ジープCJ-5などの人気車に対抗すべく1966年(~1977年)に生まれたフォードブロンコ。CJ、シボレーK5ブレイザーとともに60年代、70年代を代表するアメリカン4WDの1台である。
特徴は、フルサイズ全盛時代に生まれた小型ボディということ。また、オフロードだけでなく街乗りを意識したコンセプトも、当時はモダンな1台として注目を集めることになった。それが証拠にフロントにコイルスプリングサスを採用して街乗り用の快適性を実現したのである。
初代ブロンコは1966年から77年まで生産され、通称「アーリーブロンコ」とも呼ばれているが、この年代のブロンコには、初期型は105hpの2.8リッター直6と200hpを発生させる4.8リッターV8が搭載されていたが、68年からV8が5リッターへと拡大され205hpへと進化している。
このアーリーブロンコの最大の変化は73年であり、この年からそれまでの3速MTから3速ATとパワーステアリングが追加され、快適性の大幅向上がなされている。
で、今回取材した車両がこちらである。75年型で302キュービックインチ(5000cc)のV8OHVエンジンを搭載し、3速オートマチックミッションによって全長3860×全幅1760ミリの小型ボディを小気味よく走らせる。
ちなみにこの年代だとATの割合が非常に少ないという。またブレーキには倍力装置がついていないが、この車両は日本に持ち込まれたのちにレーストラックによって倍力装置が取り付けられている。
それにしても本当にキュートである。ブロンコの周りだけ空気感が違う感じがする。ただ駐車場に止まっているだけなのに、まるで骨董品のような風合いを醸し出している。この年代のブロンコを欲しいと思っている方々があとを絶たないと今だに言われ続けている理由がよくわかる。
内外装の各部を見てもひとつひとつがデザインされているし、そのどれもがいちいちオシャレだし、ちょっと触れた限りでは「乗るだけじゃなく、見ているだけでも楽しい」存在だった。
しかも小さい。が、それでいてV8エンジンが搭載されているわけだから人気が出ないわけがない。
小さいとはいえ乗る込むためには高いサイドラインを乗り越える必要があるから結構大変だが、乗ってしまえば見晴らし十分だし、ボディが小柄でフロントウインドーが限りなく立ち気味なので四隅の見切りが良く、最高(笑)。
それにしても一切曲面のない窓ガラスが印象的である。
エンジンは一発でかかり、旧車とはいえ不安定な感じは微塵もない。搭載されている302キュービックインチ=5リッターV8エンジンにはエーデルブロックの550cfmキャブレターが装着されており、4バレル2ステージを生かした加速力が味わえる。
またレーストラックによりヘダースが装着されているので、走らせると快音を響かせる。
ちなみに、この車両にはクーラーが装着されていないというから、真夏の走行は厳しいかもしれない。が、レーストラックの高橋氏によれば、「真夏でも全く普通に走るという」から機関系の心配は今の所ないと言えるだろう。
この車両の凄さは、それなりにリペアされていながらも旧車特有のボロさ(サビ等)があまりなく、いい感じに使い込まれたヤレ感に支配されていることである(前オーナーの思いやりが行き届いている証拠)。
特にインテリアには使用感はあるもボロさをほとんと感じることがないため、非常に好感が持てる。
ただし、乗りこなすには70年代の車両であるという自覚と車両のクセを把握する必要があり=それすなわち旧車ならではの醍醐味でもあり、それらを承知で入手したならば、家の周りを走るだけも感慨深い体験を味わわせてくれるだろう。
それにしても、40年、50年前のアメ車をみるたびにいつも「アメリカの偉大さ」を思い知らされる。このブロンコのデザイン、ホントに凄い。大きさを含めた車両コンセプトも絶妙である。
一生モノとは簡単には使えない言葉だが、このチビブロこそ、時代が変わっても評価される一生モノのデザインとして最高の相棒になるに違いない。
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