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巨匠・高橋氏が語る90年代アメ車の魅力

90年代のアメ車は、永久に不滅です。 vol.1

90年代アメ車はこの先価値高騰必至

60年代70年代のほどの価値はなくとも、現代のアメ車と比較すれば味があり、デザイン的にも魅力的な90年代のアメ車は、この先価値高騰必至である。そんな魅力を、レーストラック高橋氏は今から訴え続けている。

更新日:2016.12.19

文/吉田昌宏 写真/古閑章郎

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 0356613836 [ホームページ] [詳細情報]

 江戸川区松江にある、まるで秘密基地のごとき工場。入口を見渡せば懐かしきアメ車の名車たちが今か今かと修理やカスタマイズを待ち、中に入ればなんとカレラGTやランボルギーニ、パガーニゾンタ、アストンマーチンといった世界の名だたるスーパーカーたちに手がつけられている。

 そんな工場の主、高橋氏は常々アメ車の魅力をこう語る。「ストリートでの威圧感にV8サウンド」と。そしてそれを体現しているのが、「90年代のアメ車である」とも。

 もちろん、レーストラックは最新のアメ車も扱っている。チャレンジャーヘルキャットやエスカレードを販売している経緯もあるし、それこそ最新のコルベットやマスタングだってめちゃめちゃオススメであると(買えるなら)。だが…。そういった車両たちはすべて500~1000万円以上もする高級車。アベノミクスの恩恵に預かる大企業の重役ならまだしも、一般庶民にとっては正直、高嶺の花だろう。

 「ひと昔前の90年代のアメ車たちが街中を占めた時のように、一般家庭にも浸透するアメ車っていうのが理想ですよ」

 恐らく高橋氏が言う理想の時代とは、アストロやサバーバン、タホにブレイザーにカマロにデュランゴにエクスプローラーにトレイルブレイザー…etcが街中を走っていた時代のことを言うのだろう。それこそが90年代アメ車の時代であった。そんな時代のアメ車たちを、今も大切に乗って欲しい。それでも十分に乗れるし面白いと。以下、高橋氏のインタビューである。

レーストラック代表・高橋氏。アメ車に乗る決意をしたならば、一度訪れて話をしてみるといいだろう。アメ車を楽しむ術や長く乗るための秘訣を教えてくれる。

90年代のアメ車はいまだに無視できない存在

 そのまま乗っても味があり、手を加える素材としても楽しい。これぞまさしく90年代アメ車の魅力である。最新のアメ車たちはテクノロジーの塊。技術の進化だから仕方がないのは言うまでもないが、それが原因で面白みに欠けることも多々ある(とくに悲しいのが年々おとなしくなるV8エンジンのサウンドである)。それに、手を加える余地があまりないのも最新電子制御車両の特徴でもある。

 また、デザイン的にはどれも似たようなものとなり、個性薄。インターナショナルな薄味といえばそれまでだが、ドメスティック時代にあった旧デザインが懐かしいと感じることも多々ある。とはいえ、じゃあ、90年代のアメ車はいまだに走れるのか?

 「確かに新車のようにはいかないでしょう。中古車を買えば初期化する必要もあるでしょうし、その部分での金銭的な負担がかかることも確実にあります」

 だが、90年代のアメ車にはアフターパーツがごまんとあり、構造がシンプルであるからこそ治療的効果が出やすく、さらに個性的なデザインのクルマが多かったからこそ「アメ車に乗っている」という実感が確実に得られるのである。

 走ってもクルマ任せの電子制御的なスピード感ではなく、実際にドライバーが関与する余地が残されているし、一番重要なのは、日本の道路の法規内で楽しくかつ興奮できること。

 たしかに「エコだ、低燃費だ」といったイマドキの言葉とは無縁な時代の産物だが、この90年代を楽しまなければ、手頃なプライスで楽しめるアメ車の歴史は閉ざされてしまう。

 それと、ダウンサイジング全盛の直4&V6エンジンが主体の世界的な流れにおいて、旧時代を象徴するアメリカンV8の存在価値は、今後絶対に高くなる。

 それはすなわち、とてつもなく速いクルマではないのだが、それでもストリートで楽しむには十分なパワーやスピードであり、アメ車らしい重低音サウンドやトルク感、さらには一瞬のパワー等が楽しめる。そしてカッコイイ。そういう意味もあって90年代のアメ車はいまだに無視できない存在なのである。

並み居るスーパーカーをも相手にするレーストラックのメカニックたち。こういったスーパーな作業の経験値がアメ車のカスタマイズに生かされることもあるというから、流石である。

 とはいえ90年代のアメ車を今手に入れることに関しては、多少の労力を伴う行為かもしれない。たしかに入手しやすい価格帯の車両が多いはずだが、中古車としての程度の問題が絡んでくるし、入手後のアフターケアの状況も気になるところではある。

 だがしかし、各部に手を入れた90年代車には現代のアメ車を遥かに越えるスタイルや楽しさがあるのは事実だし、アメ車好きであるならば、人生で一度くらいは手間ひまかけたあなただけの1台、最高のオリジナル品を作り上げるのも一考であるとは思う。90年代のアメ車を楽しむ、そして長く乗り、自分らしく着飾るのである。

 そういう意味では今現在、90年代のアメ車に乗られている方は、決して手放さない方がいいだろう。愛車がヤレてきた→飽きてきた→手をかけない→壊れてきた→冷めてきた→手放そうか…etc。

 こんな流れも予想できなくはないが、そこで売ってしまっても対価が得られるかどうかは疑わしい。仮に新車に乗り換えるにしても、たとえばダッジラムなら、追金500万円を出して買えるかどうか。もちろん、買える方もいるだろうし、買える方なら迷う前に買っているはずだ。

 だが、そこに新車追金500万円を出さずとも、仮にその十分の一の金額をかけるだけでも、気分一新の90年代アメ車を作り上げることができるかもしれない。ボディをリペイントする、ショックを換える、各部のメンテナンスをしっかりしてやる…etc。もともとカスタマイズはアメ車の専売特許だし、90年代ならアフターパーツもごまんとあるし。

 そうして作り上げらたアメ車こそ、オンリーワンな自分だけの1台となるのだろう。

90年代のアメ車には現代のアメ車を遥かに越えるスタイルや楽しさがあり、クルマ自体の耐久性は高いから、手間ひまかければ、それこそ素敵なアメ車ライフが送れる可能性が高いのである。

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>> 90年代のアメ車は、永久に不滅です。 vol.2 を見る

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