更新日:2012.11.21
文/石山英次 写真/ゼネラルモーターズ
シボレーの兄弟ブランドと言われるGMC(ジー・エム・シー)。このGMCにはシボレーの兄弟車が数多く存在してきた。有名どころではアストロにはサファリ、シルバラードにはシエラ、エクスプレスにはサバナ、トレイルブレイザーにはエンボイ、コロラドにはキャニオンといったようにだ。そしてタホにはユーコン、サバーバンにはユーコンXLがある。
では、どうして二つものブランドが存在するのか? それはもともとの発祥が異なるからだ。シボレー、GMC、ともに20世紀初頭に誕生したが、もとはまったく異なる自動車メーカーが母体であった。それをGMが買収して統合したのである。
その位置づけは、シボレーが一般的な大衆車なのに対し、GMCはコマーシャルビークル(商用車)として長年広く親しまれてきた。そのためシボレーにはカマロやコルベットという趣味性のあるクルマがラインナップされたが、GMCにはなかったのである。
ところが、そんなポジションを築いてきた各々だが、時代の流れと共に少しばかり様子が変わってきた。GMCの存在が、かなり注目されるようになったのである。
それはまずマーケットから動きが起きた。SUVやミニバンブームによって、それまで仕事クルマと思われてきたGMCのラインナップが、「もうひとつの選択肢」となったのだ。それはまさに、民間用に対するプロスペックに近いイメージ。コマーシャルビークル一筋のGMCブランドは、プロユース的選択肢に位置づけられた。
そんな背景があり、GMCはユーコンにスペシャルなモデルを追加した。それがここで紹介するデナリ。GMCブランドにあって唯一キャデラックとタメ張るポジションに位置するモデルである。
当時はその辺の済み分けもハッキリしており、GMCはそれぞれの業界のプロフェッショナルがターゲットとなっているらしい。たとえばキャデラックが会社役員なら。GMCは医師や弁護士といったところだそうだ。
そんな背景があるからだろうか、GMCのラインナップはシボレーよりも若干豪華な路線を歩む。フロントマスクの押し出しを強くし、装備類を豊富に取り揃えるといった味付けが施されている。
で、そのラインナップだが、タホのGMC版がユーコン、サバーバンのGMC版がユーコンXLとなる(ここら辺間違える方が結構いる)。ユーコンとは河川の名前である。カナダ北西部からアラスカ中部を通り、ベーリング海に注ぐユーコン川からとられている。
ユーコンXLは、それ以前のモデル(サバーバンが旧型だった92年から99年モデルまでのこと)GMCサバーバンと名乗っていたが、ユーコンの認知度が上がったことで、サバーバンの名が外れて差別化が図られた。
さらに、これらにはその上級バージョンが存在しており、それぞれが「ユーコン・デナリ」、「ユーコンXLデナリ」と呼ばれたのである。これぞ日本でも一時代を築いたラグジュアリーSUVである(今だに中古車として人気あり)。
バンパーまわりやホイールなどがスペシャルとなるこのデナリは、どちらかというと、キャデラック・エスカレードシリーズに近い。エンジンも5.3リッターはラインナップされず、6リッターのみという設定だし。価格も通常のユーコン+約1万から1万5千ドルアップとなる。
ただ、そうなると日本では微妙な立場であることは否めない。実用性とカスタムベースで考えるならシボレーで十分だし、ラグジュアリーに思いっきり振るならキャデラックの方がわかりやすい。周りもリアクションをとりやすいだろう。
だが、それをそのまま逆の発想でとらえるならGMCはアリかもしれない。シボレーやキャデラックに似ているようで違う、「通」な選択だからだ。
もちろん、それでいてハードウェアはシボレー系と共通なのだから、メンテナンスや修理に臆することはない。まわりから偏屈といわれるかもしれないが、面白いチョイスになるだろう。
この型のユーコンXLも、タホ、サバーバンのモデルチェンジにより、同様に2007年にモデルチェンジしている。その面構え等にどういった印象を覚えるかは人それぞれだろうが、残念ながら新型に関しては、これまでの人気とはほど遠いものになってしまった(少なくとも日本では)。
性能は折り紙付きなのに、旧デナリXLのような「通」な選択肢とはならないみたいである。
<関連記事>
>> シボレー サバーバン vol.1(CHEVROLET SUBURBAN) を見る
>> シボレー サバーバン vol.2(CHEVROLET SUBURBAN) を見る
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