クワッドドライブが手がけているレクサスLX570カスタムプロジェクト。前回お伝えしたとおり、スーパーチャージャー装着が終了し、次なる過程・ボディメイクへと作業が進行していたのである。
今回のカスタムプロジェクトにおいては、オリジナルエアロを装着することが決まっている。というのも、ボディ全体を見渡すとフロントボディのバンパーの短さが気になってくるからである。
LX570は、レクサスの象徴として世界中で発売されているラグジュアリーSUVであるが(特に中東等で大人気を誇るだけに)、砂漠を走るレクサスとしてオンオフ問わない走りが魅力のひとつと考えられている。
実際にランクル200の高級版として存在するだけに、フロントバンパー、いわゆるアゴの短さはフロントのアプローチアングルを稼ぐための処置とも考えられる。すなわち、機能ゆえのカタチということであり、だからこその納得もするのだが…。
だがしかし、クワッド号は日本の街や高速ステージを俊敏に走りきるオンロードを優先したSUV。
ということで、フロントマスクの迫力や加速時のフロントリフトを抑えるためにも、あえて割り切り、フロントバンパーの独自制作を行うとともに、サイドとリアのエアロも制作することにしたのである。
今回のエアロ制作にあたり、フロントに関しては他車用エアロをベースにオリジナル加工を行ない装着する。コンセプトとしては、最近のレクサスの流れであるスパイクグリルを大きくする方向性を維持しつつ独自性をプラス。そしてサイドとリアはフロントに合わせワンオフで制作するという流れになった。
実作業でおよそ3週間でご覧のように。ただし、リアに関しては今後リテイクを行ないもう少しバンパーの厚みを太くするという。
見栄えの良さは当然だが、ベースとなるエアロを加工しブレーキダクトの追加というアレンジを行っているのはさすがクワッドドライブ。いくらカッコ良くても、あくまで走り優先の機能重視というコンセプトに一切のブレや妥協がない。
一方、マフラーに関しては、ワンオフでコダワリの形状を実現している。
もともと左右の触媒後からサイレンサーに集合し出口まで一本で出力しているマフラーを、左右バンクを等長、サイレンサー2個に変更してリアまでデュアルで配管し直している。もちろんワンオフ製作である。
これにて排気効率が格段に上がり、サウンドも丸っきり変化し、排気効率の向上によるエンジンの吹け上がりのレスポンス変化とチューニングモデルのような野太いサウンドを手に入れたのである。
実際に走ると、スーパーチャージャーでパワーがアップしているのにプラスして、排気効率が上がったことによるエンジンレスポンスが格段に向上し、現状のコンピューターセッティングでは物足りなさを感じる部分が出るほど、すべてが向上しているという。
と同時に、4本出しによる形状とリアエアロとのデザイン的な融合も同時に行ない、これまでに見たことのないリア造形を作り出すことに成功しているのである。
足回りは、純正のハイドロリック付きのノーマルショックを使用しつつ車高を1インチダウンし、ブレーキとホイール&タイヤの変更を行っている。ブレーキは、ブレンボ製8ポッドのフロント410ミリ、リア380ミリを装着。取り付けステー等はワンオフとなるが、500hpオーバーのハイパフォーマンスカーにビッグブレーキは重要と、装着後の変化を実感しているという。
そして、ホイールはVOSSENのVPS301、22インチを採用している。アメリカ製鍛造モノブロックホイールを検討中に巡りあった逸品である。
VPS301は、ハイパフォーマンスなクーペやセダン等の背の低いマシンに装着しているのは見かけるが、SUVでの装着は非常に珍しく、今回はテストを兼ねての装着というが、オンリーワンだからこその魅力もある。
タイヤはニットーの420S22インチで前後異型サイズをチョイス。フロント275/45-22、リア305/40-22インチとし、外形を合わせつつ、リムのJ数もきっちり測定し、サイズを合わせることで、フェンダーとの位置関係も絶妙な具合を実現している。
現状での試走では、足回りの安定感は格段に向上し、エンジンのパワー感や吹け上がりのレスポンスも格段に向上しているが、全体がレベルアップしたことで、ノーマルショック等を使用するハイドロリックサスペンションの限界をも同時に感じることになったという。
だが一方で、そういう新たな課題が見えたということは、そこに至るまでの各所の効果効能が大きく作用したということであり、カスタムの効果が如実に現れているということに他ならないのである。
われわれ取材班にしてみれば、遂にここまで出来た、という感じだが、林代表いわく「実際には、ここからがスタートであり、すべてのバランスをこれからさらに調整していく」というのである。
つい先日、スーパーチャージャーを装着したレクサスのパワーチェックに行ってきた。あくまで今後の熟成のものさしとして、現状どのくらいのパワーになっているかを知るために。
結果は513ps、最大トルク68.8kg-m。決してパワー偏重なSUVにするつもりはないのだが、これまでの作業においては上々の数値。
ちなみにノーマルの5.7リッターV8エンジンは、383hp、最大トルク56.8kg-mを発生させるから、100hp以上の上積みがなされた計算になる。
ただし、この数値を見てわかるとおり、今後の課題は、このパワーにも耐えうるようなミッションの改良と、高速域でも安定した走りができるようにサスペンションのさらなる強化。林氏曰く「クルマで一番大切なもの、それはトータルバランスです」ということである。
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