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フォードエクスプローラー 直4エコブースト (FORD EXPLORER)

洗練された経済的なアメ車

アメリカンSUVの概念を根底から覆した魅力的モデル。走って良し、環境にも良し、そして財布にも優しい革新的なフォードエクスプローラー・エコブーストモデルに試乗した。

更新日:2014.02.20

文/椙内洋輔 写真/益田和久

取材協力/フォード新滋賀 TEL 0749281149 [ホームページ] [詳細情報]

本気のエコブースト搭載化計画

 世界90カ国以上の大地を駆け抜けているエクスプローラーは、20年以上の歴史を持つSUVの代名詞的存在である。日本でも、古くからその魅力の虜になっている人は多いが、最新のエクスプローラーは、そういった過去に持ち合わせていた魅力とはひと味ちがうフィーリングの持ち主である。イメージこそ伝統を受け継いではいるが、じつはボディ構造からすべてが一新され大変身を遂げたモデルである。

 ボディ構造は、初代より受け継がれてきた伝統のラダーフレームを廃しモノコックのユニボディに変更。駆動方式もFRベースの4WDからエンジン横置きFFベースの4WDに改められ、より乗用車ライクな居住性と操作性を獲得したのである。

 当初、日本には先に3.5リッターV6モデルがやってきた。試乗してみるととても静かで穏やかな空間と、スーッとなめらかな加速フィール、それでいてアメリカンSUVならではのタフなボディのカタマリ感がシッカリあり、「これはこれで素晴らしい」と素直に感動した。

 で、それから半年ほど遅れてやってきた2リッター直4直噴ターボのエコブーストモデル。これこそがまさに、アメリカンSUVの概念を根底から覆す、渾身の1台だった。あのCGTVでもお馴染みの松任谷正隆氏をして「アメリカを感じたいなら今最高の1台」と言わしめたモデルである。

 すでにフォードでは、世界生産の80%のモデルにこのエコブーストが搭載されており、海外から聞こえてくるその評判がとても良い。

 それに、新型リンカーンナビゲーターにもエコブーストが搭載されるというのだから、フォードの本気度が伝わって来るというものだろう。もうここまで来ると「面白いとか面白くないとか」そういう感情的な要素はさておき、一人のクルマ好きとして素直に「エコブースト化」を応援したくなる。

直列4気筒直噴式インタークーラー付きターボエンジンは2リッターながら243ps、最大トルク37.3kg-mを発生させる。294ps、最大トルク35.2kg-mのV6モデルと数値的に大差はないし、実際に走らせても動力性能に不満は一切感じさせない。新型エクスプローラーの場合、あえて直4モデルに乗ることの意義が高いように思う。

洗練された各部のフィーリングと先進的な液晶メーター等がエクプローラーの真骨頂だ。旧モデルからのインパネを思い浮かべるとかなりの違和感だが、「これが最新のアメ車」の流儀と思えば、自然と体が慣れていく。質感は格段に高いから満足感もかなりのもの。

スイッチやつまみなどを極力排除して、各種操作をタッチパネルでおこなうマイフォードタッチを採用することで、歴代モデルとはまったく違うスタイリッシュなインパネとなった。

旧モデルのFRベースの4WDという面影はまったくなく、CUV的雰囲気のボディとなっている。だが乗れば、洗練されたアメリカンSUVのフィールが味わえる。HIDヘッドライト、HIDフォグランプはフォード新滋賀のディーラーオプションとなる。

走って良し、環境にも良し、そして財布にも優しい

 エコブーストに試乗するのは3度目である。しかしそのたびにアメリカンSUVの新たな時代の幕開けを感じさせるのは流石である。なんせ過不足ないのである、すべてにおいて。

 2リッター直4エンジンと言うけれど、ボディサイズは大きく、室内空間はフルサイズより若干落ちるものの、国産最大ミニバンよりは大きく、だからこそ使い勝手に不満なく、日本で乗るなら十分に事足りる。

