シボレーC/Kシリーズといえば90年代に一世を風靡した伝説的ピックアップトラックとなるが、そのC/Kシリーズで最も認知度が高いモデルがシリーズ4代目となる1988年から1999年モデルである。それまでの丸みを帯びたスタイルから直線基調のデザインをまとった力強いデザインが魅力のピックアップであり、筆者と同年代、すなわち40代から50代の方々には結構刺さったモデルが多かった。
で、そのシボレーC/Kシリーズの兄弟車となるのがGMCブランドであり、フロントマスクの印象が異なる以外基本パーツは同じなため、当時両車の間でマスク替えのカスタムを行うユーザーが結構いたのを思い出す。ちなみにこの4代目以降、C/Kシリーズは「シルバラード」、GMCは「シエラ」と名前もデザインも変わってしまったために、「1500」とか「2500」とか数字で呼ばれる最後の年代モデルということになる。
いまさらながらで蛇足かもしれなが、あえて記すと「C/K1500シリーズ」とはシャシーのタイプを表しており、CとKは駆動方式で、Cは2WD、Kは4WDを意味している。そして4桁の数字は荷台の積載量を表している。たとえば1500は2分の1トン、2500は3分の4トン、3500は1トン積み。したがってC1500といえば2WDの半トン積みトラックとなり、K2500となれば4WDの3分の4トン積みとなる。
そのほかにボディバリエーションは、レギュラーキャブ、エクステンドキャブ、クルーキャブ(ダブルキャブ)の3タイプがあり、ショートベッドとロングベッドという2種類の荷台が用意されていた。
加えて、エンジンは4.3リッターV6を底辺とし、5リッターV8、5.7リッターV8、7.4リッターV8、そして6.5リッターV8ターボディーゼルと多彩なラインナップを誇っていたのである。これらの順列組み合わせにワークトラックパッケージ、シャイアントリムパッケージ、シルバラードトリムパッケージといった複数のグレードが用意されており、そこにピンキリの様々なオプションが用意されていたから、そういう意味では星の数ほどのバリエーションが存在していたことになり、日本にも様々なモデルが当時輸入されていたのである。
今回取材させていただいモデルは、GMC版のK2500ということで搭載されているエンジンが7.4リッターV8。いわゆる「454エンジン」といわれるレアな存在である。それにエクステンドボディにロングベッドの組み合わせ。
ただ、これまた非常に珍しいのだが、リアがシングルタイヤとなっており、過去われわれがイメージする2500はデューリー仕様(ダブルタイヤ)がほとんど大多数だっただけに、そもそものパッケージとして非常に珍しい、かつ日本向きな1台となっているのである。
加えて、K2500ということで4WDシャシーを備えており、ヘビーデューティなサスペンション仕様ということから、かなりマニアックな前ユーザーが想像されるが、聞けば、「北の大地、北海道で新車並行車にて日本に上陸を果たした車両」ということで、それを聞いて一同「納得」。いわゆるアメ車好きが実益を求めて、かつ自分好みの仕様で新車で購入された希少な存在ということである。
そういう意味でGMC、さらに4WDに454V8エンジンを搭載し、かつ好みのボディカラー・シャンパンゴールドを選んだわけで。すなわち、アメリカ本国から持ち込んだ単なる中古車ではなく、日本人が、日本で使うために日本向きの仕様で新車並行で持ち込んだ車両なだけに、すべてが日本人好みにまとめられている適切なパッケージに、一瞬にして心奪われるのである。
試乗させてくれるということで、当日準備をしていたエイブルの原氏に「どうですか?」と聞くと開口一番「乗ればわかるよ、きっと欲しくなるよ(笑)」と言われたのだが、それだけである種すべてがわかるというか、予測できたのだが(包み隠さず教えてくれるショップです)、実際に乗ってみるとほんとに懐かしい存在であり、このクルマがブレイクしていた当時を如実に思い出すことができるほどシッカリと、かつ当時のアメ車の雰囲気を忠実に表現してくれていた。
4WDの車高はノーマルで、ビルシュタインのショックが装備されており、ロールはするのだがステアリングの反応は非常に素早く、鷹揚とした乗り味の中にしっかり感が充実しているのがよくわかる。とはいえ、硬いというほどバリバリの状態ではないので、個人的には「ちょうど良い」塩梅に思え、目線の高い懐かしいアメ車の乗り味と必要に応じたキビキビ感が混ざり合ったともて好印象な足回り。
と同時に、ロールやピッチングが減ったことによりブレーキングの曖昧さがなく、街中を走っても大きさを感じることなく、苦もなく、外からみるとドデカイ図体だが、意外にも軽快に操れることに正直、驚きを感じるほどだった。
さらにエンジンが絶品であり、非常にトルクフルで扱いやすく、454V8ともなるとガーガーとうるさく「ガス食い」のイメージがあるが、実際にはまったくそんなことはなく、非常にスムーズ。怖いくらい安定していて静かなので、驚きを通り越して笑いがこみ上げる。「これぞアメ車。懐かしい。素晴らしい。欲しい」。
搭載される7.4リッターV8OHVは、290hp、最大トルク410lb-ftを発生させるが、巨大なボディをいとも簡単に走らせ、パワフルというよりは「余裕」に重きを置いたエンジンのようであり、このクルマに苦手そうな街中をかなりキビキビと走らせるのである。
このクルマは、エイブルに入庫して数日ということで、まだ何もしていない状態での試乗だった。すなわち、素の状態の中古車だったわけだが、それでもボディペイントの状態の良さに驚き、乗ってエンジンのスムーズさに驚き、何よりハンドリングの素早さと落ち着きは特筆ものだった(この後点検及び納車整備されるでしょうから、一段とシャキッとした状態になるでしょう)。
想像するに、このクルマの走行距離は約7万8000キロ。ただ、日本での7万8000キロであり、本国での7万8000キロではないから、消耗度の度合いがまったく違うのだろう。
さらに前オーナーさんが好んでこの珍しいパッケージを注文した可能性が非常に高く、大切に扱われたことがボディ塗装や荷台の状態を見てもよくわかる。だからこそ、454エンジンがあれだけ絶品だったのだろうし。
そういうわけで、この仕様で、この状態を維持している他の車両は、日本においてほとんど皆無と言えるだろうし、「17年前もの」という事実を加味すれば、大げさではなく、まさに奇跡の1台と言っても過言ではないだろう。
日本に数あるアメ車ショップは、みな独自のポリシーをお持ちになっているのだろうと思うが、ことエイブルに関していえば「時代に流されない良品を適価にて取り扱う」ショップである。だからこそ、世の流行りに流されることなく、常にアンテナを張り巡らし、何かしら個性のある古めのアメ車を中心に品揃えしている。
今回紹介した90年代のモデルは非常に得意としている分野。かつ、代表の原氏が基本的に「素の状態」を大切にする方であり、だからこそ、「メカニカルな部分と足回りがまず重要」ということで、その部分の不安を常に取り除く努力を怠らない。
今回試乗させていただいたGMC K2500は、そうしたエイブルのお目にかなった車両ということもあり、同時に「自信を持って売れる」とのことで、この時代のフルサイズピックアップ、しかも4WDかつビッグブロックエンジン搭載で状態の良いモデルをお探しになられている方がいらっしゃるなら、ぜひ見てみると良いと思う。あまりにキレイでビックリするはずであるから。
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