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プロフェッショナル・林氏の流儀

現代メカニックに必要な要素 part3

クワッドドライブ三部作・最終回

電子デバイスを正確かつ確実に使いこなし、対象車両からの変化や異常を感じる取る感覚的な能力を研ぎ澄ます。そして「絶対治す」というプライド。現代メカニックに必要な要素を磨き上げたのは自身の過去の苦い経験があってこそだった。

更新日:2017.12.04

文/吉田昌宏 写真/古閑章郎

取材協力/クワッドドライブ TEL 048-281-5853 [ホームページ] [詳細情報]

スピードを求めた学生時代

 「『とりあえずこんな感じで様子みてみましょう』ということは言いたくないですね。昔自分がこう言われて、すぐにトラブル再発。その店に一体何度足を運んだことか。そして食い下がると、逆に凄まれたりして…。無知な自分でしたが、それでもお店の対応には疑問を持ちました。素直に、『自分で売った商品治せないのか』と思ったものです。

 そう話す林氏は、その昔マウンテンバイクの選手として名を馳せ海外遠征までをこなすスペシャリストだった。その頃から乗り物を愛し、スピードを求め、そして足にアメ車を使用していたのである。

 具体的にはシボレーC1500。荷台に自転車を積んで遠征していたというわけである。それもこれも、アメリカでの試合のたびに見かけるアメ車のカッコ良さに惹かれてのものだった。

 だが、最初に買った中古のC1500は何度も壊れた。そして冒頭の出来事に直面する。

 さすがに試合に行く途中で壊れたら困るということで、二台目として新車のC1500を購入した。それでもトラブルはやって来る(笑)。

 「こうなるとさすがにアメ車の質の低さを感じますが、この頃のアメ車はまだ国内向けのクオリティでしたからね。それよりもその当時の日本国内のアメ車屋の質の低さが凄かったですよ(笑)。なぜか常に上から目線。しかも合言葉のように『アメ車はこんなもんです』と」

 でも、そんなことは有り得ない。機械である以上、必ず原因があり治療法があり、そこを治せば必ず元に戻せる。

アメ車が好きでメカニックを目指す方は多数いるだろうが、「自分が味わった苦労を他者にさせたくない」とプライドを持ったメカニックは本当に少ない。

かつて味わったアメ車業界からの仕打ち

 林氏は、学生時代からマウンテンバイクのレース活動の傍らで、その遠征資金を稼ぐためにクルマ屋でアルバイトをしていた経験を持ち、その頃から意識の片隅に「将来の自分=アメ車ショップ」という小さな思いがあったという。

 そして社会人として世に出る時点で「独立した自分の店舗を持つ」ことを目標とした。

 だが、彼の凄いところは目標に対して常に一流を目指すところである。そこらのアメ車屋で働くことが目的ではなく、目指すは日本一の修理屋。具体的にはこの頃から「故障診断」に興味を持っていたという。

 そしてそこから彼の修行時代が始まった。非常に過酷な時代だったというが、「今の自分があるのは間違いなく当時の境遇があってこそ」という。

 「コンプライアンス的にも、今の時代では決して真似できない体制でした(笑)。でも、あくまで能動的な活動だったので、『やらされている感』で動いてたわけではありませんし、結果的にそれらすべてが財産となってます」

 彼の修行時代の内容はさすがに文字にはできない。それほどのものだった。だが、そうした時代の経験や苦労が糧になって今の彼があるのは明白である。

 筆者は年に百を越えるショップを回るが、同じような故障診断業務において彼を越える存在(能力&姿勢)にいまだ出会ったことがない。どんな事例にも常に全力で、そして常に100を目指す。

 おそらく、他のメカニックも同じように常に100を目指している方々はたくさんいるだろう。だが、レベルがまったく違う。こなした処理の数や難易度、そしてその後の習熟レベルが圧倒的に異なる。さらに現在の立ち位置によるレベルの高さが話題になり、関東全域から彼のもとに修理依頼が自然と集まる=結果的に作業レベルが常にして上昇し続けていくわけである。

