバー側に向けられたセンターコンソール等、チャレンジャーのインパネはタイトかつスポーティなもの。
▲MTシフトも同様にドライバー側に傾けられており、シフト操作が格段にしやすい。特に2速から3速へのシフトアップがしやすい。
▲クラッチ操作も非常にやりやすく、ペダルレイアウトにも癖がなく、シフトとクラッチの関係性も素晴らしく良好な位置関係にあるから、MT操作の運転が全く苦にならない。
さて、そんな高年式チャレンジャーのMT車の出物である。2020年型ダッジチャレンジャーR/Tスキャットパック。走行1900キロのかなりクリーンな個体。シンプルなオールブラックのボディカラーであるから、そのままでも硬派なチャレンジャーを気取れるし、逆に購入後に自分なりにアレンジするのもいいと思う。
しかも、BCDが自社で直輸入しているから(前回紹介したアメリカBCDの記事に記載している)、その程度の良さはお墨付き。
もちろん、BCD自体が数多くのチャレンジャーを世に送り出しているからこその整備ノウハウも持ち合わせているから、さらにアフター保証も充実しているから、他店とは比較にならない安心感で満たされる。
再び余談だが、上記のようにMT車というのは現在非常に限られた存在ではあるのだが、BCDに限ってはそういった世の流れとは逆行するかのようにMT車のモデルを直輸入している(どちらかと言えば積極的にだ)。
それはチャレンジャーに限らずマスタングにおいても同じで、現在でもV8GTのMT車が積極的に導入されているし、過去には直4エコブーストのMT車も仕入れていた。
「もちろん現地に求めるコンディションの車両があってこその輸入になりますから、常に販売可能というわけにはいきませんが、それでも『本国仕様に面白いものがたくさんある』というのが我々の考えですから、そこにATとMTとの区別はほとんどありません。あくまで車両のコンディション重視です」とBCDの鈴木氏。
振り返れば、バイパー、C7コルベット、旧シェルビーGT500、チャレンジャー、マスタングV8&直4、シェルビーGT350、マスタングブリット、マスタングマッハ1 etc のMT車を過去BCDで取材してきている。
だからチャレンジャーにおいてもMT車のラインナップはごくごく普通のことであり、プラスしてコンディション良好な個体が入庫しているわけだから、よほどの激安車両を購入する方は別だが、同じような金額の個体を買う場合にはほぼ間違いなくBCDの方が安心感が高いのである。
▲見慣れた感のあるメーターパネルだが、MT車となるとタコメーターの動きが若干速くなっているのではないかと感じるほど動きがダイレクト。
▲サポート性の良いシート。当然ながら個体の状態もかなり良い。
話を戻す。こうしたチャレンジャーならではの醍醐味はMT車で味わってこそ、と常々思ってきたわけだが、どうやらそうした楽しみにも、そろそろ終焉が近づいている。
それは時代的な流れで。そしてもう一つが物理的な終焉である。
時代の流れとは、いわゆる内燃機関を搭載した時代の終りであり、EV化への流れである。いつの日か内燃機関を搭載した車両への規制が始まるかもしれない。
そして先日報道されたチャレンジャー自体の生産終了である。
今のところ2024年と言われているが、2022年モデルがほとんど機能していないらしいから、2023、2024年のあと2年。
もちろん、その後も多くの中古車が全米に存在しているからすぐにモノがなくなるということはないだろうが、少なくとも程度良好の個体は確実に減るという風な予測をすれば、ありふれた言い方だが、なるべく急いだ方がいいだろう。なんなら最後の最後に「新車」を買うという手だってある!
で、最後に。一つだけ付け加えることがあるとすれば、現代版チャレンジャーに興味があり欲しいと思っているならば、「あのV8の、あの音とフィーリング」を味わうことのないままアメ車人生を終えることだけは絶対に避けていただきたいと、ということである。
▲理想的な二台体制? マニュアルミッションのチャレンジャーにフルサイズピックアップのラムなら最高ではないか!
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