正直言って、「どノーマル」の4thカマロはあまり格好いいクルマとは思わない。あくまでも筆者の主観になるのだが、4thカマロのデザイン的な完成度は、歴代のカマロの中でも最低だと思う。
しかし、4thカマロはエアロパーツを装着したり、車高を下げたり、ホイールのインチアップをしたりすることによって、外観のイメージを大きく変えることができる。これは同じカマロでも4thカマロ以前のモデルには見られない大きなポイントであり、逆に言えば、それこそが4thカマロが多くの人を魅了する原因の一つとなっていると思う。4thカマロというのは、例えて言えば「けっして生まれつきの美人ではないけれど、化粧をしてドレスアップすることでメッチャいい女に変身する」といった感じのクルマなのである。
ここで紹介しているカマロは、4thカマロにエアロパーツを装着するという文化を最初に日本に持ち込んだ、ウエストクラブが製作したクルマである。「速くて低くてカッコイイ!」を合い言葉に、数々のドレスアップ&チューンドカマロを製作してきたウエストクラブの作品だけあって、このカマロはルックスと走行性能が高次元でバランスされたクルマに仕上がっている。
ウイングスウエストのフルエアロキット&コマンドスタイルウイングと17インチの5本スポークホイールでドレスアップされたエクステリアは、何年も昔にウエストクラブが完成させた4thカマロの定番スタイルであるが、デザイン的な完成度が高いだけに未だに古さを感じさせない。また、オリジナルの強化ダウンコイル&ビルシュタインショックと車高調キットで構成される足回りは、単純に低さを求めた結果ではなく、サーキット走行を中心とするテスト走行で培った経験と技術をバックボーンにしてセッティングされており、本気のスポーツ走行にも十分に応えるだけの性能を秘めている。
ルックスが良くても速く走れなければスポーツカーに乗る意味はない。逆に走行性能ばかりを重視したチューニングを施すのであれば、わざわざアメ車をチョイスする意味がない。ルックスと性能の両方を求めるのが、4thカマロの正しいカスタムの方向性なのである。
実は前期型の4thカマロは、筆者も愛車として2台乗り継いでいる。かなり思い入れのあるアメ車である。
カマロに乗っていた頃の筆者は、取材で日本中を飛び回っていたので、2台合わせると楽に10万kmは走っている。仕事が仕事だけに、ドレスアップやチューニングも一通り経験した。思いつくまま、勧められるままに、アレコレとイジりたおして記事を書いていた。で、最後にたどり着いた結論が「カマロはやり過ぎない方がいいかな?」だった(笑)。
カマロというクルマは、イジればどんどん格好良くなるし速くもなるのだが、あんまりやり過ぎると乗り難くなってしまうのだ。でまあ、乗り難くなったクルマというのは、どうしても乗る機会がだんだんと少なくなっていく。せっかく仕上げたカマロがあるくせに、オンボロの足クルマに乗る機会が増えていくのだ。
とまあ、そんなわけで、カマロに乗っていた当時よりも少し分別がつくよになった現在では、ここで紹介しているくらいの仕様が最もバランスがいいよなぁー…とか思うわけです(笑)
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