更新日:2012.09.25
文/石山英次 写真/編集部
リンカーン・ナビゲーターは、さすがに高級車だけあって、トラブルがそんなに多いクルマではない。基本的なメンテナンス、油脂類の交換、各種フィルターの交換や定期点検をマメに行っていれば、それほど恐れるクルマではない。
ただし、これは新車で購入した場合に限った話であって、中古車になると若干様子が変わる。特にナビゲーターの場合は、フォード車専用のスキャナー・WDSが必要であったり、コンピュータートラブルに際してはWDS&アズ・ビルト・データ(※注)が必要になったりと、日本でメジャーな存在であるGM車を扱うのとは事情が大分異なる。
さらに日本の場合、中古車に関しては、すでにカスタムされているものが多く、また適切なメンテナンスを受けていない車両が結構見受けられるという(前述した機材を持たないお店が多いから)。
中古のナビゲーターは、もとは立派な高級車である。仮に中古車を100万円で購入できても、中身の伴った車両じゃない限り、間違いなく整備代がかかる。だからそのためにも、車両とお店の見極めが必要になるのだが(最近、現状販売で購入されている方も多いというから注意が必要ですよ)。で、その後は適切なショップで確実な整備を受けて、コンディション維持に務めることが必要になるのである。
※注)ナビゲーターには、年式によるが、車内に7つから8つのコンピューターが搭載されている。その代表的なのがPCM。いわゆるパワートレイン・コントロール・モジュールである(ABSなんかもそう)。
で、このコンピューターのどれかに何らかのトラブルが起こった場合、そのトラブルが起こったコンピューターの内容をリニューアルするわけだが、簡単にスキャナーを使ってデータを入れ替えるわけにはいかない。つまり、もとからある7つもしくは8つのコンピューターは連動しており、データをリニューアルすると、残りのコンピューターが異常信号を発令し、動かなくなってしまう。
そこで必要になるのがアズ・ビルト・データ。メーカーは、一度構築されたデータを一台ずつバックアップしており、リニューアル時にメーカーからそのデータをもらい、そいつをスキャナーで入力し、入れ替える必要があるのだ。
ナビゲーターにおいて、一番深刻なトラブルがエアサスのトラブルだ。トラブルの事例としては、エア漏れ、コンプレッサー不良、センサー不良といったところだが、万が一トラブルが起こった場合、パーツを交換しても車高を調整するためにWDSが必要になる。
エアサスのトラブルは、特に初期モデル(98〜02)に多く、フロントはショックとエアバッグが一体のため、エアが抜けてもある程度の車高を保っているが、リアはショックとバッグが別体のため、エアが抜けると車高が保てなくなり、一輪のみ傾いた状態になったりする。車高が前後で違う、なんてクルマはエアサスにトラブルが起こっている可能性が高いのだ。
<トラブル事例>
1.エアバッグからのエア漏れ
2.ホースからのエア漏れ
3.コンプレッサーの不良
4.各種センサー不良
※上記のトラブルが起こった場合、どの部分のトラブルかを適切に見極める能力が必要になる。02年までは純正パーツはASSY供給だが、03年からは部品単品で供給可能なだけに、余計に見極めが大切になるのだ。
しかし!
→トラブルが起ころうとも走行不能に陥らない場合が多い。
エアサス関連にトラブルが起こっても、走行不可能になることはない。ただ、走行中に一輪のみ傾いていたり、リアのみ沈んでいたりということはある。
長く乗る前提なら、やはり純正パーツで各部をメンテナンス&パーツ交換してリフレッシュすることをお勧めするが、安価に仕上げたいという方々もいるはず。上記のエアサスのトラブルを一度経験し、ある程度のことを理解すると「エアサスをやめたい」、「仮にエアサスを取り外すことが可能ならトラブルが断然減るんじゃないか」と考えるオーナーもいるというし。
現在、ナビゲーターにはエアサスを殺し、コイルスプリングにコンバージョンする社外品のキットが発売されている。また、エアサスを継続する場合でも純正品よりも安価な社外品パーツも発売されている。
ノーマルで乗ることを前提に考えれば、エアサスの継続を考えるしか方法はないが、トラブル解消を望むために、エアサスに見切りをつけるなら、選択肢は現在、豊富に存在するのである(アメ車ワールドのパーツコーナーでも販売されてます)。
なぜエアサスなのか? たとえばエスカレードやハマーH2のリアに装着されているエアサスというのは、オートレベライザー、つまりトーイング時などに車高を水平に保つための装備と考えられる。重い荷物をリアに積み、沈んだ車高を押し上げるといった。
一方、ナビゲーターに装着されているエアサスは、サスペンションの役割を果たしているエアサス。つまり、コイルバネがなく、エアをコイルの代わりとして利用している。
ところで、なぜエアサスなのか? エアサスはコイルの代わりにエアを使うため、エアバッグが必要となりコンプレッサーやホースといった付随パーツも必要となる。さらには、コイルには絶対ないトラブルが起こり、そいつは実際のところオーナーの負担になる…。
……、聞けばエアサスの魅力とは、その乗り心地にあるという。つまり、乗用車的乗り心地、ある意味究極の乗り心地を実現するためにはエアサスが必要になるのだという。ナビゲーターには、SUVの中でも乗用車的要素がいち早く取り入れられてきた。エアサスもその一部であり、リンカーンのコダワリである。だからこそ、エアサスが完調なら、それこそ究極のラグジュアリーSUVといっても過言ではないのである。
ということで、オーナーも気合いを入れてそのコダワリを継承していかなくてはならないのである。
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