バイパー亡き後、ダッジの最高峰マシンとして君臨していたダッジチャレンジャー。一部ではそろそろ生産末期とも囁かれるが(2013年モデルは存在する!)、その「存在感」はいまだかなりのものだ。
いわゆるLX系モデルたちと同じプラットフォームを使うがゆえに(ホイールベースは短い)、「チャージャーでも300Cでも同じでは?」との声も聞こえてくるが、実際に実物を目の前のすると、そのオーラは凄まじい。なんというか、このクルマならアメ車とかモパーとか、そういった経緯を知らない方々が見ても、恐らく十中八九「カッコいい」と言うに違いない(見た目のインパクトがハンパない)。
稚拙な表現で申し訳ないが、そのくらい痺れるデザインだと思う。特にフロントマスクとフロントフェンダーからリアフェンダーに流れる独特のキャラクターラインが素敵だ。
LX系モデルの中でチャレンジャーのみ、過去のデザイン遺産をうまく現代風に改め直し、『過去』を思い起こさせるデザインを採用している。というか、「まんま昔のチャレンジャーじゃん」っといっても過言ではない(70年型をモチーフにしているというが、ボディの厚みが現代的)。
だからかこのクルマに抱く感覚は、某国車「ミニ」に相通じるものがあるのだろうと思うし、逆にこれからの進化がどうなるのかが不安になるくらい、今現在のデザインがすでにまとまっている。だからこそ進化できずに、生産中止もあり得るのかもしれない…(これをベースにしたクーダも見てみたい気がするが)。
ま、余談が過ぎたが、このチャレンジャー392。レアルトレーディングが輸入した2012年の最新モデルである。ブラックボディにシルバーのセンターストライプがよく似合う。
そもそも392自体は、2011年早々に登場しており、ダッジチャージャーSRT8 392が2012年モデルから登場していることを考えると、「まずはチャレンジャー優先」というメーカーの姿勢が感じられ、さすがフラッグシップとうなずける。
このダッジチャレンジャーSRT8は、392に進化するとともに、パワーやスタビリティ、ハンドリング、ブレーキ等における動力性能が著しく進化していることが特徴である。
伝説的なエンジン392キュービックインチ=6.4リッターエンジンは、470馬力、最大トルク470lb-ftを発生させ、いかなる回転域においても潤沢なトルクを提供してくれ、アクセル開度に即応した最高のレスポンスをもたらしてくれる。
このエンジンには、オートスティック付き5速ATが標準で装備されるほか、旧バイパーに搭載されていたTremec TR-6060 6速マニュアルが、ヘビーデューティクラッチと共に用意されるという。取材車輌は5速ATだが、2012年モデルからステアリング裏にパドルシフトが装備されているのが嬉しい。
またハンドリングも劇的進化を遂げている。それまでも比較的レスポンス良く反応していた足回りがさらに向上し、6.1時代とは別物に進化。ハンドリングを良くするためにショックを変更し、サスペンション周りにも手が加えられている。
またコーナリングバランス、ステアリングレスポンスを良くするためにステアリングレシオやキャンバー角等を変更。これによってステアリングの切れ、レスポンス、入力の応答性などすべてにわたって良くなっているのである。
と同時に20インチの大径鍛造ホイールが採用され、ブレーキもブレンボが装着されるなど、足元の見直しも行われ、その動力性能において不満をもらす箇所はほとんどない。
この車輌を輸入したレアルトレーディングのスタッフに聞けば、「普段、LX系の中古車を扱っていて、車輌販売とともにホイールを換えたり、車高を下げたり…、そういったカスタムのオーダーが当たり前のようにあるんですが、『このチャレンジャーはとりあえずこのままでいい』って感じですよね(笑)。デザインも車高もホイールも何もいじらずに乗っても、めちゃめちゃいいですからね。ホント最高です」
すでにオーナーさんが決まっており、しかもハマーH2所有のセカンドカーということで、まずはノーマルで乗ってチャレンジャーを味わってみるという。
これまでレアルトレーディングで紹介している車輌は、基本カスタム系が多かったが、ノーマルでも楽しいと言わせてしまう、チャレンジャーの魅力。オーラといってもいいだろう。
もちろん、チャージャーなどもノーマルで十分に楽しいのだが、チャレンジャーにおいては、その性能だけでなく過去におけるチャレンジャー伝説みたいな系譜をモロに引き継いだそのデザインに、多くの人々が魅了されるのだろう。特に392においては、爆発的なパワーをも秘めているだけに、手を入れるのはノーマル状態を十分に味わってからで良いのかもしれない。
レアルトレーディングのスタッフたちもそこら辺は十分に熟知しているのである。
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