 さらに2リッター直4搭載のFFモデルとはいえ、動力性能にも不満がないから、正直聞かなきゃ、2リッターの排気量とは誰も思わないだろう。

 加えて同V6モデルと比較してもV6同様の上質感やゆとりみたいなものが、なにひとつ犠牲になることなく、エンジンのみ直4になっている感じ。上級モデル独特の乗り味は、大排気量だからこそ味わえるのかと思っていたが、その概念も一瞬にして吹き飛んだ。

 実際、トルクはV6モデルよりも太いから、もし目隠しをしてエコブーストに乗ったとしたら、V6かエコブーストか、気がつかない人は多いと思う。それほどまでに、エコブーストの完成度は高いのである。逆に「エクスプローラー=エコブースト」と決めつけちゃっても良いのではと思うほどである(笑)。

 走って良し、環境にも良し、そして財布にも優しい。それでいてアメリカンな雰囲気造りにも長けているエコブーストは、もちろんその室内空間や使い勝手にもたくさんの魅力がある。エクスプローラーはSUVではあるが、広々とした3列シートを備えていることから、ミニバン的な要素も併せ持つ。日本では、3列を備えるSUVが少なくなっており、同価格帯でエクスプローラー並みの上質感と広さが手に入るモデルとなると、ほとんど見つからないのが現状である。

運転席は10way、助手席は6wayのパワーシートとなる。セカンドシートは60:40分割可倒式。サードシートは50:50の分割式となる。

3列目シートは、背もたれが高くすっぽりと身体をあずけることができ、さらに窓が大きくとってあるから明るく、圧迫感がない。加えてカップホルダーに小物トレイ、エアコン吹き出し口に読書ライトまで揃うという、とても贅沢な3列目となっている。国産車に慣れたユーザーでも、エクスプローラーの質感に嘆くことはまったくないはずだ。

まさに最高の実用車としてもお勧め

 しかも、数々のミニバンやSUVを見てきた中で、「3列目を真面目にしっかりと造っているクルマに、悪いクルマはない」というのは間違いではなく、エクスプローラーはまさにそれに当てはまる。

 3列目シートに座ってみると、頭上のゆとりや足元の余裕は2列目よりかなりタイトにはなるものの、背もたれが高くてすっぽりと身体をあずけることができる。窓が大きくとってあるから明るく、圧迫感がないし、カップホルダーに小物トレイ、エアコン吹き出し口に読書ライトまで揃うという、とても贅沢な3列目である。国産車に慣れたユーザーさんでも、エクスプローラーの質感に嘆くことはまったくないはずだ。

 もちろん、前席も2列目もこれに勝るほどの装備があるし、走りだしても静かで快適だから、どこに座っても満たされたドライブになること間違いなし。

 無い物ねだりは世の常と言うが、もしエコブーストモデルに4WDモデルがあったらどうなのだろう? 「最高じゃねぇ」と思うのは筆者だけだろうか? もちろんそれによってV6モデルの存在価値自体がなくなってしまうのが明白であるから、この選択肢が、この先もずっと「存在するはずがない」ということはわかり切っているのだが。

 「アメ車=V8。それがダメならV6で」という時代が過去のものとなりつつある今(マスタングが直4で続く)、その急先鋒たるエクスプローラー・エコブーストは、まさに最高の実用車としてお世辞なく誰彼構わずお勧めできる1台と断言できる。

多彩なシートアレンジが出来る広い室内は、現行エクスプローラの大きなセールスポイント。

3列目パワーフォールディングシートはリミテッドだけの装備となる。

SPEC:直4エコブースト
全長:5020mm
全幅:2000mm
全高:1805mm
ホイールベース:2860mm
車両重量:2020kg
エンジン:直4直噴式ターボ
排気量:1998cc
最高出力:243ps/5500rpm
最大トルク:37.3kg-m/3000rpm
トランスミッション:6AT
サスペンション:マクファーソン式/マルチリンク式

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