 「これまでの経験があってこそですが、今や症状を聞いて診断機をあて、さらに過去これまで経験した診断内容との組み合わせで、解明不可能なものはもはやありません。複雑なCPU世代の車両ですが、必ず原因があり、トラブル箇所を特定しそこを治療すれば必ず治ります。それができない方は、正確な原因特定ができていないからです」

 先日テレビで見たガン細胞の話。直接ガン患部が原因で起きる症状がある一方で、そのガンが転移して転移した箇所がもたらす痛みやトラブル。この場合、転移箇所を治したところで最初のガン患部を治さなければ完治したことにならない。

 とはいえ、医者は目前の症状や痛みから転移部分のがんには気づいても、その大元のガンには気づかないこともある etc というような小難しい話だったが(医者でさえも)、林氏の話を聞いてこの内容を思いだした。

 クルマも同様に、何かのトラブルが起こった場合、二次トラブル、三次トラブルばかりに目が行き、トラブルの根本が見抜けない場合がある。だが、この場合、苦しむのは結局修理費を負担するオーナーさんである。

どの世界でもそうだが、生まれ持っての天才などいない。そこに至るまでの血反吐を吐くような人知れない苦労が実を結んでのこと。

目指した本物のプロフェッショナル

 プロフェッショナルとは、ある分野において、第一線で通用する専門知識や実務能力を持ち、自らその分野で価値を生み出すための戦略や方策を立案し実践できる人のこと。当該分野における深い知識、豊富な経験が要求されることは言うまでもない。

 また、どんな環境に置かれたとしても、自ら考え、判断し、その判断に対して独立した個人としての責任を持ち、説明ができる人間でなければならない。「この故障はなぜ起きたのか、そしてどう治したのか」、自らの判断での説明責任があるということである。

 この反対語にアマチュアという言葉がある。 アマチュア:職業としてではなく、趣味として、物事を行なう人。愛好者。しろうと。

 一方、プロは常に向上し続けなければならない。これは「向上心」とは異なる。向上心があっても向上できるとは限らないからである。必要なのは、本当に向上し続けること。メカニックとして「完璧に治す」というプライドを持つことである。

 そしてのその根底にあるのが、過去に経験した苦痛(決して治らなずたらい回しにされた)をアメ車ユーザーに味わわせないという思いである。

エンジンオーバーホール中の車両があったが、破損部分の処置を終えた後の組み立ては、単なる肉体労働と言い切る。すなわち、あった状態に戻すだけの、出来て当たり前の作業レベルという。

本当にガンになったら名医を探すのが人間の性

 メカニックもある意味世の中にたくさんある仕事のひとつである。そして仕事に対する関わり方もひとそれぞれ。70点主義で毎月の給料をもらうことだけに意味を持たせ、生きている方々もたくさんいることだろう。働き方は千差万別だ。

 だが、手塩にかけた自分の愛車の故障診断は「プロ」に診てもらいたいと思うのが常ではないだろうか。ガンにかかる前はお気楽&適当でも、本当にガンになったら名医を探すのが人間の性である。でも、名医には金がかかるかもしれないが、クワッドは普通の良心的な修理屋である。

 アメ車の場合、2005年くらいから一気に電子制御パーツが増えているから、そういう年式以降の車両で、なんらかのトラブルで困っている場合は大いなる助けとなってくれるだろう(ちなみにアメ車が壊れやすいということが言いたいわけではなく、たまたま壊れたアメ車がクワッドの修理に集中しているという意味である)。

 最後に。今、自動車業界全般でメカニックの確保が難しくなっていると言われている。なり手が急激に減っていると言われているのである。だが逆に考えれば、この先メカニックの数が先細りすればするほどメカニックの希少価値はより上がる。

 もちろん、厳しい世界だしとにかく学ぶことが多すぎて、興味本位だけでは決して務まらないとは思うが、数が減っていることを前提に考えれば、若者がその分野の頂点をあえて目指すことがあってもいいと思うのである。


<関連記事>
>> 現代メカニックに必要な要素 part1 を見る
>> 現代メカニックに必要な要素 part2 を見る

あくまで商売ではあるのだが、自分自身の中では「難しい問題に出会いたい」と、いまなお常に自分を高めるための欲求とも戦っているという。

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