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歳をとれば味覚が変わるように、クルマに求める「質」も変わる!

ダッジマグナム SRT-8 (DODGE MAGNUM SRT-8) vol,1

ただ硬いだけではない、上質な「足回り」を造り上げる

ダッジマグナムSRT-8の足回り交換&セッティングに立ち会った。かなり硬質な初期状態だったが、どのように変化するのだろうか? オーナーさんの求める理想像とはいかに?

更新日:2012.06.22

文/石山英次 写真/石山英次

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 03-5661-3836 [ホームページ]

クルマの場合って、若さ=硬さ?

 年齢を重ねると食べ物の嗜好が変わる場合がある。たとえば肉。若い頃は毎日のように食べられた肉が、40代を過ぎると急に欲しくなくなる。たまにちょっと食べると美味しいと感じるが、さすがに毎日は食べれない。そんで、できるなら少量でいいから、上質なモノを食べたい…。
 もちろん、すべての40代以上の方々に当てはまるとは思わないが、そういう方が多いのではないかと、世間一般的には言われている。 

 筆者も同じような経験はしているし、ちょっと前まで毎日でも食べられたマックなどのファーストフードが今やぜんぜん欲しくない。なんか脂っこいし。今はあっさりしたもので、量も少しで十分に満足できるし。けどそれって歳のせい? 
 今回取材したダッジマグナムSRT-8を取材して、製作コンセプトを伺っているときに上記のようなやりとりになった。

 「若い頃、めちゃめちゃ足回り硬くしてガンガン走っていた方々も、ある程度のお年を召して、もしくはいろいろ上級な、高級なものを体験していくと、だんだんと落ち着いてきて、『硬いのはもういいや』なんて言い始める。『腰が痛くてさぁ』なんてことも」

 お年を召しても「硬質なフィーリングが好み」って方々がたくさんいることは経験上知ってはいるが、世間一般的は「もう少し柔らかくならない〜?、ゴツゴツ大変なんだよ〜」なんて方がたくさんいるらしい。
 そんな話をしている時に「肉」の話にもなったのだ。肉と一緒だよって。「食べ物の好みも、クルマの好みも、歳とると変わるんだよな〜」と。

リアの足回りだが、ブレンボブレーキがついていたり、モパーレーシングのパーツがついていたいりと、かなり硬派な印象だ。

装着されていたモパーのショックは、コイルオーバー式の減衰力調整機構付き。オーナーさんの求めているレベルを遥かに超える硬質な仕様だった。

改めて装着するショックはコニで、コイルはアイバッハを使用する。この仕様で過去に何台も製作した経験値があるという。

装着するコニのショックは、縮み側の減衰力を柔らかくセッティングしている、レーストラックオリジナルのもの。人間の力でも、かなり力を入れれば縮ませることが可能なほどだ。

アメ車=硬くする、は間違っている?

 取材車両のダッジマグナムSRT-8には、モパーパフォーマンスのコイルオーバーサスペンションとマフラーが入り、ビッグスロットルが装着されていた。現オーナーさんは、その状態で某ショップから購入したという。
 
 そのオーナーさん、実は300Cツーリングのオーナーさんでもあり、その300Cが好評で、「SRT-8ならもっと楽しいだろうと?」と想像し、マグナムSRT-8購入に及んだのである。ところが…。

 実際に手に入れて乗ってみると、とにかく硬い! そしてタイヤも硬い! 室内からは「ミシミシ、ガタガタ」。路面で跳ねちゃって音が出るし、高速走行中はメーター周りやドア内張から、キシキシ音が気になり始めて…、しかも加速感がイマイチ。「SRT-8って、こんなもんなの?」と疑問がわいてきたという。

 そこでレーストラックの高橋氏に相談に来た。「ちょっと乗ってもらえますか? さすがに乗れたもんじゃないですよ…」と。実は300Cツーリングを納車したのはレーストラックだった。「300Cと同じような感じにしたい」というオーナーさんの希望をどうかなえるか?

 「現状で試乗した感じでは、『かなり速度を出した状態でまとまるかな』って感じでしょうか。良路で、速度域の高い、たとえばサーキットのような場所だと気持ちよく走れるようなセッティングかもしれませんが、現オーナーさんはそんなような方ではありませんし、普通のおじさんです(笑)。
 日常的に使い、街中で楽しみ、恐らく一般的なアメ車オーナーやベンツやBMW、ジャガーオーナーとそう変わりないと思いますよ。ですから、モパーレーシングのコイルオーバーとかは、必要ないでしょうね(笑)。あと減衰力調整とかしないでしょうし。
 それと異音ですが、ちょっと見た感じでは、前オーナーか、もしくはショップさんかが取り外した際に、パネルのツメなどを折ってしまってる箇所がありますね。なので、きっちりはめ込まれていない状況ですから、路面からの突き上げにいちいち反応して音が出てしまうのでしょう」

もともと装着されていたビッグスロットルを取り外し、へダースを装着することも、同時に行われた。

へダースを新たに装着することで、中間パイプは新たに作り直す。またもともと装着されていたモパーのマフラーはそのまま生かすセッティングで行われる。

試乗した高橋氏いわく「このままの仕様でも乗れないことはないですが、オーナーさんの求めているステージにはまったく合いませんね(笑)。ビリビリ、ガタガタ、内装の音が酷いです。センターコンソールの異音は、オーディオ取り付け時にパネルのツメを割っているからですね」

提案されたいくつかのプラン

 こんなやり取りのもと、「あくまでストリート」という枠の中で楽しめるいくつかの提案が行われた。

 まずショックとサスを交換して、楽しめる速度域を下げること。そして硬化していたタイヤを交換するとともに乗り心地と走行性能の両立を図る。また低速域の加速が鈍かった一因と考えられるビッグスロットルを取り外し、逆にへダースを装着して低速から中速域の加速感を高める。その際にモパーのマフラーは生かす。その他、室内異音の原因となっていた内張各所のチェックと補修と増し締めを行う。

 早速、上記の作業が開始されたのだった。変化はいかに?

モパーのショック&コイルからコニ&アイバッハへの交換。と同時にへダースが装着され、新たなSRT-8に生まれ変わるための作業が始まったのでる。

<関連記事>
>> ダッジマグナム SRT-8足回り vol,2 を見る
>> ダッジ マグナム RT の試乗記を見る
>> ダッジ マグナム SRT8 の試乗記を見る
>> ダッジ マグナム カスタムベースは? を見る
>> ダッジマグナム モデルガイド を見る

フロントの足回り
※以下→方向に見てください

リアの足回り

リアのショック交換から始まった。

ショックを取り外し

コイルを取り外す

装着するコニのショック

アイバッハのコイル

もともとのブラケットをアイバッハに装着

そして車体に収める

ショックも、もともとの補記類をコニに取り付けて

装着する

リア1本でざっと20分程度。これをあと3本こなす

へダース装着のために、一度排気系をすべて取り外す

中間パイプは新たに作り直し

モパーのマフラーは生かす!

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