TEST RIDE

[試乗記]

大迫力のスポーツトラック

シボレー C1500 454SS

CHEVROLET C1500 454SS

わずか2000回転弱で53kg-mもの極太トルクを発生させるエンジンの感触は、他では絶対に味わえない珠玉の逸品。

更新日:2010.04.25

文/編集部 写真/古閑章郎

取材協力/エイブル TEL 044-857-1836  [ホームページ]

4年間だけ存在したC1500のスペシャルモデル

 2リッターを越える排気量のエンジンを積むクルマは分不相応なゼイタク品。3ナンバーなんてトンデモナイ! 3万9500円ごときの自動車税の支払いでさえ、毎年アップアップしてる私は、そんな貧困症が染みついて離れない典型的な小市民でありました。が、排気量としては4〜5リッターあたりがごくごく普通のアメ車たちにまみれた今では、例えばマスタングの3.8リッターのV6あたりを見ても、「なーんだ、ちっちゃいエンジンやなぁ」などと思うようになった始末。

 ボディサイズもまた然りでありまして、当初はアストロの全幅1969mmという数字にビビリまくっていたものですが、いやはや、慣れとは恐ろしいもので、今ではアストロあたりは「コンパクトなミニバン」という認識が頭の中を支配しております。ハマーH2の取材を終えた後に目に入ったゲレンデヴァーゲンが、本気でジムニーに見えるんですから。

 けれども、いかにそこまでマヒした頭をもってしてもC1500 454SSの「7.4リッター」って排気量にはさすがに仰天させられるものがあります。排気量&ボディサイズはデカけりゃデカイほどアメ車乗りとしての醍醐味がある、なんて思っていながらも、アクセルペダルを最初にひと踏みする瞬間には冷たい汗が背中を伝わりました。

 ちなみに454SSとは、90年から93年までの4年間でわずか1万7000台弱が販売された、7.4リッタービッグブロックエンジンを搭載したC1500レギュラーキャブのことである

赤い内装が特徴の454SS。90年から4年間のみ存在していたから、インパネの形状もその当時の1500に準じている。ステアリングはノンオリジナル。

7.4リッターV8エンジンは230hp、トルクは53.3kg-mを発生させる。パワー自体はそれほど驚くべきものではないが、低速のトルクがもの凄い。

ブラックアウトされたフロントグリルが454SSの特徴のひとつ。硬派なトラック乗りにはたまらない魅力をいまなお持ち続けている。一方、リアビューはいたって平凡。後ろから見ただけでは454SSだとは気付かないかも。ただ、勝負を挑めばコイツの後塵を拝すること間違いない。

他に代え難い大きな醍醐味がある

 わずか2000回転弱で53kg-mもの極太トルクを発生させるエンジンの感触は、乗り味が濃いめのアメ車たちの中でもひときわ独特で、まるで周りの地面ごとくり抜いてクルマに纏いながら移動してるかのごときであり、とてつもなく重たい物体を、とてつもなく強い力で押し出して瞬時に動かす感覚というのは、やはり重量級大排気量アメ車でしか味わえない世界であります。

 空いた高速道路で蛮勇を振るってベタ踏みしてみた時の加速の仕方もまた独特。
 たとえば国産の高性能車のように、自分の体液が背中に集まっていくかのような息の長い加速Gではなく、454SSは、クルマの後ろから巨人の手が押してくれてるみたいな不思議な感覚で、さらに1速から2速にシフトアップする時には「ドカッ」と大地が揺らぐ非日常性を味わえます。

 ちなみに、このクルマにハンドリングなどといった細かなことは似合いません。一応、普通にコントロールできる範囲で、すべての動作はC1500と同じ感覚。

 ただし、フル加速した時分のブレーキには、早めの意識が少し必要かと思う次第。個人的には、買ったらブレーキだけは強化するかもしれません。

 実は最初はトラックだからとタカをくくっていたんです。が、試乗を終えた今となっては、コイツは「まさしくスポーツです」と断言できます。現代の国産車基準の頭では到底理解不能な現実ですが、他に代え難い大きな醍醐味があることに違いありません。あ〜7.4リッター、恐るべし!

レギュラーキャブをベースしているためか、スポーティな印象が強い。個人的にも最もバランスが取れいていると思う。

ちなみにC1500とは?

C/K1500シリーズのモデルネームはシャシーのタイプを表している。CとKは駆動方式で、Cは2WD、Kは4WDを意味する。そして4桁の数字は荷台の積載量を表している。1500は2分の1トン、2500は3分の4トン、3500は1トン積み。したがってC1500といえば2WDの半トン積みトラックとなる。

 ボディバリエーションは、6種類のシャシーにレギュラーキャブ、エクステンディッドキャブ、クルーキャブ(ダブルキャブ)の3タイプのキャビン。そしてショートボックスとロングボックスという2種類の荷台が用意されている。

 さらにはエンジンが4.3リッターのV6をはじめ、5リッター、5.7リッター、7.4リッターのV8、そして6.5リッターのV8ターボディーゼルと多彩なラインナップを誇る。

 これらの順列組み合わせにワークトラックパッケージ、シャイアントリムパッケージ、シルバラードトリムパッケージと3タイプのグレードが用意されているのである。

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