かつて『アメリカンパワー』というアメ車雑誌があって、筆者がそこの編集部員だったころにある企画でふなつ一輝氏と一緒に仕事をした。『華麗なる食卓』という漫画で大ブレイク中のふなつ氏は当時、初めてのアメ車としてアストロを購入したのであった。
そのアストロに様々なカスタムを施しながら10年も乗り続けたふなつ氏だが、アストロと出会うまでの彼はカーマニアというワケではなく、ごくごく普通の一般的な国産車オーナーだったというから笑えてしまう。
しかし、アストロを所有することで彼自身のカーライフとクルマに対する価値観が大激変! どこへ行っても目立つアメ車の強烈な存在感や気軽に創造的なカスタムが施せる楽しさ、そして何ともいえない大らかな乗り味がすっかり気に入り、生粋のアメ車ファンとなったのである。
「気がついたら10年。アストロとアメ車のことがこんなにも好きになるとは、自分でもビックリ(笑)」とはふなつ氏。
「これから先も、おそらくアメ車以外には乗らない」と宣言するほどの激変ぶりだった。
そもそも、ふなつ氏がアストロを所有するきっかけとなったのは、前述したアメ車の月刊誌「アメリカンパワー・American-Power」(2004年夏に創刊)で、アストロの購入からカスタムの過程を紹介する連載をもってもらったことだった。
当時、A-Power編集部に在籍していた私マリオ高野は、どうしてもふなつ氏に何らかの連載をもってもらいたく、アメ車に乗ることを打診。すると、ふなつ氏も「実は昔からアストロに憧れていた」と、潜在的にアメ車への興味を抱いていたことがわかり、トントン拍子に話が進んでいった。週刊ヤングジャンプで大絶賛人気連載中だったふなつ氏の代表作「華麗なる食卓」のタイトルを拝借し、「華麗なるアストロづくり」というアストロの長期レポート的な連載が始まったのである。
アストロを買う前のふなつ氏は、「アメ車に乗ってみたいとの願望はあるも、アメ車には故障や極悪燃費などのネガティブなイメージがつきまとうので、購入は躊躇していた」という典型的なアメ車オーナー予備軍が抱える不安に苛まれていたのだが、そういったネガティブな要素は過度に気にする必要はないと説明。
加えて「国産車よりもマイナートラブルが出やすいのは確かだが、それはベンツなどの高級な欧州車でも同じ。アメ車だけが特別壊れやすいというワケではないし、定期的な点検を実施していれば、大きなトラブルに見舞われることは滅多にない」とも。
さらに「燃費は、車重2トンオーバーの大排気量車として考えればむしろ優秀。高速巡航では10km/Lぐらい出せるし、一部のスポーツモデル以外はほとんどレギュラーガソリンなので、同クラスの輸入車の中では、じつはランニングコストは低く抑えられる」などなど、事実を丁寧に説明すれば不安は徐々にだが払拭できた様子だった。
余談になるが、私マリオ高野とふなつ氏は同じ小~中学校出身の幼なじみで、彼は子供の頃からズバ抜けて絵が上手かった。私のみならず、同級生や先生は「ふなつは絵を描く仕事に就くに違いない」と確信していたはずだ。
中学生時代には抜群の漫画家センスを感じさせる四コマ漫画でクラスメートを爆笑させていたし、今の彼の成功は当然の結果といえる。私としては「American-Power」の創刊により、自分が編集する雑誌に彼の連載を載せるという夢が叶った喜びはひとしおだった。私の編集者時代の最大の誇りともいえるだろう。
その後「American-Power」の休刊後は彼のカーライフをサポートすることがなくなり、一抹の不安があったのだが、彼は仕事上の義務がなくなってからもなおアストロに乗り続けてくれたことが嬉しかった。たまに会うたびにクルマのことを尋ねると、そのたびに「全然飽きないし、これからも乗り続ける。次はハマーかフルサイズのバンが欲しい」と真顔で答える彼はいつしか、骨の髄までのアメ車好きになっていたのであった(笑)。
数年前に今の自宅を新築するときも、駐車場にはフルサイズのアメ車が停められるスペースを確保したほどなので、彼のフルサイズのアメ車に対する思い入れの強さはホンモノだ。ちなみに奥さんや二人の娘さんも、アストロとともに過ごしたことでアメ車がもたらすカーライフの楽しさを実感していたことは言うまでもない。
