パッと見、「サードカマロか」と見間違えるほどのオーラと威圧的なスタイリングが特徴のモンテカルロ。個人的には、今から十数年前に結構興味をもっていただけあって(スタイリングに)、最初にこの車両を見たときには嬉しさのあまり身震いしたほどだった(笑)。
正直、十数年前の話であっても、グダグダな車両が多く、もしくは何の車両かがわからないほどいじられたものが多く、もはや「入手は不可能だな」と勝手に思い込んでいただけに、モンテカルロSSの入荷は驚き以外の何ものでもなかった。
しかも。過去V6をよくみていたから、305cuinのV8であるということも、非常に興味深かった。くわえて、FRPボンネット等に手が加えられているものの、モンテカルロの外観のほぼ8割以上をとどめているのも奇跡に近いと思ったのである。
それが。サードカマロでお馴染みのエイブルの販売車両に加わったというのだから期待しないはずがない。
ちなみに、エイブルのコンセプトであるが、時代の流行り廃りに関係なく創業当時から変わらず「できるだけ素の状態に戻す」であり、純正パーツと強化パーツを上手く組み合わせ、常に状態優先で仕上げていく。だからこそ車両の基本状態がわかりやすく、結果的に長く乗れるというものである。
そういうコンセプトを掲げているから、90年代のサードカマロがいまだに楽しく乗れるのであって、またそういうコンセプトを掲げるショップだけあって、ある意味難攻不落と思われた80年代モンテカルロをどう扱っているか、非常に興味がわくのである。
1983年でのモデルチェンジによって誕生したモンテカルロSS。NASCARレース参戦を目論んだレースカーを想定したデザインと言われている。
リアスポイラーやリアテールといった部分にも空力特性を重んじたデザインが採用されている。シンプルだが非常に特徴的なリアスタイルである。
さて、今回取材したモンテカルロは84年型。モンテカルロとは、1970年に登場したシボレーの上級パーソナルクーペであり、まずは1978年にチェンジがあり、その後1983年に再度モデルチェンジが行われる(この後1988年生産終了することになる)
その時点で「SS」が登場し、通常のモンテカルロとモンテカルロSSとで、デザイン等の住み分けが行われた。SSは「スーパースポーツ」の略であるから、スポーティを全面に押し出したデザインとなったのである。
当時は、4.3リッターV6エンジンを搭載したモデルもあったりしたが、取材車両は5リッターV8。それに3速ATが組み合わされている(86年から4速)。当時のカタログスペックでは150hp、最大トルク240lb-ftを発生させるが、現代の交通事情においては、これらの数字はあくまで参考程度にとどめるべきであって、重要なのは吹け上がり等のフィーリングやメカニカルの耐久性である。
まるでサードカマロのような角目4灯のヘッドライトがポイントとなる。
フロントグリルやスラントノーズ等、1983年以降のデザインにはその後のシボレー車に続くデザインアイデンティティがもたらされている。
個人的にもっとも好きなポイントが、この断ち切られたリアウインドー。前後オーバーハングの長いスタイリングにシャープさを与えている。
カマロやファイヤーバードとはひと味違った雰囲気がモンテカルロSSの魅力。とにかくワルっぽい(笑)
この車両、外観のFRPボンネットの他にホイールが交換され、エンジン系ではキャブレターがエーデルブロックに交換され、その他点火系の調整&交換も行われ、足回りはショックに手が入り、ブレーキ系のリニューアルがなされ、インテリアではシフトレバーがB&Mのシフターに交換されているが、そのどれもが見掛け倒しのカスタマイズに終わらずに、きっちりカッチリと作業が行われたようなフシがある。
エイブルの原代表いわく「もう20年以上この業界で仕入れ等をやっていますが、そん中でも数年に一度くらいしかない車両コンディションでした。すでに33年前の車両ですが、細部を確認すればするほど惚れ込んでしまうクオリティに逆に私が驚きました。この車両の前のオーナーさんに是非会ってみたいです」
紫にペイントされたヘッドカバーに魅了される5リッターV8エンジン。エーデルブロックのキャブレターに換装される等、カスタマイズされている。
シンプルイズベストなインテリアだが、質素極まわりない90年代とはまた違ったデザインと魅力に溢れている。
ガッチリと固定されたシフターの動きはかなり良好。
今となっては速くはないが、キャブレターサウンド轟くV8エンジンが何より心地良い。ボディの大きさも適度で、全体的に安っぽさがないのに、逆に驚いた。
プロの眼力をもってしても唸らせるモンテカルロSS。果たしてどんな印象か。
ここ十年近く、80年代の車両の取材というのはほとんど記憶にないし、世間的には評価の低い、いわゆる不遇の80年代車両だから「興味はあったが走りはどうせ……カッコが命のクルマだろう」。そんな思いもどこかにあった。
しかも、今日本で乗るにはちょうどいいサイズ感だが、アメ車的にはミディアムサイズ以下だし、顔つきは怖いが、中身が伴わないのでは?と思って乗ってみたが…。
たしかに、150hpのパワーはそれほどの速さを感じさせないが、だが。キャブレターV8の咆哮は現代のV8エンジンが放つ音色を何倍にもしたほど艶っぽいいい音を聞かせてくれる。非常に心地良い。同時に組み合わされるミッションは、変速のギクシャクが微塵もなく、非常にフィーリングがいい。
くわえてブレーキが凄まじい。昔のアメ車は、スカスカのブレーキか逆に硬いブレーキか。慣れれば問題ないが、慣れるまでに感じる違和感が結構あるのだが、この車両のブレーキはその数分前まで乗っていった国産の機材車と同等以上の自然なフィールで止まる。絶妙かつ確実なブレーキだった。
ステアリングは、ハンドルセンターから左右に20度くらいの感じでデッドなスペースが存在するが、それを越えるとスムーズに車両が旋回し、締まってはいるが、決して荒さを感じさせないハンドリングになっている。
エアロボディということで、ノーマルボディの両サイドミラーが劇的に小さいために(笑)、慣れるまではちょっと怖いかもしれないが、それでもボディがそれほど大きくないこともあって、街中をミズスマシのように走り切ることも可能だろう。
センターメーター内部の各種メーター類はすべて動作確認済み。こういった部分からもこの車両の状態がわかる。
非常にシンプルなセンターコンソール。下部のメーター類は後付けパーツ。きちんと温度管理していた証拠でもある。
パーソナルラグジュアリークーペとしての趣が残るドアパネル。あえて複雑な工程を経た作りが80年代アメ車の特徴かもしれない。
再び聞けば「まだエイブルではそれほど手を入れていない状態であって、エイブルスタッフが試乗確認を行い状態把握と調整をしている程度」ということだから、いかに前オーナーの時点できちんと手入れがなされていたかがわかるだろう。
驚いたのは、インテリアも同様で、ドライバーズシートには使用感がハッキリとあるが、それ以外では、その当時の名残が感じられる程度に現状維持がなされ、しかも見るからにお金のかかっていそうなデザインや作りが特徴的だった。
センターコンソールやドアパネルに貼られたビニールレザー等も凝っており、世間では「不遇の80年代」といわれているものの、極めて質素になっていく90年代以降にはない各部の造形に、改めてアメ車を感じるのであった。
文中に記したが、この車両はまだエイブルのコンセプトによって仕上げはなされていない状態である(今でもかなりレベルの高い状態だが)。この後、購入希望との打ち合わせのもと、仕上げが入ることによって各部にツメの作業が加わり、クオリティと魅力を一段と増すことだろう。
ちなみに余談だが、コンディション良好とは言っても、あくまで84年型という認識は忘れないで欲しい。良好=現代の国産車と同等、という価値観ではまったくないし、あくまでその車両が持つ当時の魅力の再現という意味において、素晴らしいコンディションであるという意味。走り出せば年式ゆえのトラブルが出る可能性はあるし、その山を越えれば素晴らしい車両になる可能性は高いだろう。
だから、そこを理解している人にとっては、すなわち「33年前の車両」という認識と覚悟がある方にとっては、奇跡の個体と言っても過言ではないモンテカルロSSであると思うのである。
またこういったアメ車たちをきちっと生きながらえさせるエイブルのようなアメ車ショップは非常に貴重な存在である。
見るからにドライバーズシートのみがヤレている状態。ファミリーカー的な使用はなされていないと推測される。
リアシートもご覧のように。このまま普通に使用できる。33年前の車両とは決して思えない。
店頭でたまたま並んだサードカマロとのツーショット。GボディとFボディのご対面。
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19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES