1953年の誕生から現在まで、半世紀以上も生産され続けているコルベットのように、アメ車には息の長いクルマが多い。ただ、それらは時代と共に進化するのが常で、マスタングやサバーバンはモデルチェンジの度に時代に合った技術が取り入れられてきた。
その点でグランドワゴニアは異質なクルマといえる。1963年のデビューから91年の生産終了まで、基本的な構造がほとんど変わらなかったからだ。幾度かマイナーチェンジはされたが、フロントマスクのデザインが変更されたり、ウィンドーなど装備系が電動化されたくらいである。
ワゴニアのベースになったのはデビュー前年にリリースされたピックアップのグラディエーター。後にJシリーズピックアップとなり、アメリカ陸軍でも採用されたモデルだ。なので、初期モノのワゴニアはカイザージープ・コーポレーション製となる。ただし、62年に工場を出荷した一部のモデルにはウィリス・モータースのプレートが貼ってあるので、もしそいつが見つかればお宝となるだろう。
ワゴニアのスペックを見てみる。まず、ボディ構造はラダーフレームにスチール製のボディを載せたもの。足は前後リジッドでリーフスプリングを採用する(この構造は91年まで同じ)。
エンジンは当初直6だったが、60年代後半からシボレーの350(5.7リッター)を積んだスーパーワゴニアが登場するなど、バリエーションは増えてくる。長年メインとなったのは、4.2リッター直6と5.9リッターのV8だ。ちなみに、こちらの取材車両は5.9リッターのV8エンジンを搭載している。
ワゴニアのコンセプトは豪華なワゴンといったところ。それまでのCJシリーズにスチール製のボディを被せたステーションワゴンとは違い、ウッドパネルで装飾するなど高級感を前面に押し出している。インテリアも同様に、ダッシュパネルはウッディに飾られる。最終型となる撮影車を見てもわかるように、インテリアはベージュを基調にした落ち着いた雰囲気を醸し出す。
AMCは74年にワゴニアと同じボディを使った廉価版のチェロキー(通称ビッグチェロキー)を出す。その後チェロキーは2ドア版を中心とし、ワイドトレッドのチーフを加えるなどスポーティな路線を確立。ウッドパネルが用意されなかったのは、高級路線でないことを意味する。
ところで、ワゴニアがグランドワゴニアに名称変更されたのは84年から。79年の第二次オイルショックを経て、当時のジープブランドのオーナーであるAMC(アメリカン・モータース・カンパニー)が、「これからはコンパクトSUVの時代」と判断。ビッグチェロキーをスモールチェロキーにスイッチしたのだ。そしてそれに伴い、スモールチェロキーの高級車版ワゴニアをラインナップ。そのためそれまでのワゴニアにグランドワゴニアという名前が付けられた。といったストーリーを経て、グランドワゴニアは87年にクライスラーが親会社となり、91年に生産を終了したのである。
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