リンカーンが作るピックアップトラックと聞いてまず思い出すのが、初代リンカーンピックアップの「ブラックウッド」である。ブラックウッドは、2001年に登場し、3年後の2003年に早期退陣となった不遇の名車である。
当時のブラックウッドは、SUVであるナビゲーターの意匠を使用して最高級のピックアップトラックを目指したが市場の要求に合わず。
ピックアップトラックというのはあくまで実用車であり、いわゆる労働者階級のマイカーであり、高級とはいえど限界があった。すなわち実用車であることに変わりはなく、プレステージカーであるキャデラックやリンカーンとはやはり無縁の世界だったのだ(通常2万ドル程度からの販売価格においてブラックウッドは5万ドルを越えた)。
だからこその早期退陣。いわゆる失敗作としての烙印を押されてしまった格好になったのだが、退陣後2年が経ち、2005年に再びリンカーン発のピックアップトラックが帰ってきた。それがリンカーンマークLTである。
搭載されるエンジンは、5.4リッターV8SOHCエンジン。300hp最大トルク365lb-ft/3750rpmを発生させる。十分なトルク感があり、過不足ない走りが可能である。
前作は「ブラックウッド」というネーミングだったが、この代からはリンカーンマークLTに変更になっている。マークLTは、ブラックウッドほどの凝った造りではないが、リンカーンの流儀を貫いている。
このマークLT、ブラックウッドの失敗を糧に入念なマーケティング調査を進め、価格改訂を行ってきた(3万ドル台から買えた)。加えてブラックウッドには2WDしか存在しなかったシャシーに4WDを加える等して、実用的な面での改良にも手を加えてきたのである。
さらにブラックウッドでは、ナビゲーター同様エアサスを使用していたが、マークLTにはコイルサスペンションを使用。いわゆる簡素化ではあったが、その他の部分でリンカーンの流儀を貫いていたことから俄然評価が高まった。こうして再びリンカーン発のピックアップトラックとして2005年に2006年モデルとしてデビューを果たしたのである。
撮影した車輌は2008年型の最終モデルである。マークLTは、2006から2008年まで製産され、ベースとなるF150ピックアップが2009年にモデルチェンジをする際にF150の上級バージョンとしてF150シリーズに吸収されてしまった経緯を持つ。
つまり、これまた3年で製産終了となったのだが、じつは今回の販売に関してはある意味成功を収めたことでカタを付けたと言われている。つまり、マークLTとは前作失敗における首脳陣の意地の結晶みたいなものだったのかもしれない。
インテリアの雰囲気はリンカーンそのもの。上質でありセンス良く、正直ピックアップトラックにはもったいないほどの質感である。
薄いベージュにブラックのパイピングを施したソフトレザーのシートもかなり上質なもの。汚れることを恐れてしまう。
リアシートもフロント同様のものが装備される。居住空間も確保されているので、「SUVほど」とは言えなくとも、それに近いだけの快適空間は有している(正確に言えばシートがリクライニングできないことくらい)。
さてこの2008年型マークLTであるが、実車を見るとかなり雰囲気の良いピックアップトラックであることが分かる。個人的にはエスカレードEXTよりもピックアップらしさ溢れ、高級という点においても確実に勝っていると思うほどだ。
クロームアクセントをテーマにしたエクステリアは、エスカレードほどの押し出しの強さは感じさせないが、逆にそこはかとない品の良さを感じさせ、育ちの良さをも感じさせる。シャンパンゴールドのボディカラーにこれまた品の良さが滲み出ているのである。
ウッドやソフトレザーを使用したインテリアにはセンスの良さを感じるとともに、トラックのインテリアとして求められる質感を確実に越える高級感で満たされている。しかもピックアップでありながらもリンカーンブランドとしての流儀&テイストは確実に継承されており、誰が見てもリンカーンそのものである。
搭載されるエンジンは、当時のF150と同じ5.4リッターV8で300hp、最大トルク365lb-ftを発生させる。これを4ATで駆動するが、50kg-mを越える極太トルクを生かし、リンカーンの名に恥じない走りが可能となる。
インパネメーター内のレタリングも洒落ていて、質感だけでなく全体的にセンス良くまとめられていることが伝わってくる。
5.4リッターV8エンジンに組み合わされるミッションは4速ATとなる。小刻みな変速はしないが、熟成された往年のミッションだけに不満はない。
純正の状態であれば品の良さが特徴となるのだろうが、この車輌には24インチのレグザーニLX10が装着されたことにより押し出しの強さも加わって、全体の雰囲気に迫力が備わったのである。
こうしたリンカーンマークLTの最大限の美点に加え、取材車輌には24インチのレグザーニLX10が装備され、持ち前の品の良さに押し出しの強さを加えることに成功しているのである(大径ホイールを履きこなす懐の広さも魅力的だ)。
加えて、写真を見れば分かるが、すでに中古車でしか手に入らない個体であるにもかかわらず、かなりの程度の良さである。とくに一番重要となるインテリア各部の状態は驚くほどクリーンで、ソフトレザーの風合いやパイピングのセンスの良さなどが感じられるとともに、絶版中古車固有の所有感も十分に満たされる。
この車輌を輸入したレアルトレーディングによれば、「車輌が見つけ難いということもないし、メンテナンスにも困るほど特異なメカニズムを持たないので、ナビゲーターとはひと味違った高級車を求めるなら、マークLTは最適かもしれない」ということだった。
このマークLTに関して言えば、絶版中古車といえど最終モデルが2008年型。つまり5年から7年程度落ちとなるわけで、アメ車のクオリティからいえばなんら問題ない範囲。そういう意味でもお勧めできるし、「レア」なアメ車を求める方の満足感をも確実に高めることが可能だろう。
ちなみに、この車輌にはすでにオーナーさんが付いているということだったが、このピックアップを指名買いするなんて、かなりツウなオーナーさんであるに違いない。
グリルが変わりサイドミラーにクロームフルカバーが装着され、クリスタルヘッドライトやHIDが装備されたりと、所々に手が加えられているが、全体的な雰囲気が崩されていないのがいい。
荷台のトノカバーも装備されているし、このクルマ、ちょっと贅沢なSUVとして使うのだっていいかもしれない。そのくらい魅力的な車輌である。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES