TEST RIDE

[試乗記]

フォード車を得意とする「ブルート」にて程度良好車を発見

2018 フォード F150ラプター

V6ツインターボエンジンと軽量ボディが初代モデルを圧倒する

2010年に登場した初代ラプターが2017年にフルモデルチェンジ。二代目として発売が開始されている。今回ブルートで取材した個体は2018年モデル。約2000キロ走行の程度良好車。ラプター自体が日本ではあまり見かけない車両だけに、注目の個体である。

更新日:2020.01.20

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ブルート TEL 0489529260 [ホームページ] [詳細情報]

2017年にフルモデルチェンジで登場した二代目

 二代目ラプターに搭載されるエンジンは、3.5リッターV6エコブーストツインターボ。初代モデルには6.2リッターV8エンジンが搭載されていたから、モデルチェンジ前にその事前情報を知った多くの方々はちょっとガッカリしたかもしれない。

 だが、そのスペック性能はかなりのものだった。そう、このエンジンはかのスーパーカー、フォードGT直系のエンジンである。

 しかもパワーは450hp。初代V8エンジンが411hpだったということを加味しても、十分に満足できるはずである。くわえて、この二代目は適正なボディ重量のダイエットを行っている。車重にして旧型比約230kg減。

 実際のパワーウエイトレシオは初代モデルに対して格段にアップしているから、V8信奉者でなければ、二代目モデルの優位性は十分に保たれる。

 また、このエンジンに組み合わされるミッションは、当時新開発の10速AT。さらにオンデマンド式の4WD制御にアップグレードされたFOXレーシング製ショック等が、これまで以上のオン&オフ性能を発揮させる。

フォードF-150ラプターは、オフロード走破性能に特化したF-150のスペシャルモデルとしてデビュー。初代モデルはV8搭載だったが、2017年にデビューしたこの二代目モデルでは、排気量を落としV6ツインターボエンジンとし、さらにボディの軽量化を施し、パフォーマンスを最大限アップさせた。

ボディは4ドアのスーパークルー。巨大だが全体のボディバランスが取れているから、見た目が間延びしたピックアップにはまったく見えない。

とはいえ姿はピックアップ。荷台もシッカリ使えるし、今流行りのテントを荷台に置き、キャンプも楽しめる。

こんなところを平然と走りきる巨大なフルサイズピックアップ。だが街中での走りは極めて穏やか。というか、足腰が強靭過ぎてなにも起きない。まさしく鉄人的ピックアップ。

ツインターボエンジンに新開発の10速AT

 恐らくだが、車重減による各部の負担減と高効率な3.5リッターツインターボ+新10速ATによる燃費効率の向上は圧倒的だろう。さらに、ちょっと下世話な話だが、日本の自動車税制においても3.5リッターならレクサスあたりと同じであるから、「あえて1ナンバーで」とかにしなくても十分に維持できるはずだ。

 さて実車である。2018年型の中古車。走行が約2000キロということと、室内の雰囲気、実際のヤレ等を確認するも、まったく不安を感じることがない。しかも、各種安全装備から360度カメラに至るまでフル装備であり、ボディカラーはブラックでインテリアもブラックレザーシートと、日本人好みの仕様であることも嬉しい。

 さらに、ボディは4ドアのスーパークルー。もちろんデカいのだが、ボディスタイル全体のバランスが取れているだけに、ちょっと間延びしたピックアップトラック的なダルさというものが全くないのがラプターらしい。

 で、撮影。それにしてもデカい(笑)が、圧倒的にカッコイイ。

搭載されるエンジンは3.5リッターV6ツインターボ。450hpを発生させる。初代ラプターが6.2リッターV8だったが、パフォーマンス的には初代を圧倒的に上回る。

インテリアの基本ベースはF150トラックとなるが、随所にレーシーなパーツを散りばめ、各所に施された「RAPTOR」のロゴや、赤いセンターマークが入ったステアリングホイール等が気分を高めてくれる。

4WDの駆動モードは「2H」、「4A」(4WDオート)、「4H」(4WD High)、「4L」(4WD Low)の4種類。リアのデフロックも装備。

フロントマスクのアグレッシブさは随一。ピックアップの中ではパフォーマンスも強烈のひと言。

すべての作りがレーシングカー的

 専用のフロントグリルをはじめ、アグレッシブなデザインはラプターの特徴として引き継がれているが、ズバリ、この二代目の方が断然厳つい。恐らくボディ左右のサイズ感はほぼ同じ感覚でも、フロントマスクの印象が段違い。こんなのが高速道路で後ろから突っ走ってきたら…。