ふなつ家の中では、奥さんが足グルマとして乗っている軽自動車は単なる移動の道具としか見られていないが、アストロは「アストロ君」と敬称つきで呼ばれるなど、家族同然の扱いを受けている。10年前、彼にアメ車を紹介して良かったとつくづく思う。
そして今回、アメ車購入10周年を記念し、アメ車ワールドでアストロとの10年を振り返るインタビュー記事を企画。そのやりとりで何度か話しているうちに、ふなつ氏の中でくすぶっていた「H2への憧れ」に火がつき、そのまま一気にアストロを卒業することになったのである。と同時にかつて一世を風靡したハマーH2への乗り換えを決意したのだった。
ふなつ氏はアストロに飽きたワケでは決してなかったのだが、久しぶりにアメ車に関する取材を受けたことがきっかけとなり、「死ぬまでには手に入れたい」と長年憧れ続けていたH2の中古車事情が気になるようになった。そこでアメ車ワールドの田中編集長に軽く相談した結果、H2といえども、さすがに中古車相場がこなれてきており、かつディーラー車でも比較的安価で良い個体が手に入りやすくなっていたことを知り、乗り換えへと大きく傾いて行ったのである。
加えて「ハマーH2=セレブ向けの超高級外車」とのイメージからか、ずっと難色を示していた奥さんも、H2の現状を知るにつれ乗り換えにゴーサインを出してくれるようになったという。実際H2の中古車相場はこなれてきており、ディーラー車でも300万円台で良い個体が手に入りやすくなった。お買い得感が高まった今だからこそのグッドタイミングでの乗り換えとも言えるだろう。
ということで早速検索開始! 今やネットで日本中の在庫車が検索できる時代だけにボディカラーや年式、予算などの条件が合致した物件をあらゆる角度から吟味。結果的に20台くらい比較したでしょうか、希望に近い在庫車を展示していたBUBUに連絡して車両見聞と試乗をお願い。ほんとにたまたまだが、お店のスタッフさんに「華麗なる食卓」の熱烈な読者が居たことも幸いだった(笑)。
心躍らせる試乗だが、H2は車重は3トン以上、車幅は2m以上もある巨体。ある程度は走る道や停める駐車場を選ぶ面倒くささはあるがそれは承知の上だし、アストロで左ハンドルのアメ車の扱いに慣れたおかげで、予想していたほど運転に難儀することはないという。というか、試乗して実際に体感してしまったことでH2の購入は決定的。あとは個体チェックに尽きるのみ!
BUBUさいたまは、正規ディーラーを併設していることが何よりも心強い。選んだ個体がD車だったこともあり、その安心感が後押ししてくれたことは間違いない。同時にホワイトカラーが希望だったったが、それもクリア。「もう買うしかない!」となったわけである。
「目立ってナンボのクルマなんで、ハマーのデカさをより際立たせる膨張色の白が欲しかったんです」と満面に笑みを浮かべるふなつ氏であった。
ブームは去ったとはいえ、日本の街でのH2の強烈な存在感はまだまだ健在。納車約1ヶ月後の感想を聞くと、圧倒的な威圧感を発揮するフルサイズのアメリカンSUVを悠然と転がす快感は期待していた以上らしく、独自の運転感覚に陶酔しっ放しの様子だ。実際に「良い部分は期待以上、覚悟していたネガな部分は予想以下です」とのことだ。
この年末年始は大阪への帰省で初の長距離ドライブを実施したが、やはり高速道路巡航での安定感と雄大な感覚が最高に気持ち良いという。合流などでは、まわりのクルマがことごとく譲ってくれる便利さも実感しているようだ。
「いろんな面で勇気と決断が必要だったけど、やっぱり思い切ってH2を買って良かった」と喜ぶ彼を見ていると、こっちも嬉しくて仕方がない。
返す返すも10年前にアストロを薦めて本当に良かった。30年来の友達とその家族が、アメ車でシアワセを味わう様子をみる喜びは筆舌に尽くしがたいものがある。ハマーH2が、アストロと同じかそれ以上にふなつ家にシアワセをもたらしてくれることを願ってやまないのであった。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES