リンカーンナビゲーターと聞けば、アストロ亡き後、プチブームを巻き起こし、様々な程度の車両が海を渡り日本を席巻した、という思い出が蘇る。だがじつは、ナビゲーターは、その後も粛々と売れており、今に至るまでファンは多い。
ナビゲーターは第二世代まではディーラー車の存在はなく、第三世代から日本フォードでも取り扱いが行われているが、並行車が多く、すなわち、売れる=中古並行車という図式が成り立つ車両であり、そういう車両につきまとう粗悪車の存在は今も見逃せない。
なお第二世代とは、2003~2006年モデルのことである。つまり今から12年~15年前の車両であり、プラスして中古並行車の存在が際立つ車両だけに、これから乗る車両としては、要注意!と言わざるを得ない。だが人気があり、今もなお「欲しい」という方が多いということだから、その辺を加味してブルートにてナビゲーターの取材を行った。
ブルートは、キャデラックエスカレードやハマーH2といったフルサイズSUVを、独自セレクトで車両を仕入れ、車両のノウハウを生かした納車仕上げを徹底しているショップである。だから同じ中古車で同じような価格帯でも他店と異なる質感に感動するオーナーさんが多く、日本全国にファンを持ち、また修理依頼や問い合わせが非常に多いショップである。
そんなブルートでもナビゲーターを扱っており、今回そのノウハウの一部を紹介してもらった。
ちなみに余談だが以下は、前回6月にエクスプローラーの取材を行っていたのだが、その際にたまたま整備中だったナビゲーターについての筆者とブルート岡崎氏との会話である。
編集部:このナビゲーターって何してるんですか?
岡崎氏:なんか、他店で『廃車ですね』といわれたらしいんですよ。で、ウチに下取りで、他のSUVを買いたいと来たのですが、『まだ気に入っている』ということでしたので、ちょっと診てみましょうかということで、ちょうど検診している最中です。
編集部:で、実際どうな感じなんでしょう?
岡崎氏:コンピューター系のトラブルが疑われ、その他店から『走行中に誤作動起きたら危ないし、直せないから廃車ですね』という話なんで、その辺から診ていっています。
というやり取りをして、その日は別の取材を行っていたのだが、それを今回思い出し、取材日にその後の経緯を聞いてみた。
編集部:あの時お話していたナビゲーターって、どうなったんですか?
岡崎氏:電子デバイスを繋いで診たら確かにコンピューターの異常でした。なので、本国からその車両の純正コンピューター用のデーター(アズビルトデーター)を買い、新たにインストールしたら直りました。あまり滅多に見ないトラブルでしたが、直せないものではないですよ(笑)
ということである。まずは、今回取材対象となるナビゲーターの簡単な来歴である。
98年型として97年の夏にリリースされた初代ナビゲーターは、高級SUVの「元祖」として歴史に残る1台。現存する優良な個体は、日本にはもうほとんどないと思われるが、仮にもし見つけたならば、一度乗ってみることお勧めする。そのくらい価値のある存在である。
で、ナビゲーターといえば、現在、流通する個体は第三世代(2007-2014)の鉄仮面といわるモノが大多数を占めるが、じつは業界的には第二世代(2003-2006)のナビゲーターがいまだ人気を占める。
この第二世代のナビゲーターは2003年から2006年までの4年間生産されたモデルであり、初代からメカニズム的にも進化を遂げた超人気モデルである。
ボディ構造は初代から見直され、足回りは形式から変更された。それまでのリジッドアクスルだったリアサスはフロント同様独立化され、4輪独立懸架となった。しかも、ステアリング形式にはラック&ピニオン式を採用。まるでパッセンジャーカーのようなレスポンスを可能としたのである。当時のGM系、クライスラー(ジープを含む)系よりも一歩先ゆく技術投入に多くの人々を驚かせたのであった。
さらに極めつけのエアサス。ラグジュアリーSUVらしいゴージャスな乗り心地を提供してくれたのである。
ホスピタリティも徹底されていた。パワーリフトゲートやパワーフォールディングサードシート、パワーランニングボードとあらゆる機能が自動化され至れり尽くせり。それまでの「SUV=トラックの延長」と思われていたイメージをナビゲーターはことごとくぬぐい去ったのである。
搭載されたエンジンは5.4リッターV8エンジンで300hpを発生させる。デビュー当初は4速ATが組み合わされていたが、翌年に6速ATに進化。アメリカンV8のトルク感を生かした鷹揚とした走りに貢献したのである。
一方、インテリアも抜群のセンスの良さを見せ、バタ臭いこの時代のキャデラックとは一線を画す良質な空間演出が特徴的であり、総じて新たなる時代の幕開け、ラグジュアリーSUV全盛時代の先駆けとして非常に貴重な存在となったのである。
だが、こうした人気の高いアメ車の宿命であるのだが、売れる=様々なコンディションのナビゲーターが持ち込まれた。さらに人気が高いだけに距離や程度がさまざまと言っていい。
ということで、第二世代、第三世代の売れ筋ナビゲーターの指南である。
まずは、基本的な骨格、エンジンやパワートレインはかなり丈夫という。というのも、ナビゲーターの場合は5.4リッターという大排気量エンジンであってもハイチューンのDOHCエンジンではないし、昔から使用されているエンジンの熟成版ということもあるのか、非常に耐久性が高い。このエンジンは、第二第三世代共通である。
もちろん、それなりの距離がかさめば大きなメンテナンスが必要になる場合はあるが、この時代のナビゲーターベースに下手なエンジンチューンを施す車両は少なく、そういった意味でも骨格となるパワートレインの安定さは非常に重要という。
ただし、もうすでに10数年以上前の車両ということを加味してベース車の入手をする必要があり、そこはブルートとして徹底しているという。
下記リンクのパート2へ続く。
>> リンカーンナビゲーター <2003年~2014> vol.2 を見る
<関連記事>
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