ダッジチャレンジャーにおいては市場の9割がATであり、「V8+MT」は1割程度あるかないか。で、その1割の中の9割が392(6.4リッター)V8であり、残りをヘルキャットとR/Tで分けるといった感じだろう。
でもなぜ、そうなのか? それは売る側と買う側の心理によるものが大きい。「せっかく買うなら、一番いいやつを」ではないが、「R/Tよりも高価な392を売りたい」
また一方で「どうせ買うなら392を買ってしまえ」というそれぞれの心理が、392の個体を多く輸入し、それがまたよく売れていくといった流れを作った=R/Tのマニュアル車をあえて輸入するショップが非常に少なかったのだろう。

▲2017年型チャレンジャーR/Tのマニュアル車の中古車。走行5.4万キロの個体。

▲全体的にノーマル状態でシンプルな個体。内外装のコンディションが驚くほど良いのが最大の特徴。
すなわち、R/TのMT車は非常に希少な存在であり、逆にプレミアムな存在と言っても過言ではない。そんなR/TのMT車の個体である。2017年型5.4万キロ走行。ボディカラーはゴーマンゴー。
R/Tに搭載される5.7リッターV8エンジンは2003年にデビューし、チャージャー、300C、デュランゴ、グランドチェロキー、ラムトラックにも搭載された超メジャーV8。375hpを5150rpmで発生させ、低中速トルクを分厚くさせた超アメリカ的エンジン。
アメリカには古くから「There is no replacement for displacement」(排気量に勝る代用品なし)という格言があり、回してパワーを稼ぐのは欧州のDOHCやターボの思想であり、「回さなくても排気量の大きさだけで低速からトルクがある」のが伝統的なアメ車の美学=R/TのV8はまさしくその思想そのものを具現化したエンジン。
で、そのV8は上記のセダンやSUV、ピックアップにも搭載されていたが、それらはすべてAT専用の設計だった。

▲搭載される5.7リッターV8エンジンは375hpを発生させる。マニュアル車であるからエンジン内部にMDSはつかない。

▲ホイールの状態も非常に良い。

▲後期型のフロントマスクは1971年モデルをモチーフにしている。
一方、チャレンジャーは1970年代の初代マッスルカーへのオマージュとして誕生した経緯があり、ダッジのエンジニアたちも、「アメ車好きが最後に求めるのは『V8+MT』とわかっていたからこそ、チャレンジャーにだけ6速MTをあえて用意した。
そんな5.7リッターV8エンジンとMTとの組み合わせは、下から湧き出る低速トルクによって2000から3000rpmといった日常域で非常に活発に走る。くわえて392エンジンよりもより一層ドロドロ感が強い、ザ・アメ車のV8ビートを奏でる(392エンジンは5.7リッターV8よりも高回転型エンジンのため、また違ったフィールを示す)
また、MT車にはMDSがないから、いつ何時でもV8フィールが味わえる(MDSとは気筒休止システムで、燃費向上のため4気筒になる装備)。
そんなR/Tの実車であるが、想像以上に良好な個体である。内外装ともに大きな瑕疵はなく、シートは布シートであるが、ヤレを感じることはほとんどない。またフルノーマル状態であるのもいい。各部の状態把握をするのにもってこいだし、購入後に自らいろいろ変える楽しみも残っている。

▲後期型のインテリア。コンディションは非常に良い。

▲6速MTはカチッと明確なゲートとスムーズなフィール。違和感なく楽しめる。

▲クラッチ操作も何らクセがなく、非常に操作しやすい。
6速MTは、カチッとしたフィールでゲートも明確。クラッチの操作性も良く、普通にマニュアル車の運転が可能な方なら難なく運転できるレベルのもの。
R/Tとなれば、常に392を意識するのかもしれないが、実際のスペックパワー数値はどうあがいても低いわけだから(その差は決して埋まらないから)、「速さ」ではなく「操るプロセス」に価値を見出せるなら、使い切れるパワーとともに十分に楽しめるはず。
それにMDSの付かないMTであるということは(理由はあえて書かないが)、生涯の友として長く乗るのにもってこいだし、5万キロ超走っているが、実車を見れば現状においても非常に優良な個体と納得できるはず。2017年型という、後期型モデルであるということもオススメ理由の一つ。

▲タコメーターの針を見ながら、その回転数を自ら操れるのがMTの魅力。

▲布地のシートの状態はご覧の通りの良好。このまま乗ってもいいし、購入後にシートを変えてみるのもいいかもしれない。
プラスして392のMTよりも探すのが遥かに難しいR/TのMTであるという希少性。しかもそれを展示販売しているのがBUBU横浜というチャレンジャー専門店であるという事実。
BUBUのスタッフさんも「滅多に見られないR/TのMTですから貴重な存在ですし、スペックを超えた面白さが味わえるのではないでしょうか。またこれだけのコンディションを維持しているのは前オーナーがガレージ保管していたからです」と語っていた。
すでに絶版車となっているから、中古車市場におけるチャレンジャーは選べる状態にはない。だから目の前に「これだっ」と思った個体が見つかったなら迷わず行くべきである。
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