日本に導入されたフォーカスはワングレードのみで、「スポーツ」という名の下、充実した装備が味わえる。
「スポーツ」というグレードから想像すると、いかにも走り志向の硬い乗り心地なのでは? と思うかもしれないがさにあらず。走り出すと、まるで絹の上を走っているかのごとく滑らかで上質さを伴った俊敏さが味わえる。何よりもしなやかでスムーズな足回りが「大人の味付け」を連想させるのだ。
ライバルはフォルクスワーゲンゴルフということだが、そうした欧州勢と真っ向勝負するのではなく、フォーカス自体の良い点を伸ばすことで勝負しているのが好ましい。
だからこそ、闇雲に硬く締め上げるサスペンションにならず、格段に高いボディの剛性感と滑らかな乗り心地、そして鋭いハンドリングを集約して、200キロ以上での安定性よりも、日常域での使いやすさや品質感を大事にしたセッティングとしているのだろう。
搭載されるエンジンは、2リッターNAの直噴4気筒DOHC。170ps、最大トルク20.6kg-mを発生させ、それに組み合わされるミッションがデュアルクラッチ式AT。このエンジンは気持ちよく回り、ダイレクトに反応するミッションとのマッチングが非常によい。これまでアメ車で体験してきたセミATとはまったく異なり、クラッチ式の特徴である俊敏な変速が実現されている。
室内を見渡すと、このセグメントでは大きなボディを要するフォーカスの利点として、広大な室内空間が確保されていることがわかる。
またシートはファブリックとレザーを組み合わせたもので、分厚くガッチリとしており、ホールド性が高く、ポジションそのものにもまったく不満がない。この部分は旧型から継承されている良い部分である。
さらにセンターコンソールやメーター回りの意匠にも質感が感じられ、メーター内の視認性は大幅に向上していると言っていいだろう。
ステアリングの左横にプッシュ式のスターターボタンが配置されており、いざスタート。
フォーカスはワングレードということで、ハンドル位置は右になるが、着座位置とペダル類の違和感がまったくなく、各種スイッチ類やシフトレバー位置等にも人間工学的な配慮がなされているのがはっきりと分かる。
ちなみに、搭載されている6速デュアルクラッチATのシフトノブにはフォードおなじみのセレクトシフトボタンが装備されているが、これに関してだけは、ちょっと???と思ったが…。
せっかくのデュアルクラッチATなのだから、「+/−」のボタン操作よりもパドル操作の方がドライビングにより集中できるし、なによりスポーティだと思ったからだ(せっかくのデュアルクラッチなんだから)。
じつはその昔、2代目フォーカスには何度か乗ったことがあるのだが、その時の印象と比較しても、この3代目の飛躍的な進化には驚かされるばかりであった。
非常に乗り心地がよく、エンジンの小気味良さとミッションの繋がりのスムーズさは特筆ものであり、何より変わったのが運転自体の楽しさが上がったことである。
2代目は、ものすごい良い実用車としてなら多いに評価できたが、「じゃあそれが楽しいか」と問われれば「う〜ん」と返事に窮してしまう感じだった。だがこの3代目は、エンジンやサスペンションさらにミッション等が一体となって、さらに速度が上げればエンジンサウンドもリニアに盛り上がり…、ドライバーを興奮させる要素がたくさん詰まっているのである。
そこが、ただ硬めただけの対欧州戦略車とは異なるし、ドライバーが悦に浸れる感じで満たされているこの3代目のドライビングの楽しさを、多いに評価するのである。
●全長×全幅×全高:4370×1810×1480ミリ
●ホイールベース:2650ミリ
●車両重量:1380kg
●総排気量:1993cc
●エンジン:直噴直列4気筒DOHC
●最高出力:170/6600(ps/rpm)
●最大トルク:20.6/4450(kg-m/rpm)
●トランスミッション:6AT DCT
●サスペンション:フロント/マクファーソンストラット
●サスペンション:リア/マルチリンク
330,000円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
283,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
183,250円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
272,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