BUBUビンテージは、GM、フォード、モパーといった決め事はまったくなく、あくまでコンディション優良の旧車を販売するというのがポリシー。
だから常に在庫車ありきの販売方法を取っており、実車を見て「買う買わない」を判断できるのが嬉しい。
と同時に、モノとしての価値のみを優先するのではなく、クルマとしてのコンディションを最大限優先するから、ほぼそのまま日本の道路にて走りを楽しむことが可能になる。
すなわち、コンディション優先だからこそ、仕入れに関しては常に未知数であり、一期一会なのである。
ということで、1963年型フォード ギャラクシー カントリーセダン。
1963年型だから、1964年後半に登場した初代マスタングの前年に生産されたフォード車である。が、見るからに雰囲気が異なる。
初代マスタングが非常にクリーンかつシンプルなボディラインを構成しているが、ギャラクシーはどちらかというと複雑&凝ったボディデザインがまだ残っている時代、いわゆるフィフティーズっぽさが残っているような感じが面白い。
フロント周りは丸目ヘッドライトと直線基調のクリーンなデザインなのだが、リアに至るにつれ旧時代の名残というか、いわゆるテールフィンっぽいリアテールと組み合わされ、それらが一体となったことで非常に魅力的な雰囲気を発している。
実際には、1961年でテールフィンは縮小され、続く1962年型でテールフィンは完全に廃止されテール周りの意匠が一新されているから、取材個体の1963年型には丸型テールライトが残るのみである=ジェット機のような丸型テールライトと本国では人気が高い。
だが個人的には、その丸型テールライトを横から見るとにわかにテールフィンの面影を感じるから、そうしたデザインを含めて非常に面白い存在だと思う。
そんなギャラクシーは、当時ベストセラーモデルであったフォードフェアレーンの上級モデルとして1959年にデビューし、1974年まで続いたフルサイズモデル。だが、1959年デビューの翌年に早くもモデルチェンジを行い、第二世代へと進化させている。
今回取材したBUBUビンテージの個体は、1963年型だから第二世代のモデルであり、その4ドアセダンである。
当時のギャラクシーには多くのラインナップが存在していた。
例えばエンジンで言えば3.7リッター直6から4.3リッターV8、4.7リッターV8、5.8リッターV8、6.4リッターV8まであり、ギアボックスに関しても2速AT、3速AT、3速MT、4速MTと、それらが各エンジンと組み合わされていた。
そんな中で取材個体が搭載しているエンジンは、当時の最上位に位置するサンダーバード390スペシャルV8で=6.4リッターV8であり、当時のスペックは300hp、最大トルク427lb-ftを発生させている。
組み合わされるミッションは3速ATであるから、日本人にもなじみ深い当時のATということが言えるだろう。
ボディサイズは、全長:5331ミリ、全幅:2029ミリでホイールベースが3023ミリだからフルサイズならではの堂々たるもので、フィフティーズ時代の名残と60年代デザインとが融合した抜群のプロポーションが自慢である。
さて、今回BUBUビンテージが輸入したこのギャラクシーカントリーセダンは、ライトブルーのボディにリアドアからボディ後端に至る部分にウッド(後付け)が貼られたウッディ仕様である。
4ドアセダンと称されるが、いわゆるステーションワゴンっぽくもあり、我々が想像するワゴンよりもロングルーフになっているところが最大の特徴で、15インチのアメリカンレーシングトルクサーストホイールと若干下がった絶妙な車高が、プロポーションの良さを際立たせている。
くわえて、リアシートを倒すと恐ろしいほど広い荷室スペースが現れ、そのままテールゲートを下せばかなりの長さの長尺物も積めるはずだから、相当なワゴン積載量を持つ実用性がある。
さらに走らせればビッグブロックV8が唸りを上げるのだから・・・、オールドアメリカンならではの、たまらないカッコ良さである。
BUBUが仕入れるビンテージは、コンディション優先だから出物は常に一期一会出であると書いた。だが、だからと言って「どんな物でもいい」というわけではない。
それこそ「人気がある車種」というのは言わずもがなだが、歴史や時代を彩る名車も候補に入るだろうし、物によってはラインナップの最下位モデルもあれば、最上級モデルが入荷する場合もある。
今回輸入された1963年型フォード ギャラクシー カントリーセダンは、自動車黄金期のフォード・トップレンジモデルであり、その最上級エンジンを搭載したモデル。さらにBUBUビンテージの商品として在庫されるほどのコンディションを有しているという意味では、かなり貴重な個体と言って間違いないのである。
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