取材車輌は非常に懐かしい2ドアタホである。1997年型というから、そのモデルサイクルにおいては後期型ということになる。この2ドアタホには主に2種類のエンジンが搭載されており、前期型は210hp、後期型は255hpを発生させていた(取材車は255hp)。
この2ドアタホは、1995年から1999年いっぱいまで生産され、2000年から登場する次期型に2ドアモデルは存在していないから、この型はたった5年間のみ存在した希少モデルということになる。しかもすでに18年前のモデルということで、期待と不安が入り交じった取材になった。
現代の新車を見慣れてしまったせいか、当時はバカデカく感じたボディは意外にも小さく感じるし、その昔、グラスエリアの広さに何度も驚いたことを思い出すが、今見るとあまり大きく感じないのが不思議である(昔の記憶はあてにならんなぁ)。ただ、角張ったボディがやっぱりアメ車だなぁと思うし、カッコいい。それに古さをまったく感じさせない。
この2ドアタホは、ノーマル車高を保っている。これまでだと、上げるか下げるか、のどちらかに集中していたはずだが、エアロもすべてノーマルのままだし、ホイールが20インチを装着しているだけで、見た目から発せられる威勢の良さはあまり感じられない。
だが、エンジンをかけた瞬間からこのクルマに対する意識がまったく変わる。「ボォ〜」と非常に野太いサウンドを奏でるワンオフマフラーに、まるでハーレーにでも乗っているかのごとくドライバーを襲うラフな振動(ドッドッドッド…)。
そしてショートチューブへダースやハイカム、ローラーロッカーなどで仕上げた独特のエンジンフィール。決して驚くほど速いというわけではないが、実に楽しい。これをスポーティといわずして何と言おうか!
2ドアモデルのタホは、そのグラスエリアの広さからか、憧れるオーナーさんも多かった。当時はリアの荷台に音響装備をプラスしたりしてカスタムしているタホを多く見かけた。個人的にはアメリカらしいSUVと高評価していた1台。
数年前に装着していたレーストラックオリジナルの20インチホイールにSSBCの2ポッドキャリパーを装着。この取材後に18インチホイールに交換してバネ下重量の軽減を図るという。
搭載されるエンジンは、5.7リッターV8OHV。後期型の96年からはシーケンシャルフューエルインジェクションの採用によって255ps、トルク45.5kg-mを発するように進化している。
ドゥルルルルル〜と、正直ここまで濃いフィールはなかなか味わえない(700万円払って新車買っても味わえない)。しかも主に街中で使う1500回転くらいからその変化を堪能できるのが素晴らしい。
「現代の新車ほど適切なマネージメントされたエンジンではありませんが、非常にそれっぽいエンジンですよね。爆発的なパワーがあるわけじゃないですが、今の時代のV8よりもかなり濃い〜ですよ」と高橋氏。
この2ドアタホ、4駆モデルということで、車高をノーマル状態のままショックを交換しスエーバーでロールを抑え、3ウエイのLSDを入れ、SSBCの大口径ブレーキキャリパーでストッピングパワーを上げている。
車高を変えずに可能な限りの調整を駆使してストリートを楽しく走れる仕様としているのである。
面白いことにこの2ドアタホ、この18年かけて現在のコンディションまでもってきたという。つまり、メンテナンスしながら車検を迎え、マフラー変えたりへダース入れたり点火系見直したり、そして足回り調整したりしてまた点検して車検を迎えてと…。
さらにこの後、現在履いている20インチホイールを18インチに変更してバネ下重量を軽減するというから、今なお走りに対する進化は止んでいない。
長い期間を経て熟成を重ねてきたエンジンは、ラムエアやMSD、ハイカム等を加えることによって、重厚なフィールを与えてくれる。正直、ノーマルのスポーツカーでは相手にはならない。それほどスポーティかつ気持ちいい。
写真中央見える、耐熱バンテージが巻かれたショートチューブへダース。低中速のピックアップの良さを一段と増すことで、濃厚なエンジンフィールにピックアップの良さをもプラスした。SUVに載せるのにはもったいないと思わせるほどスポーティ。
オリジナルのワンオフマフラーを装着する。市販品では味わえない、このタホのみが奏でる超重低音が魅力的。
このタホはというより、アメ車全般に言えることだが、1台のアメ車に長く乗ることで、さらに年月を経てステップアップさせることで、違いを体感し愛着も増し、充実したアメ車ライフを送ることが可能。そして10数年後には熟成したアメ車が誕生している。
「アメ車を手に入れて、一気にカスタムするのももちろん良いのですが、ことによっては、オーナーさんが乗りづらさや拒絶反応を示す場合もありますよね。
ですが、このタホのオーナーさんは、この18年の間に少しずつ手を入れていき、それこそパーツ1個1個の変化を体験してきました。だからこそ、楽しくもあり愛着も増し、知らず知らずのうちに18年が経っていたという感じです。
今となっては見る人見る人から『このタホ売ってくれ』と言われるらしいんですが、オーナーさんは『誰にも売らない』と、ずっと乗り続けると決めたらしいです。
たぶん、見る人が見ると分かるんだと思いますよ、年月を経て作り上げてきた味が。ワインじゃないですが、かなり熟成していい味だしてます(笑)」
実際に走っても、このクルマの評価はまるで変わらない。濃密なフィールを発するエンジンに驚くほどシッカリした足回り。とくに段差や凹凸などのいなしがめちゃめちゃ良好で、シャキっとしているにもかかわらず、適度な快適性をも有している(ミシミシガタガタといった低級音もまったくないから驚き!)。
このタホのドライバーズシートは、人間工学的にも適切で、すべてが心地良く、見切り良く、グラスエリアが広い分、リアの視認性も高い。つまりドライバーは何らストレスを感じることなく飛ばすことが可能なのだ。今あえてこの時代のタホに乗ることで、旧世代のアメ車の素晴らしさを再び確認した次第。
今回のタホは2ドアだが、多くの人と荷物を詰めて、さらにこれだけ熱いフィールをもったエンジンを駆使して、それこそストリートをここまで楽しく走れるなら、あえてスポーツカーを買う必要性は感じない。
筆者自身はスポーツカー好きだが、このタホに乗ってしまうと、正直そう感じざるを得なかった。
シンプルイズベストなインテリア。ドライバーズシートに収まり、運転を始めると、あらゆる部分に違和感がなく、誰もが気持ち良くドライブできる。着座位置や視認性、さらに見切り等、考え尽くされた室内設計となっているからだ。
オートメーターのタコメーター。SUVに追加タコメーターはいらないとは思うが、このタホのエンジンになら、あえて付けても良いと思う。
上下2分割のリアドア。使い勝手が良く、荷室は格段に広い。こういった装備はSUVならではだし、家族持ちには必要不可欠。それでいて、スポーツカーを上回るフィールを持っているのだから、スポーツカーに乗りたいけど乗れない家族持ちには、最高のマシンである。
目線や動きの質はたしかにSUVであるのだが、乗っているドライバーは、まるでスポーツカーに乗っているかのごとく気持ちが高揚する。じつに素晴らしい!
かつては2ドアタホをベースにここまでスポーティなクルマに仕上げていたレーストラックだけに、この年代のSUVをいかようにも調理することが可能という。この2ドアタホは、上記で紹介したタホよりも車高が低くなっている分、車体のロール等が減りハンドリング自体がまるでスポーツカーのような1台だった。ここまで手を加えると、まじでスポーツカーはいらない。そのくらいアグレッシブに走ることが可能でした。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES