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[試乗記]

モノコックボディの新たなるフルサイズバンで魅せる

2016 フォード トランジット TYCOON パッケージ

最新フルサイズバンカスタムの世界

一時代を築いたアメ車の一大カテゴリーたるフルサイズバンにも、ついに終わりがやってきた。フォードエコノラインが2014年をもって生産終了となり、新たに「トランジット」がそのカテゴリーを埋めることになる。そんなトランジットの最新カスタムモデルが日本初上陸を果たした。

更新日:2016.06.13

文/椙内洋輔 写真/古閑章郎

取材協力/シャインストリートジャパン TEL 045-507-6464 [ホームページ] [詳細情報]

モノコックボディの新世代のフルサイズバン

 1961年にデビューしたEシリーズ、そしてエコノラインと続くフォードフルサイズバンの歴史に終止符が打たれたのが2014年。

 2015年から新たなモデルとして登場するフルサイズバン・フォードトランジットは、コマーシャルバンとしてワールドワイドに展開されている、いわゆる欧州フォードの北米版である。

 ヨーロッパフォードでデザイン、製造されているバンだが、驚くことにフルサイズを名乗るに相応しいサイズ感をもってデビューしている。

 これまでフレームボディだったエコノラインに対して、トランジットはモノコック構造を採用する。さらに2種類のホイールベースに、2種類のボディサイズ、3種類のルーフ形状、3種類のエンジンが用意されているのである。

 もっともスタンダードなボディサイズで5585×2065×2123ミリ(全長×全幅×全高)となっているから、その大きさがおわかりいただけるだろう。

 なお、搭載されるエンジンは、スタンダードな3.7リッターV6、さらにフォードF150に搭載される3.5リッターV6エコブーストターボとオプションで3.2リッター5気筒ターボディーゼルが用意される。これらはすべて6速ATと組み合わされる。

2014年までのエコノライン。4.6リッターV8、5.4リッターV8、6.8リッターV10と3種類のエンジンが用意されていた。懐かしきV8+フレームボディのバンはこれにて終了となった。

2015年型トランジットには一時代を築いたフルサイズバン的なデザインは陰もカタチもなくなった。新たなるコマーシャルビークルとして新時代を築く。取材車両は2016年型のXLT。スポーツルーフ仕様である。

トランジット自体には、2種類のホイールベース、2種類のボディサイズ、3種類のルーフ形状、3種類のエンジンが用意され、さまざまな顧客の使い勝手に対応している。

スペースを有効に使うことができるよう、各部にイルミネーションライトや小物収納スペースが多数設けられている。

魅惑のカスタムコンバージョンモデル

 今回取材したモデルは、日本上陸第一号となるフルサイズバンのトランジット。しかもハイルーフとなっており、内装にはオリジナルのカスタマイズが施されている。

 同車を輸入&製作したのはシャインストリートジャパン。かつてアストロやその他アメ車をベースに一大ブームを築いた日本のアメ車人気牽引の立役者であり、今回トランジットをベースにTYCOON(タイクーン)ブランドを復活させ、世界初のトランジットベースのカスタムを手がけているのである。

 ベースとなるトランジットは2016年モデルのXLT。ハイルーフと言わずスポーツルーフというオプションを装備し(全高2400ミリ)、搭載エンジンは3.5リッターV6エコブーストターボ+6速ATとなる。

 このTYCOONパッケージの主な特徴はほぼインテリアに集中しており、のちに述べるが外装に関してはホイールの変更くらいの予定である。ということで、全体を見てみよう。

 まず、本革レザーシートである。アルカンターラのツートーンのパターンはシャインストリートジャパン代表の太中氏がデザインを手がけ、TYCOON(タイクーン)ブランドの刺繍を随所に施している。

 一方、ルーフイルミネーションやウッドトリム等の装飾に関しては、あのエクスプローラー社が担当し、豪華コンバージョンの魅惑の世界を作り上げている。

 大型TVモニターやサンルーフも完備し、TVはDVDのほかwi-fiによるネット通信も可能である。

ハイルーフということで、頭上空間が広まっているから、セカンドシート、サードシートへのアクセスは当たり前のように超スムーズになり、ロールーフに比べて全体的にルーミーである。

ハイルーフならではの広大な空間は、この頭上までの高さと、そこにもたらされる豪華イルミネーションとによって構築されている。

肉厚の柔らかいレザーシートは、ほんとソファーのように心地よい。

まさ全席ファーストクラスといった印象である。

メーカー純正スポーツルーフの完成度

 ちなみにエクスプローラー社とは、アストロ時代から繰り広げられたコンバージョンメーカー同士の凌ぎ合いを制し、豪華クルーザーのごときフルサイズバンを制作するプロ集団である。とくに出来栄えとクオリティの高さには定評があり、まさしく唯一無二のコンバージョンを制作してくれる。