 そういう意味では、見慣れないだけに、さらには厳ついだけに、フェラーリやランボルギーニといったスーパーカーたちにもヒケを取らないオーラと注目度と言って間違いないだろう。

 一方、ドライバーズシートは洗練の極みである。感覚的には初代と同様にレーシーな雰囲気に満たされる。

 同様にステアリングの位置や各種ペダル類が電動で調整可能なため、小柄な日本人でもジャストなドラポジを取ることが可能だし、まるでリフトアップしたかのごとき目線の高さと遥か向こうに見える助手席側やボンネットフードに最初は不安を覚えるが、適切なポジションを確保することで意外にも早く慣れるはずだ(360度カメラ等で守られるから大きさも意外に苦じゃない)。

 個人的に感じたのが、初代比でステアリングの径が大きくなっていること。大きくなったことで操作性が良くなっているし、ステアリング裏に装備された硬質なメタルの製のパドルシフトが非常にレーシーであり安物感は皆無。操作感を含め、タッチはレーシングモデルそのものだった。

 筆者はこれまでに過去2台の同型ラプターを取材し、2名のオーナーに個別で話を聞いている。で、彼らが口を揃えて言うのが、ピックアップらしからぬ走りの魅力であり、ソリッドな乗り味であり、「一般道では基本ロールを知らない(笑)」ということだった。

 とはいえ、「ガチガチに固めた足ではなく、相当によく動く」といい、「乗り心地全般としては安楽だ」とも言っていた。

 くわえて、「逆に、足がシッカリし過ぎて450hpでも不安定さは微塵も感じさせない」ということだから、やはり既存のアメ車系ピックアップをイメージしていると度肝を抜かれるだろう。

メーター内にはマルチインフォーメーションディスプレイが設置され、燃費や走行モード、4WDシステムの状況等が表示される。

新たに搭載された10速ATは、街中でも頻繁にシフトアップを試みる。V6ツインターボエンジンのパワーを積極的に引き出し使い切る。シフトに装着されたセレクターボタンでもシフト操作可能。

センターラインの入ったステアリングは、径が大きくなり操作性が格段に向上した。同時に、装着されるパドルがレーシングカーそのものであり、ドライバーを刺激する。

フルサイズの巨体をまるでミディアムクラスのごとき

 それにしても、この巨体を、まるでミディアムクラスのSUVのごとき軽々とした動きに封じ込めてしまうラプター開発陣には恐れ入る。というか、このラプターに続くモデルがGMやFCAから出ないということが、なによりもラプター的モデル開発の壁の高さを物語っているのだろう。

 今やミディアムクラスのピックアップ人気が高まっているというアメリカ市場だが、このホンモノを見てしまうと、さらにはこのフルサイズのバケモノ感を味わってしまうと、「あえてラプターじゃなきゃいけない方々」の気持ちが十分にわかるのである。

 ブルートでは、これまでにも初代ラプターを扱っており、さらにリンカーンナビゲーターやフォードエクスプローラーの販売を以前から今に続いて継続的に行っており、フォード車のメカニズムを熟知しているだけに、数の少ない現行型にもアンテナを張り巡らせ、良好な個体を取り扱うよう努力しているというから素晴らしい。

 なお、この個体に関しては、すでに複数の問い合わせや現車確認が行われてるということで(フォード車乗りからの問い合わせが多いという)、やはり最強ラプターの人気は高いのである。

前後ともにダンパーはFOXレーシング製。リアサスペンションにはリーフスプリングが使用される。

ステアリングの位置や各種ペダル類が電動で調整可能なため、小柄な日本人でもジャストなドラポジを取ることが可能。シートの剛性&質感、ホールド性ともに最高レベル。

4ドアスーパークルーの後席スペースは写真で見ただけでも巨大であることが分かる。まったく窮屈さを感じることなく過ごせる。

取材日もリンカーンナビゲーターが2台、キャデラックエスカレードが1台、納車前整備を受けていた。ブルートは、日頃からそういったフルサイズSUV系が実際に動いているショップである。

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