常々思うが、アメリカ製オープンカーは、別格な存在である。
マスタングにせよカマロにせよコルベットにせよ、オープンモデルになるとランクが一段上がる(ような気がする)。クーペだとベンツBMWアウディに人気の面でも遅れを取るかもしれないが、コンバーチブルになると互角以上の戦いを見せる。
コンバーチブルだと山や海にも似合うし、銀座の華やかなムードにも断然合う。また渋谷などの若者の街の雰囲気をも一瞬にして変える力を持っている。
それに、もしスピードにあまり興味がなくなったとしたら、オープンに乗ってみるといい。これまでとは全く異なるアメ車の楽しみ方が得られるはずである。
たとえば帽子をハットに変えたくなるかもしれないし、上半身を露出して走るその姿に、違ったファッションで乗りたくなるかもしれない。要するに、オープンにすれば興味の範囲が広がり、そのまま人生が大きく変わるかもしれない可能性を秘めているのだ。
マスタングだと、2006年以降のコンバーチブルモデルなら幌の耐候性もかなり高いから、それこそ一台でいろいろとまかなえる。エアコンの効きも良いから年中オープンにすることだって可能だろう。
なんてったって屋根のない明る感じがステキだし、クルマに乗るという感覚と遊びで乗る遊園地的な乗り物の感が同時に体感できて、毎日通る同じ道のりの風景が確実に変わる。
それにマスタングなら、比較的新しいモデルであってもちょっとしたオールドカーのような雰囲気が味わえるのも特徴であり、最新の機能をもった旧車テイストと言い換えることができるが、とにかくフィールが最高で、クーペとコンバーとでちょっとでも迷うなら、絶対にコンバーチブルを選ぶべきである。そのくらいの絶品テイストである。
ということで、2010年と2013年型マスタングV8コンバーチブルの取材である。
この型のマスタングで言えば、2010年と2013年とでは天と地ほどの差があるので、「どちらでもいい」という方はいないはず。整理すると、2010年にはデザイン変更が行われ、2013年は、2011年に搭載エンジンとミッションが変更され、その後デザインが2013年で再度変更されている。なので、デザイン的に大きな違いがあり、さらには13年車は10年車よりも約100psパワーアップしているV8が搭載されているのである。
2010年:4.6リッターV8 OHVエンジン:319ps・5速AT
2013年:5.0リッターV8 DOHC:418ps・6速AT
詳しく整理してみよう。2005年に登場したマスタングは、復刻デザインをベースに一躍大ヒットをもたらし、世界的な復刻デザイン車であるミニやビートルやフィアット500等と肩を並べるスター的存在となった。
この、いわゆる旧型マスタングはこの型の最終モデルとなる2014年までの間に2度ほど大きなマイナーチェンジを施しており、実質3つの型が存在している。
2005年から2009年までのデビュー型、2010年から2012年の中期型、そして2013年からの最終型である。
デビューモデルとなる2005年から2009年までは、1964年に登場した初代マスタングのデザインをベースとしているが、2010年型ではデザインに大きな変更を加えている。それは64年にデビューした初代マスタングが67年にビッグマイナーチェンジを受けたのと同じように。
2010年型のチェンジは、その67年当時のボディ&マスクを題材にしており見事復刻デザインのリファインを行っている(素晴らしい)のである。
だが、この2010年から2012年時には、別のマイナーチェンジが加えられており、それが話をややこしくさせている。2011年に、デザインはそのままにエンジンと搭載ミッションの変更を行っているのである。
というわけで、人によってはこの旧型マスタングには4つの型が存在し、2005年から2009年までのデビュー型、2010年型、2011年から2012年の中期型、そして2013年からの最終型ということである。
ちなみに、2013年からの最終型でもマスクが変わっているが、それはトップモデルたるシェルビーGT500と同じマスクを取り入れており、復刻系デザインのマスタングとしては、初代から中期にかけての2モデルこそが、オリジナリティあるデザインとして評価が高いと言われているのであって、だから往年のマスタングに刺激を受けているファンは(筆者も)、初代から中期にかけての復刻マスタングに乗ることをあえて選ぶというわけである。
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