 現在でも、GMCサバナをベースに製作したエクスプローラーモデルの人気は日本でも高く、1000万円級の超高級車として認知されているのである。

 そんなエクスプローラー車によって製作されているだけに、このトランジットの完成度は極めて高い。

 インテリア全体は、さすがエクスプローラーと言えるほど品質感にあふれ素晴らしい空間アレンジを実現している。7名乗車の3列シートであるが、室内空間には圧倒的なスペースがあり、まるで「4列シートでもOKかも」と思わせるほど広々としている。

 そこにウッドを全面的に配し、そのウッドと組み合わされるように配された各種ルームライトとイルミネーションのコラボレーション。そして豪華絢爛かつ上質なレザーシート。

 まさにムードある落ち着いた「大人のファーストクラス」を演出しているのである。しかも、その昔アストロ等でよく見た安物コンバージョンとは全くの別次元。ベースとなるトランジットの良さもあるが、さすがは2016年モデルに相応しいトータルの質感である。

搭載される3.5リッターV6エコブーストは310hpを発生させるから、加飾による重量増を感じさせない走りが可能である。

ワンフォードの戦略のもと、世界基準の車両を販売するフォードらしくインテリアは同年代の他フォード車と共通の意匠をもたらす。決して先進性に優れたものではないが、質実剛健な耐久性とある程度の質感、さらに使い勝手の良さを実現している。

センターコンソールはウッドで装飾されている。

ボディは大柄ではあるが、かなりキビキビ走らせる。さすがエコブーストエンジン。しかもその際の加飾による重量増は微塵も感じさせず、ブレーキングにも不安がないから、ドライバーズカーとしても十分に楽しめる。

エコブーストゆえ1ナンバー化の必要もない

 これだけの質を誇るインテリアに対し、エクステリアに関しては現状フルノーマル。聞けば「トランジットのホイールが特殊サイズであり、コンバージョンスタイルに適したカスタムホイールがまだ見つからない」ということであり、目下鋭意セレクト中ということである(もしかしたらこのまま純正のままもありか)。

 こうした大人のファーストクラスを展開するトランジットに乗り、街中に繰り出した。撮影中は「比較的小さいな」と思っていたボディだが、路上に出たら印象が一変。やはりフルサイズである。大きさはもとよりその存在感が半端ない。

 ただし、これほどのサイズ感がありながらもさすがはエコブーストエンジン。3.5リッターV6エコブーストは310hpを発生させるから、ボディは大柄ではあるが、かなりキビキビ走らせる。しかもその際の加飾による重量増は微塵も感じさせず、ブレーキングにも不安がないから、ドライバーズカーとしても十分に楽しめる。

 くわえて装飾による、キシキシカシャカシャといったきしみ音が皆無であり、さすがはメーカー純正のハイルーフ仕様であり、2016年版の完成度である。

 ちなみに、排気量が3.5リッターだから税金を意識した1ナンバー化も必要ないだろうし、燃費も5.3リッターV8とは比較にならないほど有利であるのは言うまでもないし、エコブーストエンジンはボディが大きく重量級であればあるほどメリットが高まるのである。

 どんなに好きなアメ車でも時代が変わればモデルが変わり、モデルが変われば作りも変わるから、それに伴って「アメ車らしさ」というものが年々減っていってしまっているのも事実ではある。だから当然ながら旧態依然な中古アメ車を愛する方々がいてもおかしくはないのだが、一方で業界的には、それでは先細りの縮小しか手に入らない。

 だからこそ、このTYCOONパッケージを先んじて製作しているシャインストリートの英断には頭が下がるばかりであり、さすがはアメ車人気の牽引役であるなぁと頷ける。

 常に時代の一歩先をいくというシャインストリートが目をつけたトランジットのカスタムコンバージョンは、今後のアメ車新時代の象徴になるに違いないのである。

>>2015 フォード トランジット (FORD TRANSIT)

必要に応じた荷物程度は確実に収納できる荷室。ただし、このクルマの目的は人を快適に運ぶこと。その目的はかなりのレベルで実現されている。

サードシートは、フルフラットになるためにソファーベッドのように使用することが可能である。折りたたみ&スライドが電動で可能となる。

リア荷室にある電動スイッチ。サードシートの折りたたみはこのスイッチにて操作する。

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