取材日時点では日本に1台しかない稀少モデルで、しかも新車ということもあったので、正直言って今回の試乗はまさに「撮影のためだけ」といった短時間の軽いものだったが、それでもモパー'11チャージャーの秘めた実力は感じることが出来た。
まずエンジンについてはスタンダードなダッジ・チャージャーR/Tと基本的には全く同じ。最高出力370HP、最大トルク395lb-ft(54.6kg-m)という数値は、現在となっては驚くほどのスペックではないが、もちろん不満は一切感じない。絶対的なパワーではSRT8には及ばないが、意外にも低〜中速時のトルク感はほとんど劣らない。それどころかスムーズに吹け上がる軽さの中にもアメリカンV8らしい重厚感を感じさせるフィーリングの良さは、6.1リッターや6.4リッターのHEMIよりもこちらの方が上ではないかとさえ思える。このクライスラーのHEMIシリーズは、GMのLSシリーズと同様、歴代のアメリカンV8ユニットの中でも間違いなく上位にランクされる『名機』だろう。
先にも書いたように、今回は完全な新車状態だったので「思いっ切りアクセルを踏み込む」といった暴挙は出来なかった。したがってファイナルギア比変更の恩恵はほとんど体感することは出来なかったのだが、信号待ちの状態から軽く加速した時の感覚でいえば、0発進からの加速力はスタンダード・モデルよりもかなりパワフルになっている感じを受けた。
今回の短い試乗の中で最も違いを体感できたのはステアリングフィールの部分。スタビライザーの強化とストラットタワー・ブレースの装着は、本来であればスポーツ走行時に威力を発揮するものだと思うのだが、ごく普通に街中を流しているだけでも、ステアリング操作時の手応えはスタンダードモデルとは明らかに違っており、ボディのしっかり感もはっきりと体感することができた。足回り自体は特別固いわけではないし、乗り心地も悪くないのだが、本気で走った際のコーナーリング時の安定性はかなり高いのではないかと思う。
いかにも『スペシャル・モデル』といった趣の外観といい、随所に通好みのモディファイが施された機関系といい、内容を考えれば非常にコストパフォーマンスの高いモパー'11チャージャーだが、唯一の問題は全世界1000台(アメリカ900台、カナダ100台)の限定生産車であるということ。3万9,750ドルというメーカー発表価格に対して、発売当初に非常に高いプレミアが付いていたこともあり、現在でも新車の購入は可能という情報もあるが、入手が困難なモデルであることは間違いない。
ASDN事務局によると「2011年型限定のスペシャルモデルですし、生産台数自体が少ないので新たな輸入は難しい状況ではあります。しかし、こういった限定車というのは、アメリカではコレクターズアイテムとして保存される傾向があるので、未使用車もまだまだ存在します。もしどうしてもモパー'11が欲しいという方がいらっしゃいましたら、お気軽にASDNの販売店にご相談ください」とのこと。
この記事がアメ車ワールドに掲載された時点で、取材車両がまだ売れ残っている可能性は非常に低いが、興味のある方はASDNの加盟店に問い合わせてみてもらいたい。
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