「あり得ないほど原始的だが迫力がある。イジると効果が体感しやすい。当時はデカいと感じたが、今見るとそれほどデカくはないし扱いやすく乗りやすい。最新の1.5リッタートヨタ車にも質感では負けているが、それでもこんなに面白いものはない」etc
アメ車に乗ったことのない方には恐らくわからない感覚だろうが、90年代のアメ車を多少でも知っている、もしくは乗ったことがある方ならわかっていただけるのではないだろうか。筆者はまさしく90年代のアメ車を実体験してきた身だけに、この感覚が大いに染み付いているのである。
で、こちらのタホ。97年型の4ドア。いわゆる一般的な仕様であり、珍しいといえばシャンパンゴールドのボディカラーくらいか。それでも状態の良さがひと目でわかるほどクリーンな印象を与えてくれ、エンジンをかけた瞬間に「わっ凄い」と確信するのである。
取材日は、ボンネットフードに巨大なエアキャッチのスクープを装着したちょうどその日だった。あえてビス留めをしてワイルドな雰囲気を醸し出し、70年代風マッスルカーなイメージでの仕上げ途中であった。
この車両にはすでにラムエアーが入っており、ロングチューブへダースとワンオフマフラーにて吸排気系の味付けがなされている。これらにより急激に速さを増すことはないが、これまでのタホとは全く別次元の五感に訴える感動マシンへと変貌を遂げている。
くわえてGMパフォーマンスのLT4ホットカムが加わり、いわゆる吹け上がりとサウンドに驚くほどの変化が現れ、エンジンのピックアップの立ち上がり部分が俊敏になり、低速から中速への勢いと伸びが格段に良くなった。
基本、5.7リッターV8エンジン搭載の普通のタホである。だが、エンジンの息吹にはSUVとは思えないほどの刺激がある。そう、言ってしまえばコルベット。LT4のカムを組んだエンジンには、遠くにコルベットの面影がよぎるのである。
あくまで感覚的な話なのでどこまで正確に伝わるかは微妙だが、少なくともアメ車に乗る理由のひとつになる刺激度においては段違いの変化を与えてくれている。馬力や速さ、タイム等には現れない、ストリート性能での五感に訴える音や振動も間違いなくアメ車の醍醐味なのである。
「90年代のアメ車は、修理を前提とした購入になると思いますが、その修理にもひと工夫加えると直すモチベーションが上がり、また楽しく感じると思います」と高橋氏は言う。
「具体的には、タホに限らず90年代の車両はすでに20年以上も前の車両になりますから、当然入手後のケアが必要になる。簡単に言えばまず問題なく走ることを求めて修理に入る。
ですが、この修理が曲者で、的確な整備のもと作業が行われないと、修理が延々と続くことになり「こんなはずじゃなかった」と後悔する方も出てくる。だから我々は、修理とチューンの両者を組み合わせて提案し、『変化』の楽しさを感じてもらうのです。
その変化が楽しく感じれば、それがモチベーションとなり、90年代のアメ車に乗ることと維持していくことの楽しさが味わえると思います」
実際このタホは、まず普通に走るように各部のコンディションを整えていきながら、整備とともに吸排気系のチューンを行うことで、エンジンの鼓動の変化に感激し、その後足回り、外観へと、オーナー自らの好みで順次仕上げられていったのである。
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