TEST RIDE

[試乗記]

終止安定し、非常に穏やかな乗り味だった

1969 フォード マスタング (FORD MUSTANG CONV.)

毎日乗れる「旧車」という言うに相応しいコンディション

「旧車」というとものすごい爆音を響かせ、ミシミシガタガタするのが当たり前と思わされてきたが、実際にはそうではなく、当たり前だが普通に走る(笑)。この69マスタングコンバーチブルは、まるでサードカマロのようにごくごく普通に街中を疾走するのである。

更新日:2013.07.03

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/エイブル TEL 0448571836 [ホームページ] [詳細情報]

機関コンディション良好のベース車だった

 このクルマ、原氏が買い取りをしてきたちょうどその日、午後から別件の取材を予定していてエイブルにいたために、引き取り直後の状態をたまただだが筆者も確認していたのである。その時すでに原氏は「このボディカラーが純正かどうかとかはあるけど、機関コンディションは意外にいいんだよね」と言っていたのを思い出す。

 それから数ヶ月が経ち、クーリング系のリニューアルが終わったということで取材をさせていただいた。と同時にこのクルマの嫁ぎ先が決まったということで、取材&コンディションチェックも同時に行った。

 ちなみに、入庫当時から現状までの経緯を聞いたところ、調子自体は非常に良いとのこと。ただし、水温の上昇が見られるということで、その部分の処置&対策を行ってきたとのことだ。

 原氏はこういうことをちゃんと教えてくれるので(常に「絶好調」とうそぶくことはないので)、非常に安心感がある。

このクルマは過度にパワーを求めてチューニングされたり、過度に硬い足回りを入れたりと、極端な部分がないだけに、クルマが悲鳴を上げているような状況がまったくない。幌上げているスタイルも抜群にカッコいい。

車高は適度に低められており、ショックも社外品に交換されている。ホイールは5本スポークのアメリカンレーシング製。これまた社外品だがよく似合っている。

ダミーダクト等、コンバーチブルならではの装飾がある。

当たり前だが、この時代のスタイルこそが本当のマスタング。できることなら人生において、一度は所有してみたいと思わせるだけの魅力がある。

人間で言うところのデトックスを試みる

 この車輌は1969年型マスタング コンバーチブル。エイブルがこの車輌を手に入れてから基本的には機関コンディションを上げてきたのみで、その他エクステリア等には手をつけていない。以下、水温上昇に伴う作業を行ってきた原氏のコメントである。

 「今時だからCDやポータブルナビくらいは大目に見るとしても、それ以外の数々の電源を要する安物のオモチャがいっぱい付いていました。前オーナーさんも『買った時にはすでに付いていたので何のスイッチかわかりませんし、実際に動作確認も出来てません』と…。

 その中から、いくつかは中身が分かりましたが、正直意味のないものを多数発見。中にはまったく作動していないものがいくつかあり、余計なトラブルを引き起こす可能性があるので、不明なものはすべて撤去しました。人間で言うところのデトックスですね。

 それと電動ファンもバラバラな物が3つもついていましたね。しかしそれらを取っ払い、ラジエーターのオーバーホール、ウオーターポンプ交換、カップリング交換、ファンシュラウドの取り付け、さらにファンそのものも交換し、クーリングシステム全体をリニューアルした結果、入庫してきた時のような水温の上昇はなくなりましたね。

 点火系統もリニューアルして、キャブもスッキリ清掃済みでバッチリです。ミッションオイル抜いてみたところスラッジはあるものの顕著な鉄粉はなし。走行中もシフトショックなしです」

搭載されるエンジンは、351 V8の2バレルキャブ。当時の馬力数値が240とか250hpとか。目の前に見えるブルーのエアクリーナーボックスは当時からのオリジナル。コンディション自体は非常に良好だった。

インテリアの状態も、貼られているウッドパネルの状態も非常に良好。ステアリングとオーディオが社外品に交換されているのが少々残念だが、それ以外はすべてオリジナル状態であり、趣き深い旧車世界が堪能できる。

年代モノということで、扱いに注意する部分が出てくるのは当然だが、質素かつプラスチックで囲まれた無機質なクルマよりも、断然ファンである。それにしても44年も前のクルマとは思えないほどシッカリしていたのは驚きである。

デトックスと称して不必要と判断したものを片っ端から取り外していった。で、取り外したものがこれ。残骸配線のあまりの多さに言葉が出ない。これらを取り付けた方々は一体何を考えていたのか…。

水温上昇がちょっとした頭痛の種だった

 個人的に、こういった「古めのアメ車は信用できない」という経験を過去に何度もしてきているだけに(笑)、結構トラウマが残っていて、いまだにちょっと敬遠気味ではある。まあいずれのクルマも、クルマに対して愛着のないショップのブツだっただけに、見抜けず取材していた自分にも原因があるのだが…。閑話休題。

 さて、上記のコメントでもわかるように、こういったクルマをよく分かっていないショップが作業すると(?)、プラス(加える)の作業ばかりが行われて次から次へとパーツを組み付けて、それでいて元のトラブルが解消されないってことはよくある話である。

 このマスタングは水温上昇がちょっとした頭痛の種だったようで、それを解消するために、「とにかく電動ファンを取り付ける」ことだけに留意したようで…。2つ付けてダメなら普通根本を疑うと思うのだが、3つ目を付けようとするなんて…。

 ただ、エイブルの場合は基本に立ち返り、その根本部分を処置するために余計なパーツや配線をすべて取り外し、全面的にクーリング系を見直した。

 それによる効果はてきめんで、それまではショップ周りの3キロ前後を走行するだけでも水温上昇していたものが、この処置後はまったくの皆無。これにて普通にドライブすることが可能になったという。ということで、いざ試乗取材となったのである。

華奢なシフトレバーはオリジナルで歴史を感じさせる。搭載されるミッションは3速ATだが、こちらのコンディションも良好だった。とくに変速ショックがぜんぜん大きくないのが嬉しい。

シートは、社外品に交換されているが、ボディカラーとマッチしたパイピングが洒落ていて、状態も悪くない。

助手席前のウッドパネルには、時計が埋め込まれている。この時代ならではの装備である。

「旧車」というとものすごい爆音を響かせ、ミシミシガタガタするのが当たり前と思わされてきたが、実際にはそうではなく、当たり前だが普通に走る。この69マスタングコンバーチブルは、まるでサードカマロのようにごくごく普通に街中を疾走するのである。

驚くほどスムーズなドライブが可能

 車輌は1969年型。初代が1964年デビューだからデビュー5年後の、しかもマイナーチェンジ後のモデルである。

 69年型での大きな変化としてはボディが全体的に大きくなったこととフロントマスクが4灯ヘッドライトになったことである。それに搭載されるエンジンのバリエーションが増えている。なお、このクルマには351 V8の2バレルキャブが搭載されている。

 いざ、エンジン始動。手は入れていないとはいいつつも、すべての車輌点検を終えているだけあってエンジンのかかり具合から非常にスムーズである。

 驚いたことに、旧車というのは「ドカ〜ン」とエンジンがかかって、「ボーボー」と唸っているのが当たり前と思ていたが、まったくそんなことはなく、アイドリングは非常に安定し至極穏やか極まりない。

 旧車は「ラフなV8」ともよく言われるが、走り出すとこれまた驚くほどスムーズで、異音、騒音まったくなく、終止安定しつつ非常に心地良いサウンドが響く。ラフさはまったくないし、轟音の類いもないから、まるで現代のクルマのようにというとちょっと大袈裟かもしれないが、それに近いくらいの感じのV8音を響かせながら心地良いドライブが可能である。

 「え〜、この時代のエンジンって、こんなに大人しくかつスムーズでしたっけ?」と聞けば、「旧車だからといってうるさいとか、激しいとかそういうものではないですと」ということだが、あまりのスムーズさにあえて聞きたくなってしまうほど、拍子抜けした(もちろん良い意味です!)。

 足回りは程よく締まっており、ブレーキ等の感触にも不安定さは微塵も感じない。最高速とか、飛ばそうという類いのクルマではないとは思うが、風を感じて走るには最良の1台と感じた次第である。

 川崎周辺から等々力方面にも移動し、撮影やコンディションチェックを済ませながら約2時間程度。最後の方では幌を閉めてのドライブを行い、各部の動作確認を済ませながら帰路についた。

 クルマ自体は非常に安定したスムーズ極まりないコンディション良好車であり、と同時に古き良き時代の感触、華奢なシフトレバーやスイッチ等に見られる趣き深い意匠等に囲まれて、「やっぱりいいな〜」と思わずにいられない空間とV8サウンドを持っていた。

 このマスタングの嫁ぎ先は、じつは九州ということで念入りな作業のもと、先週納車されている。良好な機関コンディションを持ったこのマスタングをベースに、新しいオーナーさんはどのように仕上げて行くのだろう? 今後の展開が楽しみである。

比較的穏やかなムードのメーター類。この4連メーターにはタコメーターが存在しない。

個人的によく見ていたのが、1965年とか66年とかのマスタング(コンバー含む)だったが、今回見たこの69年型はホイールベースは変わらぬものの、ボディ全体が若干大きくなっているということで、その違いによる見栄えの変化が気になるところだったが、69年型のフロントマスクは彫りが深まり(初めて4灯式のヘッドライトを採用にもよる)、迫力が増している気がする。車輌全体のボディバランスも、絶妙だと思う。

飾っておくようなレストア済みの車輌ではなく、ほんと「毎日乗れる旧車」というに相応しい個体で、エンジンをかけても終止安定しており、異音騒音轟音の類いは一切ない。驚くほど普通なのだが、意外にこれこそが旧車においても真実なのかもしれない。Hさん、九州でもガンガン走って下さい。

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